【小田原】地元の特産物をクラフトビールに!“Support Your Local”小田原ガレージブリューイング

小田原ガレージブリューイング

神奈川県小田原市に新しいクラフトビールブルワリーがオープンしました! 

2023年5月に開業した小田原ガレージブリューイングは、定番ビールを造る一方で、小田原産の農産物を使ったシーズナルビールをリリースし、地域の課題にも取り組みます。小田原名産の「十郎梅」を使ったビールがタップにつながったタイミングで、タップルームに行ってきました。

歴史ある街、小田原にオープン!小田原ガレージブリューイング

小田原ガレージブリューイングは、JR線と小田急線が乗り入れる小田原駅から徒歩約7分、伊豆箱根鉄道大雄山線・緑町駅のすぐそば。商店や飲食店、ホステルなどが軒を連ねる「うらちょう商店街」の一画にあります。

小田原
JR小田原駅。改札口には大きな小田原ちょうちん!
小田原ガレージブリューイング
小田原ガレージブリューイング

リノベーションした一戸建ての1階が醸造所、2階はタップルーム。タップルームはミントグリーンの壁色がさわやかで、陽当たりも良く、居心地のいい空間でビールが飲めます。

小田原ガレージブリューイング
1階は醸造エリア、2階がタップルーム

サンディエゴで出会ったクラフトビールのカルチャー

小田原ガレージブリューイング代表でブルワーの武藤浩さんがクラフトビールに出会ったのは、アメリカ西海岸。広告代理店に勤務していた十数年前、サンディエゴ滞在中に地元のブリューパブや、Stone、Ballast Pointなどの人気ブルワリーのビールを飲んでクラフトビールのカルチャーに触れ、ビ―ルを楽しむ空間を自分で造ってみたいと思うようになりました。

小田原ガレージブリューイング
小田原ガレージブリューイング 武藤浩さん

その後、飲食業界に転職し、独立。横浜・日ノ出町でバーをオープンします。一度ビールの醸造にかかわってみたいと、バーで提供するオリジナルビールを委託醸造したり、神奈川県産みかんを使ったビールのクラファンプロジェクトを立ち上げたりするなかで、ますますビールの面白さにのめり込むように。ついには自分自身で醸造したいと考えるようになり、武藤さんは、静岡のブルワリー・沼津クラフト等でビール醸造の研鑽を積みます。店舗を探し始めると学生時代を過ごした小田原で物件が見つかり、醸造所開設の準備をスタート。2023年5月に自社醸造ビールを初リリースしました。

小田原ガレージブリューイング
タップルームには、国内外人気ブルワリーのパッケージ商品も
小田原ガレージブリューイング
タップルームの内装はアメリカ西海岸のテイスト

ブルワリー名は、武藤さんが好きな車やバイクの分野で、好きが高じて自宅の倉庫内で自ら車両をカスタムする人を”ガレージビルダー”と呼ぶことに由来。

「この建物は最初ボロボロで、倉庫みたいだったんです。それに、僕は長く醸造にたずさわってきたわけではなくいわば後発組。ガレージビルダーならぬガレージブルワー、みたいな。そんな意味合いも含めてつけました」(武藤さん)

2杯目が飲みたくなる、軽やかな味わいのビール

武藤さんはもともと、アメリカ西海岸で飲んだ”苦くて重い”IPAが好みでしたが、自分でビールを造るようになってから「軽くて、口あたりが良くて、2杯目が飲みたくなるようなビール」(武藤さん)を好むようになったそう。小田原ガレージブリューイングのビールは麦汁を十分に発酵させ、ドライな仕上がりを目指しています。

小田原ガレージブリューイング
タップルームで提供される樽ビールは6種類。基本、1tapはゲストビールで、5tapはオリジナル
小田原ガレージブリューイング
小田原ガレージブリューイング「NAVIGATOR IPA」(IPA)
アルコール度数:6.5%

この日(2023年7月下旬)1杯目に飲んだのは、「NAVIGATOR IPA」。今後、小田原ガレージブリューイングのフラッグシップに育てていきたいというIPAのファーストバッチ。苦味は控えめ。ホップはStrata、Motueka、El doradoを使い、トロピカルなアロマが香る1杯。

小田原の名産品「十郎梅」を使ったセゾン!地域の農産物をビールに、資源の循環を目指す

もう1杯は、開栓したての新しいビール。小田原名産の「十郎梅」を使った「十郎梅セゾン」をオーダー。

小田原ガレージブリューイング
小田原ガレージブリューイング「十郎梅セゾン」(Saison)
アルコール度数:7.5%

「十郎梅」は小田原生まれのブランド梅で、実が大きく果肉が厚いのが特徴。「十郎梅セゾン」は麦汁に梅を入れて煮出し、発酵を終えてビールが仕上がった後にも再度香りづけとして梅を漬け込みました。ベースになるセゾンは、ピルスナーモルトと小麦麦芽がメインで、淡い色合い。ホップは白ブドウの香りのNelson SauvinとCitra。苦味のないスッキリした味わいで、後味にしっかりと梅の味わいが感じられます。武藤さんの狙い通り軽やかな飲み心地ですぐにグラスが空き、2杯目が飲みたくなるビール。

この「十郎梅セゾン」はすでにセカンドバッチも準備中で、麦芽のセレクトや比率をかえた新バーションも先々飲めることになりそう。

小田原ガレージブリューイング
看板には「Support Your Local」の文字

小田原は、みかんやレモン、日向夏など、柑橘類の特産地でもあります。しかし昨今はほかの地域と同様に、農家の人手不足で耕作放棄地が出てきたり、収穫がままならずに果物が畑で放置され、そのまま廃棄される事態があるそう。放置された果物をねらって野生動物が畑を荒らす被害も発生し、問題化しています。

小田原ガレージブリューイングでは今後、収穫されずに放置されている農産物をレスキューし、ビール醸造に活用する予定。醸造で出た麦芽粕を畑の堆肥にし、その畑で育った素材をビールにしていく、資源の循環にも取り組んでいきたいと考えています。

地元密着!クラフトビールで地域を盛り上げる

「クラフトビールは地元の農産物を活用したり、地域を活性化することに向いてるなと思うんです。僕は、“地元密着のビール屋”を目指したいと思っています」(武藤さん)

小田原
江戸時代から宿場町としてぎわった小田原は、歴史を感じる観光スポットも多数。ビールを飲む前に、小田原城址に行ってみるのも◎

小田原ガレージブリューイングで、小田原ならではのビールを味わってみては?

小田原ガレージブリューイング
住所:〒250-0011 神奈川県小田原市栄町3-5-19
営業時間:
月・火・木・金、17:00~22:00
土・日、12:00〜21:00
定休日:水曜
※2023年8月時点の情報です。お出掛け前にSNS等で最新の情報をチェックしてください。

【関連サイト】
小田原ガレージブリューイング オフィシャルサイト

小田原ガレージブリューイング インスタグラム

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のび子

日本文化にまつわる分冊百科の編集担当を経て、料理専門誌編集部へ。食のサステナビリティ、クラフトビールが生み出す地域のコミュニティ・資源循環を取材。超少食だが酒はわりと強い。

よなよなの里