ドイツには約500年に渡り、守られてきた掟があります。
それは「ビール純粋令」。
2016年に500年を迎えたこの「ビール純粋令」は、ビールの品質向上と小麦・ライ麦の使用制限を目的として作られたものであり、現在でもドイツ国内の醸造所は、その内容に則ったビール造りを続けています。
しかし、それに全くと言っていいほど則っていない醸造所が、ドイツはバイエルンに2011年に設立されました。
その醸造所の名前は「CREW Republic」。スイス生まれのマリオ・ハネル氏と、ドイツ・バイエルン生まれのティム・シュニグラ氏の2人によって生まれました。
醸造開始は2012年。そして、日本への輸入開始は2014年。ドイツビールを輸入する株式会社KOBATSUトレーディングによって輸入が開始されました。
今回はそのお話をしていきたいと思います!
CREW Republicについて
ビール造りを始める前の仕事でアメリカ出張に行った際にドイツにはない種類のビールと出会った2人は「ドイツがビールの王国だと思ってたのに、アメリカにはこんなビールがあるのか!ドイツにはこんなビールはない!」と衝撃を受け、帰国後にホームブルーイングに目覚めました。
加えて、21歳の誕生日にホームブルーキットをプレゼントされ、ビール造りに目覚め、ドイツに単身醸造技術を学びに行ったアメリカ人がチームを組み、レシピを考案し、醸造している小さなブルワリーです。
また、ドイツの伝統的なビアスタイルは造らないのを信条とし、ヴァイツェンやヘレススタイルなどのドイツ伝統のスタイルは造ったことがないブルワリーです(「ドライホップド・ヘレス」というスタイルのビールは醸造した過去がありますが、伝統的なヘレスではないため、あてはまりません)。
ですが、すべてのビールに対し「モルトの大切さ」を感じさせるものがあり、根底にあるものはジャーマンビールというものがあります。
アメリカのビアスタイルをリスペクトし、ドイツの「モルトの大切さ」を継承した、まさに「ネオ・ジャーマン」として、あるべき姿です。これからのドイツビールシーンを牽引していく醸造所になりつつあるでしょう!
私個人としても「ドイツがこんな挑戦的なビールを認めるなんて!」と驚いたのと同時に、ドイツビールの面白さを一層際立たせる素晴らしい醸造所だと感じています。
初めてクルーリパブリックのビールを飲んだときの衝撃は、今でも心の中に残っています。
発売開始から、2018年で6年。
輸出はすでに10か国を超え、地元ミュンヘンの若者からは絶大な人気を博し、ミュンヘン市内のバーではCREW Republicのビールを飲む人で溢れかえっています。
日本正規輸入代理店「株式会社KOBATSUトレーディング」のこだわり
もともと大手企業の国内営業だったKOBATSUトレーディングの代表取締役社長の小林努氏は、2000年代前半にドイツ・ミュンヘンにて1年間の社内研修に行っていたそうです。そこで出会った伝統的なドイツビール「ヴァイツェン」に感銘を受け、ドイツビールに対する愛情が生まれたとのこと。
勤めていた会社を早期退職され、ドイツビールの輸入会社を始めると、まずは「プランク醸造所」との交渉が成立、2012年に日本に初上陸させました。その後、2014年に「CREW Republic」の正規輸入代理店に、2016年には「ゲンスタラー醸造所」を日本にデビューさせた南ドイツのビール輸入のすごい人です。
また、取引に際してもこだわりが!
- 「うなるほどうまいこと」「おかわりしたくなる」「醸造所のキャラクターが被らないこと」
- 自分が自信を持って勧められるものを取り扱う
- 摂氏6℃をキープし続けるリーファコンテナでの輸送
- 港から倉庫も冷蔵機能がついたトレーラーでの輸送
- 店舗へも365日クール便での配送を徹底
- ドイツ国内の輸送もコンテナの電源をつけて定温輸送
- 冷蔵管理ができない酒販店は取引しない
実は、私が経営するお店「Sausage&Bar 2byでも、取引している酒屋さんを通して仕入れたいと申し出たところ、断られた記憶があります。
今思えば酒屋さんを通して仕入れると、温度管理の徹底において、小林氏の目が行き届かなくなるからだろうと理解できます。
CREW Republicの商品情報
HOP JUNKIE SESSION ALE(ホップジャンキー・セッションエール)
ライトでホッピーIPAらしいパンチと、低めのアルコール度数が飲みやすいセッションIPAです。フードペアリングは、グリルした肉や野菜!
Style:セッションIPA
ALC:3.4%
IBU:32
※画像引用元:http://shop.crewrepublic.de/de/35-hop-junkie.html
EASY SUMMER BEER(イージー・サマービア)
麦色の液色に鮮明かつドライな味わい。フレッシュなホップの香りが特徴のサマービール。フードペアリングはなんとSUSHI(寿司)です!
Style:ゴールデンサマーエール
ALC:4.9%
IBU:22
※画像引用元:http://shop.crewrepublic.de/de/65-easy.html
FOUNDATION 11 GERMAN PALE ALE(ファウンデーション11・ジャーマンペールエール)
クルーリパブリックの基礎となるファウンデーション11。上品でフルーティな味わいにライトボディかつフルーツを思わせる苦味がモルトの楽しさをほのめかします。foundation=基礎。11は2011年のことです!フードペアリングはマグロステーキやローストポーク!
Style:ジャーマンペールエール
ALC:5.6%
IBU:40
※画像引用元:http://shop.crewrepublic.de/de/32-foundation-11.html
DRUNKEN SAILOR INDIA PALE ALE(ドランクンセイラー・インディアペールエール)
エキゾチックなホップが香るクラシックスタイルIPA。トロピカルやシトラスのようなアロマが素晴らしく、フードペアリングはタイフードやステーキ、バーガーです!
Style:ジャーマンIPA
ALC:6.4%
IBU:58
※画像引用元:http://shop.crewrepublic.de/de/76-drunken-sailor.html
IN YOUR FACE WEST COAST IPA(インユアフェイス・ウェストコーストIPA)
軽く、ドライで、アグレッシブなIPA。シトラスやエキゾチックなフルーツ、フレッシュパインを思わせるが、苦味が強いビールです!フードペアリングは、バーガーやBBQ!
Style:ウェストコーストIPA
ALC:6.8%
IBU:70
※画像引用元:http://shop.crewrepublic.de/de/85-in-your-face.html
7:45 ESCALATION DOUBLE IPA(7:45エスカレーション・ダブルIPA)
パイナップルやマンゴー、シトラス系フルーツに少しのスパイスと、とめどないホップ感が大胆かつ激しく感じられるビールです!フードペアリングはBBQ!
Style:ジャーマン・ダブルIPA
ALC:8.3%
IBU:83
※画像引用元:http://shop.crewrepublic.de/de/33-745-escalation.html
ROUNDHOUSE KICK IMPERIAL STOUT(ラウンドハウスキック・インペリアルスタウト)
ローストしたモルトがエスプレッソやダークチョコレートを思わせるヘビィでパワフルなスタウト!フードペアリングは、スモークした肉やチョコレートのデザート!
Style:インペリアルスタウト
ALC:9.2%
IBU:71
※画像引用元:http://shop.crewrepublic.de/de/34-roundhouse-kick.html
REST IN PEACE BARLEY WINE(レストインピース・バーレイワイン)
プラムやドライフルーツ、レーズン、キャラメルを思わせる味わい。バーレイワインらしい味わいで、冷蔵庫から少しの間出して置いてから、ゆっくりと味わいたいビール。フードペアリングは、デザートやチーズ!もちろんドライフルーツも!
Style:バーレイワイン
ALC:10.1%
IBU:65
※画像引用元:http://shop.crewrepublic.de/de/86-rest-in-peace.html
上記の他に、シーズナルビールも醸造しているので、要チェックです!
2018年9月現在のシーズナルビールは
2018年9月現在のシーズナルビールは2種類!
X4.1 WITBIER
オレンジやコリアンダーなどの副材料を使わず、ドイツのビール純粋令を守ってホップを巧みに用いて造ったベルジャンホワイトです!苦味はほぼ感じることなく、オレンジやシトラスの香りが広がるバランスのとてもいいベルジャンホワイトです!
Style:ベルジャン・ウィット
ALC:4.9%
IBU:16
※画像引用元:http://shop.crewrepublic.de/de/101-x-41-witbier.html
X7.1 SMOKED PORTER
モルトを燻製して造り上げたポーター!しっかりとしたラオホ(ドイツの燻製ビールスタイルの事)っぽさをもちながら、ほのかな酸味を感じさせます。ミディアムボディで口当たりの優しいポーターです。
Style:スモークド・ポーター
ALC:6.5%
IBU:40
※画像引用元:http://shop.crewrepublic.de/de/95-x-71-smoked-porter.html
商品名の頭に「X」と入るクルーリパブリックの「Xシリーズ」は、Experimental=実験を意味し、試験的に1年に1度、毎回違ったレシピで醸造する実験的ビールシリーズです。
過去にはスチームビールやIPA、バーレイワイン、ベルジャンホワイトなど、様々なビールを造ってきました。他の醸造所とコラボすることもあるんですよ!
入手方法は!?
CREW Republicを輸入するKOBATSUトレーディングでは、ビールの品質を保つためには、温度管理が非常に大切だと、小林氏は言っています。ですので、温度管理のしっかりとした酒屋さんでないと取り扱いがありません。
Amazonや楽天でも検索すれば出てきますが、販売者が酒屋さんではない場合、小林氏の思いが乗ったビールは手元に届きません。ですので、私個人としてのオススメですが、ビアバーやビアパブで飲むのがいいと思います!
管理もしっかりとしていますし、やはり専用グラスやバーの雰囲気で飲むビールは格別です!ぜひ、取り扱いのあるお店で、専用グラスで召し上がっていただきたいですね!
ビール純粋令をフルシカト!?ドイツビール界の革命児「クルーリパブリック」!
実際はフルシカトではなく、しっかりとビール純粋令をリスペクトする思いと、ドイツ伝統のモルトの大切さが伝わるビールを造る醸造所です!それは飲んでみれば伝わってきます。
私は、初めてここのビールに出会ったときに受けた衝撃を未だ忘れられないでいます。
どこかのバーや酒屋さんで見かけたときはぜひ飲んでみて下さい!そしてそのお店は、ビールに対しての温度管理がしっかりしているお店だという証拠だということも忘れずに!
大澤 佑介
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