アメリカのクラフトビール事情② 〜成長支える税制〜

多くの産業でその存在感を際立たせるアメリカ企業。実際に、世界最大のブランディング会社アメリカ・インターブランド社が2016年に発表した「Best Global Brands 2016
Rankings(世界企業ブランドランキング)」
にランクインしているトップ100ブランドのうち、実に70社ものアメリカ企業が名を連ねています。

クラフトビール業界においても、全米に4,000以上のブルワリーが存在するクラフトビール大国。世界のクラフトビールブームの中心にいます。それを支えるのは、飽くなきクラフトビールへの情熱や新しいものを作り出す起業家精神もさることながら、国として税制度が後押しをしている点も見逃せません。

現在、200万バレル以上の生産高のブルワリーは、1バレルに対して18ドルの連邦消費税が課されます。一方で、200万バレル未満の生産高のマイクロブルワリー(小規模醸造業者)に対しては、最初の60,000バレルまでは1バレルに対して7ドル、60,000バレル以降の生産に対しても低い税率が適用されています。

成長が見込まれる産業に対しては、税制面でも優遇をし、新規参入や設備投資を促し、雇用を創出することで、さらなる成長をする。この仕組みがアメリカの経済成長を支えている要因の1つなのでしょう。

実は、2017年に入り、成長を続けるクラフトビール業界において、さらにマイクロブルワリー(小規模醸造業者)をサポートするための法案が上院・下院の両院で議論されることとなっています。その背景には、4,000以上あるブルワリーのうち90%以上が7,143バレル以下の生産高で税制上マイクロブルワリーに該当し税制優遇がされているのですが、それでもリサーチによると一般消費材と比較して約68%の高い税率が課税されているということがあります。

法案(Craft Beverage Modernization and Tax Reform Act)の内容は次の通りです。

  1. 年間生産高200万バレル未満のブルワリーに対しては、年間生産高60,0000バレルまでは、連邦消費税の税率を1バレルに対して3.5ドル、60,000バレルから200万バレルまでは16ドルとする
  2. その他のブルワリーやビール輸入者に対しては、1バレルに対して16ドルとする。

業界団体によると、この法案が施行された場合には、最初の12ヶ月〜18ヶ月の間に9,000人の新たな雇用が創出されるとしています。アメリカクラフトビールファンにとっては目が離せませんね。日本でも酒税の改正議論がされていますが、マイクロブルワリー(小規模醸造業者)を支えていく税制も議論されていくことを願いたいところです。

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