ビールが超クリーミーに泡立つ「麦芽粕釉薬のタンブラー」誕生!開発者に聞くモルト再利用のワザ

ビール醸造の過程で生まれる麦芽のしぼり粕・麦芽粕(モルト粕、ビール粕)をアップサイクルした「麦芽粕釉薬のタンブラー」が発売になりました! 麦芽粕釉薬(ゆうやく)の風合いがナチュラルな陶器のビアタンブラーで、持ちやすいデザイン。ビールがクリーミーに泡立ちます!

※アップサイクル=廃棄されてしまう素材に付加価値を持たせ、新たな製品にすること

クラフトビールの麦芽粕を再利用!「麦芽粕釉薬のタンブラー」

麦芽粕釉薬のタンブラー
「麦芽粕釉薬のタンブラー」

「麦芽粕釉薬のタンブラー」は、京都市内のクラフトビールブルワリーから出る麦芽粕を再利用してさまざまな製品を造っているブランド、1/6(ONE SIXTH 、ワンシックスス)の新商品。麦芽粕入りの釉薬がかかった陶器製のタンブラーで、ブラック、ブラウンの2色展開です。

※釉薬=陶磁器の素地にかけるガラス質の溶液。焼成すると表面に層ができてなめらかになる。

麦芽粕釉薬のタンブラー
手になじむ、細身のデザイン
麦芽粕釉薬のタンブラー
内側は釉薬がかかっておらずザラザラしていて、泡立ち◎

細身で持ちやすく、すっきりしたデザイン。内側には釉薬をかけず、素焼きのザラッとした面を残していて、ビールがクリーミーに泡立ちます!

都市部のクラフトビールブルワリーでは、麦芽粕は産業廃棄物として捨てられるケースがほとんど。ONE SIXTHでは麦芽粕を食品にアップサイクルした商品も扱っていますが、釉薬にすることでさらに多量の麦芽粕を再利用することができます。

麦芽粕釉薬の質感がナチュラルで、使い勝手も良い「麦芽粕釉薬のタンブラー」。ビールが好きな方へのギフトにも喜ばれそう。購入できるのは、ONE SIXTHやナチュラルグッズ店「mumokuteki goods&wears」のオンラインショップ。京都市内にある店舗「mumokuteki goods&wears 京都店」でも取り扱いがあるので(2024年6月現在)、一度実物を手に取ってみては?

【「麦芽粕釉薬のタンブラー」 商品概要】
販売価格:2,500円(税別)
大きさ:(約)直径80mm × 高さ175mm (商品により若干の誤差あり)
素材:陶器
色:ブラック、ブラウン
仕様:紙箱入り
販売サイト:
1/6(ONE SIXTH)オンラインショップ
mumokuteki goods&wears オンラインショップ
取り扱い店舗:
mumokuteki goods&wears 京都店
〒604-8061 京都市中京区式部町261 ヒューマンフォーラムビル 1F

麦芽粕釉薬開発者に聞く、再利用のワザ

麦芽粕を陶器の釉薬として再活用する……それってどんな方法で運用してるの? 「麦芽粕釉薬のタンブラー」の開発者に聞いてみました!

麦芽粕
乾燥した麦芽粕(右)と、麦芽粕粉(左)

麦芽粕釉薬は、「麦芽粕を灰にしたものを、現在は、伝統的な釉薬(黒天目釉や天然土灰釉)に添加して使用しています」とのこと。

もともと、麦が属するイネ科の植物の灰は、昔ながらの天然素材を使った釉薬の主原料(ベースとなる成分)の1つなのだそう。それを踏まえれば麦芽粕を釉薬にするのは理にかなったことなのですが、制作過程ではかなりの苦労があったようです。

「麦芽との出会いで苦労した事は、材料から原料にする過程です。
(灰にするために)電気窯で焼いてみたところ、煙の発生対応と窯への負担、最適な温度の見極め等、麦芽の機嫌を損ねないように手探り状態でした。現在は焼く温度を上げたりと、調整中です。
灰になった麦芽はまだまだ殻が残り、粒度を調えるためふるいにかけますが、はじめの頃は殻が多く残ってしまい、すり鉢も使ってようやく原料に仕上げました」(開発担当者)

麦芽粕釉薬のタンブラー
素焼きの状態のタンブラー

ベースとなる釉薬にどれくらい麦芽粕を足すか、その配合率も何通りかテストし、口当たりも考慮して、なめらかな状態に焼き上がるように調整。「まだまだ麦芽粕の特性を生かした表現にはいたっていませんが、マットな仕上がりなど、これから表現の幅を拡げていきたいと思っています」と、今後の展望も語っていただきました。

工夫次第で多用途に使える!麦芽粕粉も販売中

ONE SIXTHの麦芽粕粉
オンラインストアで購入できる、ONE SIXTHの麦芽粕粉

麦芽粕は、高たんぱく・高食物繊維・低脂質・低グルテンで、栄養価が高いのが特徴。加工次第で食品としてもおいしく活用できます。
ONE SIXTHのオンラインショップでは、麦芽粕を乾燥させて粉末にした麦芽粕粉を販売。乳製品との相性が良く、ヨーグルトやアーモンドミルクに混ぜて飲んだり、小麦粉と混ぜてお菓子作りにも使えます! 

1/6(ONE SIXTH、ワン・シックスス)とは?

ONE-SIXTHロゴ
1/6(ONE SIXTH、ワン・シックスス)は、クラフトビールの醸造で出る麦芽の絞り粕=麦芽粕(ばくがかす)を再利用して、さまざまな製品を造っているブランド。京都市内の醸造所から麦芽粕を回収し再利用できる形に加工するまでの工程を障害のある方たちと一緒に取り組み、市内の飲食店などとともに製品を開発。循環型の社会や、障害のある方の賃金向上を目指して活動しています。

写真提供:1/6(ONE SIXTH)

【関連サイト】
1/6(ONE SIXTH) オンラインショップ

麦芽粕再利用プロジェクト オフィシャルページ

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のび子

日本文化にまつわる分冊百科の編集担当を経て、料理専門誌編集部へ。食のサステナビリティ、クラフトビールが生み出す地域のコミュニティ・資源循環を取材。超少食だが酒はわりと強い。

よなよなの里