みなさん、いつもよりお洒落をしてレストランで食事をするとき、食前酒はどうしていますか?
居酒屋では「まずはビール!」という方も多いはずですが、レストランでビールってなんとなく頼みづらいとか、シャンパンやワインの方がいいのかなと思ってしまうかもしれませんね。
元フレンチレストランの料理人である私が、あるフレンチレストランでサービスを担当していた時、食前酒(初めの一杯)にビールを頼む方が少ないことに驚きました。もしかすると、かしこまった雰囲気のレストランでは、シャンパンやワインなどを頼まないといけないという固定観念があるのかもしれません。しかし、実は食前酒にはビールが非常に合うんです。
今回は、場所を問わず華やかなレストランでも、食前酒としてビールがマッチしていることを3つにまとめてみました。
1. 食前酒は食事を楽しむための初めの一杯
食前酒は文字どおり、食事の前に飲むお酒のことを指します。レストランに到着して食事内容を考えながら、連れの方と談笑しながら楽しんだり、席につく前にバーカウンターで飲むこともありますね。
食前酒を意味するラテン語の「アペリティーヴォ」は「食欲増進」を意味しているように、この食前酒が胃の働きを活発にし、食事をおいしくいただくために役立ってくれます。
それに、たとえば見知らぬ人と同じテーブルにつくときには、程よいアルコールがコミュニケーションを円滑にしてくれますよね。
そういった食前酒の目的を知っていただき、「レストランだからシャンパンやカクテルを頼まなくてはいけない」と思ってもらいたくはありません。
食事を楽しむためなんですから、レストランでもビールを飲んだっていいんです!
2. 適量のビールは体に良い
多くの人はもしかしたら、ビールは体に良くないというイメージを持っているかもしれませんね。
日本生活習慣病予防協会によると、毎日1パイント(470ml)のビールを飲む人は、心臓病、アルツハイマー、認知症、尿管結石、脳卒中の発症率が低くなっているということを明らかにしています。
さらに抗酸化作用のある物質「キサントフモール」ががん細胞の増殖を抑制すること、大麦に含まれる「βグルカン」がコレステロール値を下げる効果もあります。
そしてビールを適量日常的に飲む人は、ワインや他のアルコールを好む人よりも大幅にコレステロール値が低かったというデータもあるそうです。
これはいずれも適正量(1パイント以下)を守った場合の効果ですが、レストランでは脂っこいものを多くとりがちになってしまうので、このような効果は嬉しいですし、食前酒にビールを飲むと飲み過ぎ防止にもなるしちょうどよさそうですね。
食前にアルコールを飲むのはいいことですが、甘いお酒を飲んでしまうと血糖値が急上昇して体の負担となってしまうので、ビールの方が食前酒としてはとくにおすすめなんです。
3. クラフトビールはちょっと特別なビール
ここまで読んでいただいて、レストランでも積極的にビールを飲んでみようと思い始めている、と思っていただけたなら幸いです。
レストランで提供しているビールは、日本大手のビールメーカーのものが多い印象ですが、そんなときにクラフトビールが置いてあったらチャンスです!
元フレンチレストランのシェフであるわたしが勤めていたフレンチレストランのおすすめはヴァイツェンで、こちらは白身魚や貝類と相性がいいです。
ムール貝の酒蒸し、レモンなどの柑橘類を使った魚料理、ちょっと酸味の効いたカルパッチョなどがおつまみとしておすすめですね。
前菜のように軽く味わえる料理にはビールの相性がいいのはもちろん、そのまま魚料理や肉料理など、食前酒だけでなく他の料理にも万能に合わせることができるのがビールのいいところです。
メイン料理を選ぶなら、鶏肉のローストや牛肉の煮込み料理などが相性がいいでしょう。特にメインに味のしっかりとした牛肉や羊肉のローストなどを食べる場合には、黒ビールを合わせてもいいですね。
クラフトビールはそのままで十分に楽しめる濃厚な味わいになっているので料理に合わせてもいいですが、チーズにも合うので、デザートの前にゆっくりと味の変化を楽しみながらビールを味わうと通っぽいですね。
このように、クラフトビールはいつもよりちょっとゆっくりと時間をかけて味わうとおいしさが広がります。
居酒屋でさっぱりと飲むビールも美味しいですが、レストランで温度の変化や時間の経過で変わる味を料理と一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。
平野由香里
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