チーズに合うお酒といえば、まっ先にワインを思い浮かべる方が多いかもしれません。でも、実はクラフトビールもチーズと相性が良いんです。どんな組み合わせがおすすめなのか、ビールとチーズの専門店がコラボしたイベントに参加して、ペアリングをアドバイスしていただきました!
ビール専門店「Sanity」×チーズ専門店「LAMMAS」、初のコラボイベント開催
東京・三軒茶屋のクラフトビール専門店「Sanity」(サニティ)で、2022年6月12日、同じ三軒茶屋に店舗を構えるチーズ専門店「LAMMAS」(ランマス)とのコラボイベントが開催されました。当日は「Sanity」店内で「LAMMAS」のチーズ10種が提供され、お店はオープン直後から大盛況。
好きなビールと好きなチーズを組み合わせて、気軽に自由に楽しむのが正義なのですが、「Sanity」は10タップのドラフトビールと缶・ボトルのパッケージ商品合わせて400種類以上のビールとサイダー(シードル、リンゴのお酒)を扱っています。選択肢が多い分、チーズに合わせてどんなビールを選んだらいいのか迷ってしまいますね。
そこで今回は「Sanity」を運営する株式会社ヴィカーナ代表取締役社長/CEO・小川保幸さんと、「LAMMAS」の永田洋さんに、チーズとビールのペアリングについてアドバイスしていただきました。
「LAMMAS」厳選!欧州直輸入の上質なチーズ
「LAMMAS」は2014年、三宿にオープンしたチーズ専門店です。フランス・イタリア・イギリスを中心に、上質なチーズを直輸入。現地でしか食べられないようなチーズを、もっともおいしい状態で提供しています。
「LAMMAS」の永田さんは人気のビアフェス「つくばクラフトビアフェスト」実行委員会の代表でもあり、チーズだけでなくクラフトビールにも深くかかわってきた経歴の持ち主。「LAMMAS」三軒茶屋本店のご近所である「Sanity」に客として通ううちに、このコラボイベントの実現に至ったのだそう。
イベントでは、「LAMMAS」選りすぐりのチーズが「Sanity」店内にディスプレイされました。今回はそのなかから6種類をピックアップ。それぞれのチーズに合いそうなビールを探っていただきました。
クラフトビール×チーズ、ペアリングしてみた!
「Sanity」の小川さん、「LAMMAS」の永田さん、スタッフ、そして店内のお客様にも意見を聞きながら、ペアリング談議を開始!
「チーズを10種類全部食べてみましたが、全体的に、ヘイジーIPA以外は合う気がしています」と小川さん。個性の強い、ガツンと主張のあるチーズが多いので、主張と主張がぶつかり合いそうなビールは選ばず、のどごし軽快なラガー推しの傾向。
では、個別に見ていきましょう。
スモーキーで濃厚なチェダー×へレス、ポーター
「オーク・スモーク・ヴィンテージ・チェダー」は、オークで燻製してから熟成させたチェダーチーズ。非常にまろやかで濃厚な味わい。スモークの芳醇な薫りと、長期熟成による旨みが堪能できます。しっとりした食感。滑らかな舌触り。
このチーズに合いそうなのは、まず、黒色系のビール。永田さんはこのチーズに合わせて、イベント当日「Sanity」でドラフトで提供されていたPassific Brewing「POTTO」(Swedish House Porter)をオーダーしました。
小川さんは、チーズのコクのある味わいにへレスラガー全般が合うのではないかということで、Yorocco Beer(ヨロッコビール)「Bright Moments」をチョイスしてくれました。
旨みの強いチェダー×ワイルドエール
英国のチェダー農家モンゴメリー家のチーズ、「チェダー モンゴメリー」。布を巻き、ラードを塗ってバクテリアを寄せ熟成させるため、複雑な味わいで、強い旨みとコクの余韻が楽しめます。若いうちは軽い酸味とやさしいミルクの風味に若干ナッツのような香りも。熟成の長いものは香ばしさとスパイシーさ、熟成の香りの入り交じった味わいです。
「チェダー モンゴメリー」には野生酵母を使ったワイルドエールが合うのでは、と小川さん。ベルギーのブルワリーLambiek Fabriek(ランビーク ファブリーク)のランビックをおすすめしてくれました。Lambiek Fabriek「Oude Geuze Bord-Elle」(写真左端)は、さまざまなヴィテージのランビックをブレンドし樽熟成した1本。酸味があり、「チェダー モンゴメリー」同様に複雑な味わい。
さわやかな酸味のチーズ×サワーエール
「サルヴァ クレマスコ」はイタリアのチーズ。元牛乳店の農家が、良質なミルクを作るところから突き詰めて仕上げています。外皮付近はねっとりとした旨みで、中心部は白くコクコクした食感。ウォッシュチーズとセミハードチーズ両方の性質を持ち合わせているのが特徴。ヨーグルトのようなフルーティーな酸味が個性的です。
「酸味と酸味、同じ味の方向性」(永田さん)ということで、「サルヴァ クレマスコ」にはサワーエールを。スタッフ益山さんが当日飲んでいたのは、スウェーデンのブルワリーBrekerietの「PINK PASSION」。パッションフルーツとハイビスカスを使ったワイルドエールで、酸味があり、野生酵母の醸す繊細なフレーバーが感じられます。
サワーIPAが合うのではないかと、小川さんがチョイスしてくれたのはBREWSKI「Floripa Sour IPA」。アメリカンホップとマンゴーを使用し、トロピカルな味わい。「程よい酸味が合います」と小川さん。
スパイシーな外皮つきの羊乳チーズ×セゾン
シチリア産の「ペコラ シチリア スタジョナータ ペペ イン クロスタ」は、外皮にびっしりと粗挽き黒胡椒をまぶして熟成する点が最大の特長。内側は羊乳の甘味のある強いコク、外皮近くに行くほどスパイシーです。
スパイシーな外皮つきのチーズには、セゾンが合いそう。取材当日はお店にありませんでしたが、Yorocco Beer「Peninsula Saison」、京都醸造「一期一会」がおすすめ。
出汁っぽい旨みを感じる羊乳チーズ×ビターなエール、ラガー
羊の全乳を使用したアルティザンチーズ(職人が伝統的な製法で丁寧に造ったチーズ)「ピレネーブルビー」。上下をひっくり返し表面を磨く作業を定期的に行った後、温度と湿度が管理された熟成庫で長期間熟成。乾いた牧草の香りが感じられ、羊乳のやさしい甘みとコクが広がります。和食の出汁っぽい旨みも感じられるかも。
小川さんがこのチーズに合わせてセレクトしてくれたのは超ビターな味わいのDE RANKE「XX bitter」。ラガーも合うのでは、とPassific Brewing「Passific Lager」もおすすめしてくれました。
ブルーチーズに合うのはやっぱりワイン?
「シュロプシャー コルストン バセット」はナッツのような風味に青カビのピリっと感があるブルーチーズ。長期熟成によりまろやかでコクがあり、バターを思わせる口溶け。余韻がとても長く深い味わいです。
このチーズについてはお客様から、ブルーチーズにはやっぱりワインが合うんじゃないか、という声が……。ビールよりもハードサイダーが合うという意見も。「Sanity」は国内外のサイダーも置いているので、トライしてみるのもいいかもしれません。
速報!LAMMAS×Sanityコラボ、今後の展開は?
今回のコラボイベントは大好評のうちに幕を閉じましたが、お客様からの「またやってほしい!」との声を受け、さっそく次回の開催日程が決定!
【「LAMMAS」×「Sanity」コラボイベント】
次回開催日:2022年7月10日(日曜日)
午後2時~午後8時
※「Sanity」は午後10時まで営業
チーズのラインナップはガラッと変わり、ビールの在庫も取材時と異なるかもしれませんが、この機会にチーズとビールのペアリングを楽しみましょう。詳細は「Sanity」のSNSでご確認ください。
「LAMMAS」は「Sanity」と至近!ペアリングを自由に楽しんで!
小川さん、永田さん、それぞれにペアリングについて語っていただくと、
「その日の気候や、ご自身のコンディションでいろいろと変化すると思います。まずは1番好きなスタイルのビールと合わせて楽しんでもらった後、未体験のスタイルを挑戦してもらいたいです。新しい出会いにつながるかもしれません」(小川さん)
「チーズの産地とビアスタイルのルーツの土地を合わせていくのが近道です。でも、チーズも生産者によって味わいが違うし。なんとなく方向性は提示できるんですけれど、やっぱりご自身で召し上がって、いろいろ試して冒険していただくのが一番」(永田さん)
食べ物はそれぞれの好みで楽しむもの。ペアリングの一例はご紹介したものの、バイアスをかけずに自分の直感でおいしいビールとチーズを選んで堪能してください。
チーズ専門店「LAMMAS」三軒茶屋本店は、「Sanity」から歩いて3、4分と至近。コラボイベントの日程に予定が合わなかった方は「Sanity」でビールを買って「LAMMAS」でチーズを調達し、家飲みするのも◎。「LAMMAS」は六本木にも実店舗があり、通販サイトもあります。
今回ご紹介したペアリングを踏まえて、自分にとってのベストマッチな味わいを探してみては?
【関連サイト】
「Sanity」公式インスタグラム
【販売サイト】
チーズ専門店「LAMMAS」
【参照サイト】
クラフトビール専門店「Sanity」× チーズ専門店「LAMMAS」による1日限りのコラボイベント!
好評につき2回目!三軒茶屋でチーズ専門店「LAMMAS」とクラフトビール専門店「Sanity」によるペアリングイベント開催