2022年3月27日、東京・代々木のビアパブ「Watering Hole」(ウォータリングホール)で、「プラスアルファチャンピオンシップ」(+Alpha Championship、プラスアルファ選手権)の受賞者が発表されました! 今年で2回目の開催となるこのコンペティションは、国産の“ホップフォワードビール”の頂点を決定する大会。コンペを制したブルワリーは、いわば日本のIPAの王者です。2022年大会の覇者は? 結果をレポ―トします。
日本一の“ホップフォワードビール”は? IPAの王者を決める戦い!
「プラスアルファチャンピオンシップ」は、“バランスの取れた、美味しく楽しんで飲めるホップフォワードビールを決定する”コンペティション。まずはルールと審査方法を解説しましょう。
「プラスアルファチャンピオンシップ」のルール
・IBU60以上のビールであること
・認可された商業醸造所で醸造されたビールであること
・1醸造所につき1エントリのみ可能
以上3つのルールに基づきエントリーされたビールを審査します。ビアスタイルはIPAとDIPAが含まれますが、それらに限定はされません。発泡酒もエントリーできます(副原料はフレーバーを際立たせない範囲の使用に限定)。
「プラスアルファチャンピオンシップ」の審査方法
審査はすべてブラインドテイスティングで行われます。
【予選】 ブルワー、バー業界のスタッフ、メディア業界、認定ビール審査員のジャッジによって予選が行われます。風味、香り、苦味、飲みやすさ、バランス、ホップパンチに基づいてビールが審査されます。
※予選でもっとも評価の高かったビールには、「ジャッジ賞」(Judge’s Choice)が授与されます。
【決勝】 予選を勝ち抜いたファイナリストから、「Watering Hole」で行われるブラインドテイスティングイベント参加者(一般のお客様)の投票で、1位、2位、3位の受賞者を選出します。
詳しいルールや審査方法は「プラスアルファチャンピオンシップ」公式ページをご確認ください。
2022年の大会では、エントリーしたブルワリーは約30。そのうち、専門家のジャッジによる予選を通過したブルワリーは8つ。2022年3月25日~27日の3日間行われたテイスティングイベントでオーダーがあったのは150セット程で、1つのセットを複数の人がシェアしてテイスティングしていたケースも多く、参加したお客様の人数としては200人弱になるだろうとのこと。
ファイナルに残った8種のビール
「プラスアルファチャンピオンシップ」2022年の決勝審査に残った8種類のビールのブルワリーと銘柄は次の通り。一般のお客様によるブラインドテイスティングは、前回大会では8種のビールを2つのグループに分け、グループごとに1~4位の順位を付けるルールで評価を行いましたが、今年は8種・A~Hのビールを1位~8位まで順位付けする方法に変更。
A~Hのビールがどのブルワリーのものか、予想しながらテイスティングした方もいたかもしれません。リストを見て、予想と結果が合っていたか答え合わせをしてみてくださいね。
2022年の決勝審査に残った8種のビール
A:Inkhorn Brewing「Java Finch Spectrum」
B:West Coast Brewing「Starwatcher」
C:Devil Craft「Ceti Alpha VIII」
D:東京エールワークス「南無阿弥陀BREW IIPA」
E:伊勢角屋麦酒「Bravo!New World」
F:鬼伝説「BEANS THROW」
G:TDM1874「STAR DUST DIPA」
H:Far Yeast Brewing「Hop Frontier-Juicy IPA-」
結果発表!2022年「プラスアルファチャンピオンシップ」IPAの王者は?
では、今年の結果を見ていきましょう!
プレゼンターを務めたのは前回大会に引き続き、「Watering Hole」の林ゆうやさんです。
プラスアルファチャンピオンシップ2022 ジャッジ賞(Judge’s Choice)
Far Yeast Brewing「Hop Frontier-Juicy IPA-」
ビール業界のプロフェッショナルによる審査でナンバーワンとなったのは、山梨県小菅村を拠点にするブルワリー・Far Yeast Brewing。「Hop Frontier-Juicy IPA-」は最新のホップ理論と先進的な醸造手法を実践し、科学的なアプローチでホップの香気成分を最大限に引き出したビール。2021年にリリースされ、レシピを改良をしながらバッチを重ねています。Far Yeast Brewingは今回初めてファイナルに残り、初受賞。
プラスアルファチャンピオンシップ2022 3位
鬼伝説「BEANS THROW IPA」
昨年の「プラスアルファチャンピオンシップ」では「鬼は外IPA」が高評価を得た北海道登別市のブルワリー・のぼりべつ地ビール鬼伝説。今年もランクインです。「BEANS THROW IPA」は別名「豆まきIPA」。ヘイジー系の醸造で使用する酵母を使用し、麦芽の他にオーツ麦を採用することで口当たり良くスムーズな印象。ホップは「エルドラド」、「シトラ」を大量に使用し、パイナップルや柑橘類のような味わいと程良い苦味があります。
プラスアルファチャンピオンシップ2022 2位
伊勢角屋麦酒「Bravo!New World」
三重県伊勢市のブルワリー・伊勢角屋麦酒は、昨年の大会でファイナルの8ブルワリーに残り、今年は2位入賞。「Bravo!New World」は南半球産ニューワールドホップ「ギャラクシー」「モトエカ」「リワカ」の3種類を大量に投入。さらに、「ブラーボ」というホップからアロマ成分のみを抽出したホップエキスを使用し、甘い柑橘のような香りを表現。南国のフルーツを思わせる濃厚なアロマとフレーバーのヘイジーダブルIPAです。
プラスアルファチャンピオンシップ2022 優勝
Inkhorn Brewing「Java Finch Spectrum」
「プラスアルファチャンピオンシップ」2022年の頂点の座を手にしたのは、東京・目白を拠点に2021年に開業したInkhorn Brewing。「Java Finch Spectrum」は、Inkhorn Brewingが創業後最初にリリースしたビールの1つ「Java Finch」をアレンジしたビール。南国のフルーツのような香りと柑橘のフレーバー、苦味もしっかり感じる味わい。Inkhorn Brewingは昨年の大会でもエントリーし、ファイナルに残っていました。開業からわずか1年余りで優勝の快挙。会場に来ていたInkhorn Brewing醸造責任者の中出駿さんは、受賞後にスピーチしました。
「この審査会が好きな理由は、ドリンカビリティを重視している部分。ホップ感やドリンカビリティを両方出すということをいつも意識してIPAを造っているので、こういう審査会があること自体ありがたいと思っています。この企画を運営してくださっている皆さんに感謝です。ありがとうございます」(中出さん)
結果発表・授賞式の模様は「Watering Hole」の公式インスタグラムで、動画で投稿されています。盛り上がった会場の様子や、当日来場していたブルワーたちのコメントなども収録されていますのでぜひチェックしてみてください。
2022年は専門家と一般参加者との評価が分かれる。来年の展望は?
昨年の「プラスアルファチャンピオンシップ」は、プロフェッショナルな審査員の評価と一般参加者の評価が合致して、鬼伝説「鬼は外IPA」がダブル受賞(「ジャッジ賞」と「ピープルズチャンピオン」を受賞)となりましたが、今年は銘柄が被ることはありませんでした。決勝に残った8つのブルワリーは昨年と同じ顔触れもかなり見られたものの、入賞ブルワリーは鬼伝説以外は入れ替わっています。鬼伝説は今年も3位に入賞していて根強い人気。
「プラスアルファチャンピオンシップ」に興味を持った方は、次回ぜひテイスティングに参加しましょう!
そもそも、プラスアルファチャンピオンシップとは? その由来
最後に、「プラスアルファチャンピオンシップ」の由来をご案内。そもそも「プラスアルファチャンピオンシップ」とはどんなイベントなのでしょうか。
このイベントは、アメリカで行われているクラフトビールのコンペティション、「アルファキングチャンピオンシップ」に着想を得た大会です。「アルファキングチャンピオンシップ」が始まったのは20年以上前。究極のホップフォワードビールを見つける目的で開催され、アメリカ国内のIPAの王者を決めるイベントとなっています。業界内で大会の評価が高く、実力のあるブルワリーのステップアップにもつながってきました。
「プラスアルファチャンピオンシップ」は、その「アルファキングチャンピオンシップ」のいわば日本バージョン。日本で最高にホッピーなビールを決定し、業界全体を盛り上げようと開催されています。
【プラスアルファチャンピオンシップ2022年 大会概要】
2022年3月9日 エントリー登録締切
2022年3月20日 予選結果発表
2022年3月25日~27日 決勝戦(ブラインドテイスティングイベント)
2022年3月27日 結果発表・授賞式
会場:ウォータリングホール
主催:+α実行委員会
運営:EverGreen合同会社
協賛:ヤキマチーフホップ
Watering Hole
JAPAN BEER TIMES
TRANSPORTER
BET Co, Ltd
【関連サイト】
プラスアルファチャンピオンシップ 公式ホームページ
【関連ページ】
2021年プラスアルファチャンピオンシップレポート、IPAの王者が決定!日本一ホッピーなビールを決める頂上決戦の覇者は?