【金沢八景】“狂ったファミマ”に行ってきた!クラフトビールの品ぞろえが尋常じゃない名物コンビニ誕生のストーリー

店内

SNSやネットなどで“狂ったファミマ”として語られる「ファミリーマート金沢八景駅前店」。コンビニとは思えないほどにクラフトビールの品ぞろえが充実していて、しかもビールのセレクトに強烈なこだわりを感じるお店です。なぜこんなにもクラフトビールを取りそろえているのか? お店のストーリーを紐解き、売り場を仕掛けた担当者が推すクラフトビールとおすすめペアリングをうかがってきました!

金沢八景の名物コンビニ“狂ったファミマ”に行ってきた!

神奈川県横浜市金沢区に位置する金沢八景駅は京浜急行電鉄と金沢シーサイドラインが乗り入れ、近隣に大学もあって、駅周辺の街並みはにぎやか。再開発が進み、広々とした駅前広場が整備されています。

駅周辺

京浜急行電鉄金沢八景駅。京急本線と逗子線の乗り換え駅で、金沢シーサイドラインと接続している

店外観

駅の目の前にある「ファミリーマート金沢八景駅前店」

その金沢八景駅の目の前にあるのが、「ファミリーマート金沢八景駅前店」。ビアギーグの間で“狂ったファミマ”の異名で知られる、クラフトビールの品ぞろえが尋常じゃない名物コンビニです。早速お店に入ってみましょう!

冷蔵ケース

2021年11月下旬のクラフトビールのラインナップ。冷蔵ケースの写真は、店の公式インスタグラムで定期的に投稿されている

店内奥にある冷蔵ケースをのぞいてみると……ありました! 「よなよなエール」をはじめとしたヤッホーブルーイングのビールやBrewDogの「PUNK IPA」など、コンビニやスーパーでよく見かけるようになったおなじみのクラフトビールから、宇宙ブルーイング、WEST COAST BREWNG、Y.MARKET BREWINGなど日本の人気ブルワリーのクラフトビール、さらに、ニューヨークのOTHER HALF BREWING、メリーランド州ベルリンのBURLEY OAK BREWINGなど、アメリカの希少な銘柄まで。確かに、普通のコンビニではありえないラインナップです。

店内


「ファミリーマート金沢八景駅前店」のアオキさん

このビール売り場を仕掛けているのが、「ファミリーマート金沢八景駅前店」のアオキさんです。なぜこんなにクラフトビールを置いているのか? “狂ったファミマ”がたどってきた歴史をお聞きしました。

ルーツは酒販店!地元客に支持されたクラフトビール

そもそも「ファミリーマート金沢八景駅前店」の前身は、アオキさんの実家が家族経営してきた酒販店「青木屋」でした。コンビニに業態を変えたのは1993年のこと。当初は「サンクス」として営業をスタートしました。

店内

ビール1本1本に、読み応えのある解説が。文章はすべてアオキさんの手によるもの

ヤッホーブルーイングの「水曜日のネコ」がリリースされた2012年前後頃、「サンクス」ではヤッホーのビールをスポットで発注できる機会がありました。

「それで『よなよなエール』や『水曜日のネコ』『インドの青鬼』を仕入れてみると、なぜかすごく売れたんです。週に80本ぐらいだったかな……そんな勢いでした」(アオキさん)

「サンクス」はコンビニの中では比較的お酒の仕入れについて自由度が高かったため、クラフトビールを購入したいというお客様のリクエストに応え、元酒販店の経験を活かして店で独自にクラフトビールを展開するように。ヤッホー、エチゴビール、銀河高原ビールなど、缶の商品で手に取りやすい価格のブランドをそろえると反応は上々で、さらに商品を拡充。賞味期限の長いベアードブルーイングの商品を皮切りに、箕面ビール、伊勢角屋麦酒、いわて蔵ビールなど、取り扱う銘柄を広げていきました。「店の立地が良く、京急逗子線沿線にある米海軍横須賀基地の住宅地区に住むお客様が結構ビールを買ってくれていました」とアオキさん。

その後、駅周辺の区画整理にともなって店は移転し、現店舗ができたのは2015年。「サンクス」が「ファミリーマート」に統合されたため、2019年に「ファミリーマート金沢八景駅前店」として再スタート。それ以降もお客様の要望に応えるかたちでクラフトビールの品ぞろえは加速していき、“狂ったファミマ”が仕上がっていきました。

アオキさんが推すクラフトビール3種!おすすめペアリングも

アオキさんは実家が営むコンビニの経営にたずさわるまで、ソムリエとしてフランス料理店に勤務したり、フランス各地の生産者やワイナリーを訪ねてきました。「ワインについて専門的に勉強してきた経験があるので、ワインのように生産地の風土や季節を感じるクラフトビールに惹かれます」と語るアオキさんに、おすすめのクラフトビールを3種ご紹介いただきました。

ビール3種

アオキさんの推しビール3種。左から、ヨロッコビール「DOWN TO EARTH」、イナデイズブルーイング「森の座ペールエール」、松本ブルワリー「ENCHANTED HAZY IPA」
※写真は、1階のコンビニで会計を済ませたビールを、特別に2階のレストラン「RE:Vini」店内に持ち込んで撮影。通常、コンビニのみで扱っているクラフトビールは店内に持ち込み不可。「RE:Vini」で販売しているビールは抜栓料を支払えば店内で飲めます

すっきりドライなヘイジー、松本ブルワリー「ENCHANTED HAZY IPA」

長野県松本市の松本ブルワリーは、2016年に創業したビールメーカー。2018年に松本市内で自社醸造所を始動させ、北アルプス・美ヶ原の山々を水源とした湧水や地元の農作物を活用した、この地域ならではのビールを造っています。

アオキさんがおすすめするのは、2021年10月にリリースされた「ENCHANTED HAZY IPA」。モザイク、シトラ、カスケードの3種類のホップを使用。ドライホッピングは一度に限定し、シンプルな使い方でアメリカのホップがもつジューシーなアロマを引き出しています。

ビール

松本ブルワリー「ENCHANTED HAZY IPA」(写真右、アオキさんが手に取っているボトル)

「ヘイジーIPAは今もお客様に人気ですが、ヘイジーって意外と選ぶのが難しいかもしれないですね。この松本ブルワリーのヘイジーはドライな味わいで、ヘイジーが好きな人もあまり好きじゃない人も楽しめると思います」(アオキさん)

フード

「フォアグラのクリームブリュレ」

おすすめのペアリングフードは、「クリーム系・チーズ系が非常に合いますね。クリームチーズも良いですし、コンビニで売っている6Pチーズも合うと思います」とアオキさん。今回は特別に「ファミリーマート金沢八景駅前店」の2階にあるワインショップ兼レストラン「RE:Vini」のレパートリーのなかで、アオキさんが「ENCHANTED HAZY IPA」に合わせて選んだクリーム系の一品「フォアグラのクリームブリュレ」を作っていただきました。

ビールとフード

「ENCHANTED HAZY IPA」×「フォアグラのクリームブリュレ」

「フォアグラのクリームブリュレ」は、フォアグラ、生クリーム、卵を使った濃厚な味わいのクリームブリュレ。てんさい糖をかけてキャラメリゼし、カリカリッとした食感も楽しめます。ヘイジーIPAとの相性◎。このメニューはイベント等での限定品ということで、通常営業ではオーダーできないのが残念。

伊那の風土を感じる、イナデイズブルーイング「森の座ペールエール」

イナデイズブルーイングは、Brew a better Life、「よりよい生活が、良い人生を醸す」をコンセプトにした長野県伊那市のブルワリー。2018年に醸造を開始し、「伊那日和ペールエール」、「三州IPA」、「権兵衛IPA」、「くらしSession Ale」の4種類の定番ビールを軸に、伊那の食材を使い、土地の歴史や文化を表現するクラフトビールをリリースしています。

アオキさんの推しは「森の座ペールエール」。伊那谷の森の赤松を使ったビールで、ブルワリーはそのフレーバーを「まるで森林浴気分が楽しめるかのような味わい」と表現しています。

ビール

イナデイズブルーイング「森の座ペールエール」

「イナデイズはコンセプトもしっかりしていて、伊那の風土を感じるビールを造るブルワリーです。この『森の座ペールエール』は木片ビールというカテゴリー。松の木を使っていて、新しいバッチが出るたびに木の状態によって少し味の雰囲気が違うんです。ちょっとローズマリーみたいな香りがしますよ。パッケージも本物の松の木を使っていて、粋ですよね。かなり好きなビールです」(アオキさん)

ビールとおつまみ

「森の座ペールエール」×ファミリーマート「3種のハーブ&スパイス国産鶏サラダチキン」

ペアリングのヒントとしては「きのこが合うと思います。マッシュルームのサラダ、きのこの天ぷらなんかがいいんじゃないでしょうか。しいたけの出汁の利いたお料理とかも。ローズマリーの香りがあるので、チキンや豚肉とも相性が良いです」とアオキさん。アオキさんの提案と、ブルワリーのホームページにある「ハーブのきいた料理」がおすすめ、というコメントを手掛かりに、編集部はファミリーマートでおつまみを物色。国産の鶏肉を国内の工場で加工し、バジル、パセリ、ローズマリーで味付けした「3種のハーブ&スパイス国産鶏サラダチキン」をペアリングしてみました。ローズマリーなど、ハーブのような香りが両者に共通していてビールが進みます。

みずみずしい味わい!ヨロッコビール「DOWN TO EARTH」

ヨロッコビールは、2012年に醸造を開始したブルワリー。創業当初は神奈川県逗子市に醸造所を構え、のちに鎌倉市に拠点を移しました。2020年からは使用するベースモルトを有機栽培の麦芽にシフト。人気のシリーズ「Sky Walker」「Bright Moments」「Down to Earth」の3種のビールは、国際的に活躍するアーティスト花井祐介さんのイラストがトレードマークです。アオキさんの推しは、ホッピーラガーの「Down to Earth」。

ビール

ヨロッコビール「Down to Earth」

「一般的な傾向として、今はハイアルコールでへビー系のクラフトビールが売れています。ワインもそうなんですが、濃くて重いものが人気で。でもこのヨロッコの「Down to Earth」はアルコール度数4%と低めで、軽やかでみずみずしい味わい。こういうビールも日常使いにはいいのかなと。一気にガブーッと、グーッと飲み干したくなるビールですね」(アオキさん)

ビールとフード

「Down to Earth」×百笑農房「ほおずき」

アオキさんおすすめのペアリングフードはドライフルーツ。みずみずしい味わいのビールに、フルーツの味わいが凝縮したドライフルーツが合います。「RE:Vini」で販売している、長野県佐久市の農家・百笑農房の「ほおずき」(ドライオレンジチェリー)は、無農薬栽培で育てた食用ほおずきの実を低温でじっくり乾燥させたドライフルーツ。「Down to Earth」の軽やかな味わいにマッチします。「マンゴーやあんずみたいな風味。干し柿のような甘さと苦味もあって、トマトのような酸味もあります」(アオキさん)。ファミリーマートで扱っている「完熟ドライマンゴー」もこのビールと相性◎。

毎日通いたくなるコンビニ、日常のビールを提供していきたい

アオキさんはクラフトビール売り場の品ぞろえについて「売り場は小さいけれど、小さい中で楽しんでもらえるように工夫しています」と語ります。

冷蔵ケース

2階のレストラン「RE:Vini」で。2階だけで扱っているクラフトビールもあるので、“狂ったファミマ”に寄った際は2階ものぞいてみるのがおすすめ

「普通のコンビニだと、平日は発泡酒、休日はビール、という感じだと思うんですけれど、うちでは平日『よなよなエール』、週末はもうちょっと贅沢なビールを買ってもらえるような、そういう使い方をしていただけると嬉しいです。でもコンビニですから、一番は、求められているもの・お客さんが求めているものを提供していきたい。できるだけ日常のビールを取りそろえようと、500円以上するクラフトビールも置きつつ、1杯目に飲むような、大手のピルスナーもちゃんと買える品ぞろえにしています。毎日、この場所に来たら吸い込まれちゃうような店を目指しています」(アオキさん)

店外観

“狂ったファミマ”のクラフトビール売り場は、日常に寄り沿いながらもこだわりの詰まった空間。アオキさんにご紹介いただいたビールは限定醸造の商品もありますが、松本ブルワリー、イナデイズブルーイング、ヨロッコビール、各ブルワリーのビールは数種類置いてありました。気になった方はぜひ、公式インスタグラムでビールのラインナップをチェックしてから「ファミリーマート金沢八景駅前店」に立ち寄ってみてください!

【関連サイト】
ファミリーマート金沢八景駅前店 ビール専用インスタグラムアカウント
「RE:Vini」
松本ブルワリー
イナデイズブルーイング
ヨロッコビール

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My CRAFTBEER 編集部
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