クラフトビールをテイクアウトして家飲み!知っておきたいグロウラー活用術

グロウラー

ビールのテイクアウトに便利なアイテム、グロウラー(グラウラー)を知っていますか?

飲食店でのテイクアウトが普及している今、クラフトビールを持ち帰って家飲みする習慣も広がりつつあり、グロウラーの名も少しずつ浸透してきていますね。でも、名前を聞いたことはあるけど利用法は知らないという方や、もう持ってるけどお手入れ方法がわからないという方もいるでしょう。今回は、ビールの量り売りをコンセプトとするショップのオーナーと店長さんから、グロウラーについてお話を聞きました。

ビールのテイクアウトに便利!くり返し使えるグロウラー(グラウラー)

グロウラーとは、ビールをはじめとした飲料を入れるリユース容器のこと。普通の水筒や魔法瓶と違って耐圧性があり、炭酸を充填できる構造になっています。英語のつづりはGrowlerで、カタカナで表記する時には“グラウラー”とする場合もあります。

下北沢「TAP&GROWLER」はビールの量り売りをコンセプトにしたお店
下北沢「TAP&GROWLER」はビールの量り売りをコンセプトにしたお店。看板にはグロウラーのイラストがあしらわれている

グロウラーを持ってビアパブやリカーショップに行きビールをテイクアウトする文化は、欧米では習慣化しています。日本で広まり始めたきっかけは、やはりコロナウイルスの流行。外食の自粛が勧告されてテイクアウトの需要が増し、さらにお店への特例措置として酒類の販売免許が期間限定で簡易に取得できるようになったことで販売店も増えて、じわじわと浸透してきました。

東京・下北沢の「TAP&GROWLER」(タップアンドグロウラー)は、コロナが流行する前からビールの量り売りを導入していたお店です。他店とは違うコンセプトを打ち出そうと、2018年のオープン当初からオリジナルのグロウラーでビールを提供してきました。

「TAP&GROWLER」店長さん
「TAP&GROWLER」店長のディバート・ネレさん

基本的にビールの量り売りは、まず容器を購入し、さらにビールを注文してその容器に入れてもらうという流れです。容器の選択肢としては使い捨てのプラスチックカップやペットボトルなどもありますが、グロウラーはビールの持ち帰りに最適なアイテム。「TAP&GROWLER」オーナーの金井圭司さんと店長のディバート・ネレさんに、グロウラーの選び方や活用法などについて教えていただきましょう。

気軽に使えるガラス製のグロウラー

グロウラーには大きく分けて2つのタイプがあります。1つはガラス製のもの。もう1つはおもにステンレス製の真空断熱ボトルです。

グロウラー4種
左の2つは、「TAP&GROWLER」オリジナルのガラス製グロウラー、右の2つはステンレス製のもの

まず、ガラス製のグロウラーのメリットや使い心地はどんなものでしょうか。

「TAP&GROWLER」のガラス製オリジナルグロウラーはアメリカから輸入している特注品。ワインボトルのようにスリムな形態ではなく、泡があふれ出ないように肩の張ったスタイル。光によるビールの劣化を防ぐために遮光性のあるガラスで作られています。ステンレスのものに比べて安価で手軽。保冷はできませんが、冷蔵庫に入れて冷やせます。

「TAP&GROWLER」のオリジナルグロウラー
「TAP&GROWLER」のオリジナルグロウラー。32オンス(約0.9リットル入り、1350円前後)と64オンス(約1.8リットル入り、1860円前後)の2種を展開。輸入品のため、価格は変動する。キャップは別売り(30円)

専用の充填機でフレッシュなビールを持ち帰ることができる

「TAP&GROWLER」には、ガラスのグロウラー専用の瓶詰め機があります。ロシア製の機械で、見た目もかなりインパクトがありますが機能も先進的。まず酸化を防ぐため瓶内を窒素と二酸化炭素で充填し、圧力を掛けながら瓶の肌をらせん状に伝うようにビールを注いでいきます。ビールが瓶の底にソフトに着地するため泡立ちが抑えられ、フレッシュなままビールを注ぎ入れることができます。

ビールの瓶詰め機
ロシア製のビールの瓶詰め機。近未来感……

一般的には、TAPからグロウラーに直接ビールを注ぎ入れる店がほとんど。グロウラーを持ち帰ったあとは冷蔵庫に入れてしばらく置いておいた方が炭酸が落ち着きます。ただ、いずれにしても長期間保存せず、その日のうちか翌日くらいには飲んだほうが新鮮でおいしいのは間違いありません。

ステンレス製はバリエーションやオプションが豊富

ステンレス製のグロウラーは、メーカーによって性能がさまざまですが、ガラス製のものにはない保冷保温の機能が備わっています。キャンプ場でクラフトビールを飲んだり、屋外でビールを楽しむには便利です。オプション品も充実していて、注ぎ口を付けられるタイプや、もともとサーバーの仕様になっているものもあるので、ポータブルなビアサーバーとして使いたい方にもおすすめ。

取材時、在庫していた真空断熱ステンレスのグロウラー
取材時、「TAP&GROWLER」で在庫していた真空断熱ステンレスのグロウラー。左から、保温保冷の性能が高く、ワンタッチでキャップが開閉できる「REVOMAX2」(32オンス)、本格ビアサーバーのように使える「UKEG」(128オンス)、耐久性抜群で注ぎやすいハンドル付きの「DRINK TANKS」(32オンス)、100年以上の歴史があるブランドSTANLEYの「The Easy-Pour Growler」(64オンス)

ガラス製か?ステンレス製か?用途によって選ぼう

ガラス製か、ステンレス製か、どちらか1本買うとしたらどちらがいいか迷いますね。ネレさんにアドバイスしてもらいました。

お店で相談
お店に行って、ネレさんに相談するのもアリ

「(キャンプなどの用途で)ビールを保冷する必要があったり、別売りのオプションを付けてビアサーバーのように使いたいのであればステンレスのタイプがおすすめです。でも家に持ち帰って飲むならガラス製のもので十分かもしれないですね。値段も手ごろですから、気軽に買えます」(ネレさん)

長持ちさせたい!グロウラーのお手入れ方法

くり返し使えることがグロウラーのメリットの1つですが、清潔に、長持ちさせるコツってあるんでしょうか。お手入れ方法も気になります。下北沢「TAP&GROWLER」の姉妹店として2020年11月にオープンした渋谷「TAP&CROWLER」(タップアンドクロウラー)で、両店のオーナー金井圭司さんに聞いてみました。

下北沢「TAP&GROWLER」、渋谷「TAP&CROWLER」のオーナー
下北沢「TAP&GROWLER」、渋谷「TAP&CROWLER」のオーナー、金井圭司さん

中に入れたドリンクを飲みきった後、すぐに水ですすいで乾燥させることが基本ですが、もしグロウラーに匂いや汚れがついてしまったらケアしましょう。キッチンハイターのような台所用の漂白剤を薄めたものを注いでしばらくおいて置く(その後、よくすすぎましょう!)か、台所用のアルコールスプレーをボトル内部に吹きかけてから、しっかり乾燥させるのがいいそうです。「うちの店でテイクアウトをするお客さんのグロウラーが汚れていたら、クリーニングしてあげることもありますよ」(金井さん)。

朝コーヒー → 夜ビール、の新習慣を

金井さんは保冷保温機能のあるステンレスのグロウラーの活用法として、「朝は温かいコーヒーを入れて出勤して、帰りに空のグロウラーを持ってパブやショップに寄ってクラフトビールをテイクアウトするっていう使い方を提案したいですね」と話してくれました。

  ステンレス製のグロウラー

ステンレス製のグロウラーは見た目に反してかなり軽量

通勤用のバッグに入れても邪魔にならない大きさのグロウラーを選んで日常的に使えば、クラフトビールの持ち帰りがもっと身近なものになりそうです。朝コーヒー夜ビール、の使い方は今後、ビールラバーの新習慣になっていくかもしれません。

「パブっていうのはコミュニケーションする場、サードプレイスなんですよね」と言う金井さん。自由に外食ができない現状ですが、いつもの店に立ち寄ってビールやフードをテイクアウトするだけでもコミュニケーションが生まれます。馴染みの顔を見ると、お客さんも店員さんもほっとしますよね。今日あたり、グロウラーを持ってあの店に行ってみては?

【関連サイト】「TAP&GROWLER」
【関連サイト】「TAP&CROWLER」
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