「そのマリアージュは無理があるのでは…」
と驚愕してしまう商品がSNS時代を背景に、増えているような気がする。例えば、「明星 一平ちゃん夜店の焼そば」がショートケーキ味やチョコソース味をリリースしたのは記憶に新しい。ガリガリ君がナポリタン味を出して3億円の赤字を出した、というニュースが駆け抜けたこともあった。
食品に限らず、「さかなクン」と「東京スカパラダイスオーケストラ」がコラボをしたり、「阪神タイガース」と「ドラゴンボール」がコラボしたりなど、世は空前の謎マリアージュ時代に突入した感がある。
ビール業界でも、ちょっと振り返るだけで、
「京急」×「キリンビール横浜工場」
「エバラ食品」×「アサヒビール」
「Amazon」×「ヤッホーブルーイング」
といった数々のタッグが組まれ、話題を提供してくれた。ところが、今から10年以上前から謎の組み合わせを誇るビールが密かに発売されていたのをご存知だろうか。
そばビールである。
リリースしているのは北海道に籍を置く「えぞ麦酒」。この会社はちょっとユニーク。札幌に住むアメリカ人がアメリカはオレゴン州の醸造所と共同で造っているのだ。瓶をよく見ると、「原産国:アメリカ」となっているのはそういう事情による。
実はかなり以前から「一度飲んでみたいな」と思いつつ、何となく「まあ、また今度でいいや」と10年近く先送りしてきたこのビール、今回飲んでみることに。
香りは弱い。そして、一口飲んで思い切り裏切られた感じがする。思いを一言で表現するなら、
そば???どこ???
である。注文した激安フカヒレスープをスプーンでぐるぐるかき回した後のような途方に暮れる感覚に陥る。
試しに妻に「このビールには、とあるユニークな副原料が入っています。さて、何でしょうか?」とクイズを出してみたけど、全く答えることができなかった。
が、そば感があるかないかはひとまず置いて、ビールとしては普通に美味しい。ホップ由来だろうか、ほのかな柑橘系のアロマが感じられ、酸味と苦みが程よく調和している。やたらと飲みやすいなと思ってアルコール度数を見ると、3.0度とある。かなりライトだ。うん、後味にかすかにそばの風味を感じるような(感じないような)。
そばビールという和な雰囲気が漂うアイテムながら、オレゴン産の二条大麦麦芽とノースダコタ産のそばを使用している。ルチンやたんぱく質、各種ビタミンなどを含むそば。えぞ麦酒的には健康ビールという位置付けのようだ。
あまりビールに健康要素は求めていないし今後、このアイテムとどう向き合おうか?と悩んで答えが出た。大晦日にぴったりだ。
年越しそばがビール、なんてロックではないか。