4月22日、東京・両国の麦酒倶楽部ポパイにて記者発表が行われ、2025年4月23日に日本のクラフトビール(地ビール)誕生30周年イベント「ビアEXPO2025」を開催することが発表された。
2025年を30周年としているのは、1995年に現代の日本で初めて小規模ブルワリーによるビールが流通し始めたことにちなんでいる。そして4月23日という日付は、日本地ビール協会(クラフトビアアソシエーション)を中心とする「地ビールの日選考委員会」が1999年に「地ビールの日」として選んだことにちなんだかたちであり、大元はバイエルン(ドイツ南部)で1516年にビール純粋令が発布された日にちが由来となっている。
ビアEXPOに参加するのは、ブルワリー、ビアパブなど飲食店、原料や機材の供給者、ビール輸入代理店、一般のビール愛好者など、ビールに関わるすべて存在と設定している。開催前年の2024年からは全国各地で開催予定のビールイベント、ビール愛好者と連携し、イベントの気運を醸成し盛り上げていく計画だ。
さらに、イベント開催と連動して、「日本クラフトビール業界団体連絡協議会(クラビ連)」も発足した。日本のビール文化を確固たるものにするために、すべてのビール業界関係者とビール愛好者が連携していく必要があるとし、全国地ビール醸造者協議会(JBA)、日本地ビール協会(CBA)、日本ビアジャーナリスト協会(JBJA)が発起団体となり、業界発展を目指す。さらに、ヤッホーブルーイングも事務局として参加している。
クラビ連発足のきっかけは、コロナ禍による打撃で業界が危機に瀕し、団体同士が連携する必要性の雰囲気が2020年末から出てきたことだという。さらに、国税庁資料によれば日本のクラフトビールは2000年代初頭に出荷量でさらに2019年時点の日本のクラフトビール(ここではキリンビール、アサヒビール、サントリー、サッポロビール、オリオンビールの5社を除くビール系飲料)の数量シェアは約1.2%にとどまり、同米国13.6%(最新調査年の2021年は13.1%)を筆頭に、他の先進国に大きく水をあけられている。伸び悩みの要因としてJBAの田村源太郎会長は以下の4点を挙げている。
- 認知度(認知不足、トライアル機会、付加価値理解)
- 経営基盤(小規模生産、売価高、販売先、投資リスク)
- 酒税負担など酒類事業者特有の収益性
- 技術習得機会(教育機関、学習機会)
こうした課題を解決するために、クラビ連の活動内容・目的は、「日本のクラフトビール業界のコミュニケーションハブになる」「 日本のクラフトビールの品質向上のため知見を共有・交換する」「より手に取りやすいクラフトビール環境を整え、市場規模を拡大する」「醸造所の経営基盤を改善、強化する(酒税減税の訴え)」「ビールのファン層を拡大し、ビール文化を高めるための啓蒙・広報活動を行う」としている。
今年からビアEXPOの企画検討を始め、2023年にはウェブコンテンツを拡充して情報発信を強化し、2024年には全国各地で連動イベント(前年祭)も加えていく構想だ。ビアEXPOの内容として現段階で構想されているのは四つ。展示会やセミナーなどの「カンファレンス」、フェスティバルなど消費者向けコンテンツを提供する「イベント」、各種情報を提供する「ウェブサイト」、さらに全国各地のイベントや飲食店と協働する「連動イベント」だ。
【参照ページ】日本クラフトビール団体連絡協議会(クラビ連)
長谷川小二郎
最新記事 by 長谷川小二郎 (全て見る)
- ワールドビアカップ2024受賞の国産銘柄をすぐ飲んでみた - 2024年4月26日
- 日本銘柄が金賞3本含む8本受賞! 2024ワールドビアカップ速報 - 2024年4月25日
- クラビ連「クラフトビール統計」で分かる、「使える統計」の在り方 - 2024年4月18日