なんだかよくわからないけど人口に膾炙している言葉ってあると思う。
例えば、「スカイスクレイパー」の意味はわからなくても、ついつい冷たい泉に素足をひたして見上げたくなるものなんだろうなと推測できる。「アブラカダブラ」という呪文のような言葉も、物心ついたときには耳馴染みのいい響きを帯びている。「ズンドコベロンチョ」もなんだかよくわからないけど、脳内に深く刻まれてしまっているのだ。
同じように「ギルガメッシュ」という言葉も、よくわからないけど脳内に刻まれている、ズンドコベロンチョ系ワードと言える。実はこの言葉、古代メソポタミアはシュメールの王様の名前である(この王様も自分の名前が数千年後、極東でお色気的色彩を帯びるなんて想像もしなかっただろう)。
アメリカ・オレゴン州の首都、セーレムにはその名も「GILGAMESH BREWING」というブルワリーがある。

ブルワリー名の上に置かれた、きのこの山とたけのこの里を足して2で割ってさらにひっくり返したような形。これはシュメールで使われた楔形文字で、「ビール」を意味しているのだそう。ちなみに、シュメール人はビールを常飲していたようで、ビールに関する最古の文字記録も残している。
そんなわけで、GILGAMESH BREWINGの「DJ JAZZY HEF」を選んでみた。なんとジャスミン茶入りのビールである。

後味はかなりお茶っぽい。ビールを飲んだ後、と言うよりも、お茶を飲んだ後のすっきり感がある。「これ、健康にいいよ!」と言われたら、早起きして毎日決まった時間に飲んでしまいそうだ。
お茶要素があるうえに全体的にトロピカルなので、気に入る女性も多いのではないか。タヒチのビールにヒナノというのがあるけど、

こんな感じのキュートな缶に入っていて欲しい一本だ。
最後に補足しておくと、このブルワリーを運営しているのは親父と3人の息子たち。キュートとは程遠い男たちがキャッキャキャッキャ言い合いながら、ジャスミンティーを入れている風景を想像しながら飲むのもまた乙である(本当か)。

