黒でも白でもない、赤いビール。お飲みになったことはありますか?
赤いビールは、忘年会やクリスマスなど年末に向けイベントが続くこれからの時期、雰囲気をさらに盛り上げてくれるいちおしのアイテムです。
華やかな乾杯のシーンを是非、この機会にどうぞ。
赤いビールいろいろ
1.アイリッシュスタイル・レッドエール
赤いビールといえば、まずはこちら。ご覧ください。写真のクリーミーな泡を…!
もはや知らない人はいない黒ビール「ギネス®️エクストラスタウト」が生まれたアイルランドに、レッドエールという伝統的なスタイルの赤いビールがあります。
そのアイリッシュスタイル・レッドエールの代表的な銘柄といえば、Kilkenny®️(キルケニー)です。
この極上の泡こそキルケニーの真骨頂。
ひと口含むと、なめらかな舌触りに驚かされます。
炭酸があまり強くないため飲みやすく、ふわりと優しいモルトの風味に包まれます。苦味はほとんどありません。
あっさりとしていて後口もドライなので、何杯も飲めそうな気持ちになりますが、最初の一杯のみならず食中酒として様々な料理と一緒に楽しめるのも、キルケニーの嬉しいところ。
たとえば濃厚なチーズ、シェパーズパイや牛肉のシチューなどとのマリアージュはいかがでしょうか。
アイリッシュスタイル・レッドエールは、アイルランド国内ではスタウトに並ぶ人気とのこと。他の銘柄は、アイルランド限定のSmithwicks Irish Aleや、スタウトで有名なMurphysの Irish Redなどもありますが、日本で飲める機会はなかなかありません。
ご覧の通り、キルケニーのラベルにはしっかりとアイリッシュグリーンが添えられていて、誇り高き伝統を感じます。
赤いビールの代表格キルケニーに会いに、お近くのアイリッシュパブへ足を運んでみましょう!
【参照ページ】https://www.kirin.co.jp/products/beer/taruzumenama/lineup.html
赤い色の秘密
このようなビールの色は、どんなふうに生まれるのでしょうか。
それは、原材料に含まれるモルト(麦芽)に由来しています。
一般的に使われる淡色のモルトに、濃色のモルトを混ぜることで、仕上がるビールの色合いに違いが生まれますが、先述のキルケニーにはキャラメルモルトが使われており、そのために赤みがかった色になります。
たとえばスタウトなどの黒いビールには、ブラックモルトやチョコレートモルトが使われます。ビールの色には、使用するモルトの種類やその配合が大きな影響を与えているのです。
それ以外では、ビール造りの工程において、仕込みに使われる水にミネラル分が多く含まれる場合や、麦汁を煮沸する時の化学反応によっても、濃い色が出やすくなるようです。
いくつもの要素が複雑に重なり合って生まれた、きれいな赤い色。
その魔法のような儚さを、目でも楽しみつつビールを味わいたいものですね。
2.フランダース・レッドエール
続いては、ベルギーのフランダース地方で古くからつくられている赤いビール、フランダース・レッドエールです。ウィンナモルトなどの赤い色のモルトが使われることと、独特の醸造法により、美しい赤褐色に仕上がります。
もちろん銘柄によって違いはありますが、フランダース・レッドエールの特筆すべきキャラクターは、なんといっても乳酸菌と酢酸菌のもたらす「酸味」です。この酸味は、すっぱいのひとことでは言い尽くせない旨みが詰まった格別なもの。オークの桶や樽で長期熟成されることによって、木の香りやタンニンの渋味が溶け込み、フルーティーな風味もあいまって「ビールの中で最も赤ワインに近い」と評されるほどの味わい深さがあります。
酸味のあるビールなんて信じられない…とお思いになるかもしれませんが、いわゆる一般のビールとはかけ離れたこの特異な美味しさは、知る価値があります。あなたを戸惑わせ、ビールに対する常識を変えてしまうかもしれない。それほどの魔力を秘めているのが、フランダース・レッドエールなのです。
写真は、Queue de Charrue Brune(クーデ・シャルル・ブラウン)。
オーク樽で約一年半熟成させることにより、まるでブドウのような甘みと酸味を主体とするバランスの良い味わいに仕上がっています。
合わせる食事には、マリネなど酸味のある料理のほか、ソーセージや肉料理、クリームチーズを使ったデザートなども相性が良いです。
【参考】https://ja-jp.facebook.com/queuedecharrue
フランダース・レッドエールといえば、Duchesse de bourgogne(ドゥシャス・デ・ブルゴーニュ)も、人気の銘柄。こちらは、まったりとした重厚感があり、豊かな芳香、果物は一切使用していないのに不思議なほど果実味をともなう上品な甘み、そこへ円熟を感じさせる酸味が加わった至高のビールです。
ベルギービールを飲む機会があれば、一度フランダース・レッドエールを試してみてください。テイスティングコメントに、プラムやダークチェリー、バニラやチョコレートといったワードが一挙に登場するようなビールですから、きっと忘れられない体験となることでしょう。
その他
ここからはスタイルを限定せず、赤いビールを集めてみました!個性的なラインナップをどうぞ。
DANISH RED LAGER/Figueroa Mountain Brewing Co.
ヨーロピアンキャラメルモルトを使用。カリフォルニア州にあるデンマーク村にインスパイアされて作られたそうです。モルトの香ばしいフレーバーが楽しめて、クリーンなキレがありつつも、軽くなり過ぎない飲みごたえがあります。赤くてエールのようなのにラガー、という意外性も素敵。
【参考】http://www.figmtnbrew.com/catalog/core/danish-red-lager
5AM Saint Red Ale/BrewDog
グレープフルーツのようなホップの香りが、これほどまでに立ちのぼるフルーティーなアンバーエールはちょっとめずらしいかもしれません。ペアリングするフードには、フルーツのソースを添えた肉料理や、意外なところではアップルパイなどもおすすめです。ホップの魔術師ブリュードッグならではの逸品。
【参考】https://whisk-e.co.jp/products/5amredale/
アップルシナモンエール/サンクトガーレン
栓を開けるとキャラメル、シナモン、メープルのコクのある芳醇な香り。その甘やかな香りから想像されるよりも控えめな甘さと、モルトの織りなす味わいは多層的で、後味にリンゴの存在感。使うリンゴの選定にも、こだわっています。秋冬限定発売。
※写真はハロウィンバージョンのラベルです。
【参考】https://www.sanktgallenbrewery.com/beers/apple-cinamone-ale/
年末年始にかけて、人が集まる機会が多くなると、美味しい食事は欠かせませんよね。食事と一緒にビールも気が利いたものを選びたい、でも好みは人それぞれだし何を基準に選んだらいいのものか…と悩むこともあるかもしれません。そんなとき、今回のようにテーマカラーを決めて、さまざまなスタイルのビールを揃えてみてはいかがでしょうか。「いつものビール」を脱却して、新たなビールに出会う良いきっかけにもなりますね。
今回ご紹介したもの以外にも、赤いビールは数え切れないほど存在しますので、あなたのお好きなタイプを見つけてみてください。
さて、赤いビールに触れたからには、次回は…もうおわかりですね。
紅白後半戦は、みんな大好き あのビールを特集します。
【参考文献】
- ビールの図鑑/株式会社マイナビ/2013年5月30日初版発行
- ベルギービールという芸術/著者:田村功/株式会社光文社/2002年9月20日初版発行
Mariko
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