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ビールのおいしい注ぎ方

ラガービールにエールビール。さまざまなビールが販売されるようになった。ビール特有ともいえる「のど越し」に加え、甘みや苦みなどが多様化している昨今のビールは、幅広い味わいで人々の口内を楽しませている。

のど越し以外のビールの特徴は泡だ。サントリーのホームページによると、泡は「風味が変わるのを防ぐ」「口当たりをやわらかくする」「炭酸ガスを逃さない蓋」といった役割をしている。

そして、泡の量は注ぎ方でコントロールできる。ビールの注ぎ方はビールの味を大きく左右する要因の一つだ。

泡を操作できるビールサーバー 名人が注ぐプロの技

ビールサーバーを一度でも使ったことがある人であれば、すでに知っているかもしれない。注ぎ口のハンドルを手前に引くとビールが、奥に押すと泡が出てくる。要するにビールサーバーは泡を操作できる便利なマシーンなのだ。お店で飲むビールは一味違うと感じることもあると思うが、泡もその一因だ。

東京・中野にある「ビアバー 麦酒大学」は、キリンラガービールを10種類以上に注ぎ分けて飲ませてくれる。一般的に使用されるサーバーと昭和8年当時のサーバーを忠実に再現した「昭和のサーバー」の2基を駆使し、のど越しだけでなく、旨みや苦み、香りなどを変化させ、ビールを提供する。

東京・新橋の「ビアライゼ‘98」は、ビール好きの伝説とも言われた東京・日本橋のビアホール「灘コロンビア」の店主、故・新井得司氏の愛弟子、松尾光平氏の店だ。「灘コロンビア」から受け継いだ旧式のビールディスペンサーを使用している。泡立てながらグラスに注ぎ、時間をかけて炭酸を抜きながら、2回に分けて注ぐ「マツオ注ぎ」によるビールは、のど越しが弱いながらも深い味わいを感じられる。

東京・銀座の「ピルゼンアレイ」のオーナー・佐藤裕介氏はさまざまな注ぎ分けでビールを提供している。その一つ「サトウ注ぎ」は適度に泡立てながら液体を一気に注ぐ。こうして注ぐことで泡が口の中に入りづらくなり、のど越しを享受できる。

このように「注ぎ」の技術だけでも、ビールのさまざまな味わいを楽しめるのだ。

注ぎ方にはマナーもある

注いでもらうだけではなく、注がなければならない局面もある。職によっては接待の場で取引先にお酌をすることもあるだろう。

よく聞くのは手でラベルを隠さないようにすること。どこのビールかわかるように見せるという配慮である。もう一点は両手で注ぐこと。右手は瓶の底を抑えると丁寧に注いでいるように見える。片手だと雑に注がれているように見えるので、人によっては嫌悪感を感じることもあるだろう。

そして、当たり前ではあるが大事なのはこぼさないこと。勢いよく注ぎすぎてしまったことで泡があふれてしまった経験をしたことはないだろうか。思いのほか泡立ってしまい、お酌をしながらアワアワしてしまったことはないだろうか。ゆっくり丁寧に注ぐことが配慮であり、マナーである。泡はビールの際立つ特長ではあるが、難点にもなりかねないことに注意しなければならない。

泡がポイント!自宅で試せる「三度注ぎ」

勢いよく注ぐと泡ができる。これをうまく利用すれば、おいしいビールを飲むことができる。

ドイツやチェコ伝来の注ぎ方で「三度注ぎ」というものがある。まずグラスを置き、高い位置から勢いよくビールを注いで、グラスを泡でいっぱいにする。時間を置くと泡が収まり、グラスの中のビールの量が減るので、グラスの縁からビールを再度そっと注ぐ。待ってから最後に注ぎ足すと完成だ。「三度注ぎ」のビールだと、飲み始めと飲み終わりの味が異なり、変化を楽しむことができる。これは自宅でも手軽に試すことができる。

クラフトビールの注ぎ方は?

よなよなエール リニューアル

クラフトビールに適した注ぎ方はあるのだろうか。クラフトビール大手の「ヤッホーブルーイング」広報担当の原さんにお話を伺ったところ、「ビールのスタイルや銘柄によって注ぎ方は違う」という。「弊社のよなよなエールの場合、最初は一気に注いで泡立たせ、後に少しずつ注いでいただけると、華やかな香りを感じながらおいしくいただけると思います」とのことだった。

ほかにもクラフトビールをテーマにし、都内を中心に全国12店舗を出店しているステディワークスの営業部・大倉さんは「ガス感が強いのが好きな方は静かに注ぎ、そうではない方は、ある程度勢い良く注ぎ、ガス感を抜いてあげると自分好みの楽しみ方が出来ると思います。また、クラフトビールの種類によっては酵母が沈殿(飲んでも害はない)している場合がありますので、注ぐ際には注意が必要かなと思います。個人的には、ラガータイプはある程度の泡立ちを作るように注ぎ、エールタイプについては、泡立ちをあまり作らずに楽しむのが良いのかなと考えます」と話す。

注ぎ方一つでビールは違う顔を見せる。どのような注ぎ方をしたらおいしいのか。自宅で研究しながら飲んでみるのも一興ではないだろうか。

【紹介店舗】ビアバー 麦酒大学
【紹介店舗】ビアライゼ‘98
【紹介店舗】ピルゼンアレイ

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梶原誠司

1975年生まれ。神奈川県横浜市出身。好きなビールは横浜スタジアムのベイスターズラガー。好きな野球チームは横浜DeNAベイスターズ。贔屓のチームが勝てば美酒。負ければほろ苦いビール。ビールが先なのか。野球が先なのか。正直、そんなことはどうでもいい。それくらい、球場で飲むビールが好き。

よなよなの里