英国発のクラフトビール「BREWDOG(以下、ブリュードッグ)」を取り扱うブリュードッグ・カンパニー・ジャパンが3月26日、プロ野球・埼玉西武ライオンズの本拠地・ベルーナドームにオフィシャルバーをオープンしました。ブリュードッグとしては世界で初めてとなる球場内でのオフィシャルバーとなります。
“獅子まんま”の愛称で知られるベルーナドームグルメ
ベルーナドームのスタジアムグルメは約70店舗、メニュー1,000種類以上と国内プロ野球12球団の本拠地の中でも最大級の規模を誇る“グルメスタジアム”。提供される食の数々は“獅子まんま”の愛称でプロ野球ファンに親しまれており、カジュアルなファストフードや「秩父わらじかつ丼」「行田ゼリーフライ」「狭山茶漬け」といったご当地グルメなど、幅広くカバーしています。
西武ライオンズ営業部部長の荒木浩基さんは「野球観戦とビールは昔から切っても切れないような関係ですが、当社は2016年より他球場に先駆けて、国内ビールだけでなく海外ビールにも力を入れてきました。今回新たなパートナーとなるブリュードッグさんは西武ライオンズと同じブルーをメインカラーにしているところに親和性を感じています」と語っています。
野球観戦にぴったりのブリュードッグの絶品ビール
今回オープンしたのは、3塁側バックネット裏近くのL’s テラスエリア内「エルズクラフト supported by BREWDOG」(旧「L’s CRAFT」)と1塁側バックスクリーン裏あたりのトレイン広場内「クラフトビアーズ オブ トレインパーク supported by BREWDOG」(旧「 クラフトビアーズ オブ トレインパーク」)。特に「エルズクラフト supported by BREWDOG」にはスタンディングテーブルを設置しており、その場から試合観戦することもできます。
両店ではブリュードッグの代表銘柄 「PUNK IPA」、フルーティーな香りと酸味が特徴の「ELVIS JUICE」、トロピカルフルーツのような「HAZY JANE」の3種のクラフトビール(ラージ1,300円、レギュラー980円)を提供。ほかにも各ビールを使った「エルビスレッドアイ」「エルビスシャンティガフ」「エルビスグレープフルーツ」といったビアカクテル(レギュラー1,100円)も並びます。しっかりとした苦みを感じられる飲み応えのあるビールからクリアでフルーティーな女性にも好まれやすいビールまでバラエティに富んだラインナップを取りそろえています。
フードも豊富です。「エルズクラフト supported by BREWDOG」では、ピザソースの隠し味に「PUNK IPA」を使用した「クラフトピザ PUNK! 生ハム&マスカルポーネ (レギュラー:1,800円 ハーフ:1,000円)」。「クラフトビアーズ オブ トレインパーク supported by BREWDOG」では「PUNK! フィッシュ&チップス(1,000円)」などを用意しています。いずれもビールとの相性抜群のグルメです。
“パンク”をキーワードに世界を席巻するビールブランド
ブリュードッグは、2007年に英国・スコットランドで創業者のジェームズ・ワットとマーティン・ディッキー、そして愛犬1匹が、元手300万円で工業団地の倉庫から少量生産のビール造りをスタート。これまで、アルコール度数55%のビールを開発したり、大西洋の海底でビールを醸造したりと“パンク”をキーワードにした常識外れのマーケティングで世界の注目を集めました。ファンが同社の株式の一部をオンラインで購入し、経営にアイデアや意見を出せる「Equity for Punks」という革新的なビジネスモデルも確立しています。
もちろん独自の革新的な製法で造りだされる高品質なビールの評価も高く、ワールドビアカップ金賞やTESCOドリンクアワード金賞なども受賞。2020年には世界のトップカクテルバーが選ぶビールブランドとして1位に選ばれ、英国内のスーパーマーケットなど小売市場でもトップ10にブリュードッグのビールが5種もランクインしています。現在は4か所の醸造所で作られたビールを世界約60か国に輸出。欧州、米国、アジアを中心に世界110店舗以上の直営バーを展開するなど、世界中から愛されるビールブランドに成長しました。日本でも2014年にアジア初のオフィシャルバーを東京・六本木にオープン。最近では人気バンド「MAN WITH A MISSION」とのコラボキャンペーンプロジェクトも始動しています。
フルーツフレーバーとキレのある苦みが特徴のフラッグシップビール「PUNK IPA」
ブリュードッグ誕生のきっかけとなった「PUNK IPA」はフラッグシップビールです。ジェームズ・ワットとマーティン・ディッキーが今までにあったラガービールやエールビールではなく独自の面白いビールを作りたいということから始めたそうです。通常のラガービールの何十倍もの量のホップを何種も使用。グレープフルーツやパイナップル、ライチのようなトロピカルフルーツとキャラメルの香りが漂いつつもキレのあるスパイシーな苦みの残る複雑な味わいとなっています。ブリュードッグ・カンパニー・ジャパンCOOの梅垣幸嗣さんは「できるだけ多くの方に飲んでいただき、今までにないビールの新しい形を知っていただきたい」とアピールしています。
野球観戦とクラフトビール
もともと野球場とクラフトビールの相性は悪くありません。全米で親しまれているビール「BLUE MOON」は MLBコロラド・ロッキーズの本拠地「クアーズフィールド」で誕生しています。ブリュードッグ・カンパニー・ジャパンのマーケティング・マネージャーの名嘉眞隼人さんは「クラフトビールはアメリカの野球のカルチャーと近い。昨年からブリュードッグとしては日本の市場に力を入れています。日本の消費者にアプローチする際、野球の体験の中で、クラフトビールと一緒に楽しんでいただくのが有効ではないかということで、こちらの2店舗をオープンする運びとなりました」とオープンの経緯を語ります。
さらに名嘉眞さんは「西武ライオンズさんとはブランドのカラーが合っているということもあるのですが、根本的なブランドに対する思い、西武さんが持っている球場やファンに対する思い、我々が持っている思いが合致したのが主なところです。ブリュードッグも世界中にファンがおり、『PUNKS』という名前でファンの方々とコミュニティを作って活動をしています。我々のファンと西武さんのファンがミックスすることでより新しい野球体験を提供できるのではないかと思っています」と出店理由を明かしていました。
また、昨年の7月22日から8月21日の間、ベルーナドームで行われたブリュードッグの期間限定販売がテストマーケティングとなっていたようです。名嘉眞さんは「西武さんは、アメリカからインスパイアされて日本の中でも早い段階からボールパーク化を始めていたので、僕らの考え方からすると、一緒に取り組むべきだなというのがありました。非日常空間で僕たちのビールを飲んでいただきたい」とアピールしています。
まとめ
ボールパーク化とは、球場を単なる野球場と捉えるのではなく、さまざまなアトラクションを用意し、誰もが楽しめる環境を整えることです。プロ野球のボールパーク化は「ベルーナドーム」だけではなく、広島カープの本拠地「マツダスタジアム」、横浜DeNAベイスターズの「横浜スタジアム」、最近では北海道日本ハムファイターズの新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」など各地で進められています。ボールパークの開放感はクラフトビールの味を間違いなく引き立てます。
プロ野球以外にも、サッカーJリーグやバスケットボールBリーグなどはチームオリジナルのクラフトビールを開発するなど、クラフトビールとスポーツ観戦の親和性の高さは注目度が高く、今後の市場の拡大や需要の高まりを期待できそうです。
【参照ページ】「BREWDOG」のオフィシャルバーが野球場に世界初登場!『エルズクラフト』と『クラフトビアーズ オブ トレインパーク』がリニューアルオープン|埼玉西武ライオンズ