日本各地のブルワリーのビールを産地直送で、しかもサーバーが付けられる樽で受け取れる通販プラットフォーム、「ビールの縁側」。仲間が集まるホームパーティ、キャンプなどでクラフトビールを楽しむのにぴったりなサービスです。「My CRAFT BEER」編集部はこのサービスを実際に体験。利用して感じた疑問を、運営会社の担当チームにお聞きしてきました。
「ビールの縁側」にすでに会員登録している方にも、検討中の方にも参考になるTipsを盛り込んでレポートします!
産直の樽ビールが楽しめる「ビールの縁側」
「ビールの縁側」は、2021年4月に本格始動した新しい通販プラットフォーム。日本各地のブルワリーからクラフトビールを樽で直接購入できる、産地直送型のサービスです。
「ビールの縁側」はサブスク(サブスクリプション。定額料金を支払い、一定期間利用するサービス)ではなく、必要な時にその都度オーダーするサービスなので、人が集まる際やレジャー時、ギフトなどでスポット的に注文するのに便利。そこで編集部は年末の会合に合わせて「ビールの縁側」を利用し、体験レポートを配信しました。
飲み会で実際に使ってみて、樽・ポンプの使い方やサービスについていくつかの疑問が浮上。今回は「ビールの縁側」を運営している原田産業株式会社さんにアポイントを取り、「ビールの縁側」を利用して感じた疑問・質問を、プロジェクトの担当メンバーにお聞きしてきました。
プロジェクトは、ブルワリー訪問からはじまった
早速、原田産業さんの東京オフィスへ。原田産業株式会社フードマテリアルチーム、プロジェクトマネージャー平田洋介さん、土居楓さん、須田翔馬さんの3人にお話をうかがいました。
まずはこのプロジェクトが始まったきっかけや「ビールの縁側」のサービスの展開についてのお話から。
原田産業株式会社は、創業1923年の歴史ある総合商社。本社は大阪にあり、造船、建設、エレクトロニクス、ヘルスケア、食、生活など多分野の事業を展開しています。
「ビールの縁側」を企画したフードマテリアルチームはもともと、大手ビールメーカー向けに、ビール関連機材を海外メーカーと共同開発したり国内外の展開をサポートする事業などを担ってきました。クラフトビールを軸にしたプロジェクトを企画しようと動き出したのは、2018年の秋ごろのこと。
「まずいくつかのブルワリーを訪ねて、どんな課題があるのか、ブルワリーにとって魅力のあるサービスはどんなものか、お話をお聞きすることから始めたんです」(平田さん)
当初は、ブルワリーとお店をつなぐBtoBの事業を想定していましたが、ヒアリングを続けるうちにBtoCの方向にシフト。ブルワリーにとっても消費者にとってもメリットのあるプラットフォームを立ち上げようと、企画を詰めていきました。
「そこから、ビジネス自体の作り込み、設計、オペレーションの構築に時間がかかりました」と平田さん。ブルワリーの意見だけでなくビール好きの人の意見も聞きたいと、夜な夜なバーに行って聞き込みもしたそう。
「飲ん樽」って?電源不要、ガスカートリッジも不要
プロジェクトの方向性がまとまりつつあった時、ドイツで毎年行われるビール関連機材の展示会に参加。そこで出会ったのが、「ビールの縁側」の特徴の1 つである「飲ん樽」(のんだる)の原型になるアイテムでした。開発チームはサイズやデザイン、品質などを日本向けに改良して「飲ん樽」を完成させました。
「飲ん樽」は、特殊なフィルムで作られたインナーバック(内袋)にビールが充填されていて、中のガスを逃さず酸素に触れにくい構造。一般に普及している鮮度保持のお醤油容器のような仕組みで、ビールの鮮度が長くキープされます。この「飲ん樽」に専用のポンプをつけてサーバーとして利用。空気圧でビールを注ぐので、電気も炭酸ガスカートリッジも不要で、場所を選ばずビールをサーブできることが大きなメリットです。
本格始動、旅先でご当地のビールを楽しめる「店舗受取」も開始
2020年11月に会員登録受付けを開始し、しばらくは限定販売というスタイルで運用。2021年4月に本格始動。家飲みのニーズが高まったことや、父の日など記念日にギフトとして利用する方も多く、会員も参加するブルワリーも徐々に増えました。
2021年7月からは、注文・決済した後にブルワリーで「店舗受取」ができるサービスをスタート。自宅でビールを注文・決済し、旅先で地元のブルワリーからビールを受け取って、そのままホテルの部屋で飲んだり、キャンプ場で楽しんだりすることもできるようになりました。
「『飲ん樽』は電源が要らず場所を問わずに使えるので、旅先やアウトドアでもビールが楽しめるんです」(須田さん)
もちろん、ご近所のブルワリーのビールを「ビールの縁側」でオーダー・決済して店舗に行き、「飲ん樽」を受取って家飲みするという活用法もありです。「店舗受取」は料金的にもお得。配送の作業がないためよりフレッシュなビールを受け取ることができます。
使って感じた疑問を開発チームに投げてみた!「ビールの縁側」Q&A
そんな「ビールの縁側」を体験したことがある人なら、はじめて「飲ん樽」やポンプを利用する時に、あれ、これどう使うの? と迷ったことがあるんじゃないでしょうか。今までになかった新しいアイテムですから至極当然です。編集部が「ビールの縁側」を使って感じた疑問を、開発プロジェクトチームの皆さんにお聞きしてみました。【Q.】は編集部からの質問、【A.】は開発プロジェクトチームの皆さんからのご回答です。
「飲ん樽」保存のコツ
【Q.】飲み会で一度開栓した「飲ん樽」を冷蔵庫で保存して、翌日に再度ポンプを付けてビールを飲みましたが、若干フレッシュさが失われていて残念でした。保存のコツはあるんでしょうか?
【A.】冷蔵庫で保存する前に、ポンプでしっかりと空気を入れてください。「飲ん樽」の内袋のなかで炭素ガスは逃げにくく、また、冷たい液体には気体がとけこみやすいので、空気圧をかけて冷蔵庫で冷やせばビールのフレッシュさをキープしやすくなります。
「泡調整用ノズル」とは?
【Q.】「専用ポンプ」のセットにノズルが2本付いてきました。1本は通常使用のノズルで、もう1本は「泡調整用ノズル」ですね。実はセッティングの際にそれを知らず、泡が出過ぎるわけではないのに「泡調整用ノズル」を使ってしまって、ビールが出てくる量が少ないなと思いながら注いでいました。2本のノズルの違いはどう見分けるんでしょうか。
【A.】ビールの種類によるんですが、まれに泡が多く出るものがあるんです。「泡調整用ノズル」は泡が多すぎる場合に、ビールが出てくるスピード(流速)を制限して泡立ちをおさえるためのものです。
「泡調整用ノズル」はノズルの中に筒状のパーツがあります。透かして見るとわかりますので、確認してから使ってみてください。
プラスチック製の樽、環境負荷への取り組みは?
【Q.】「飲ん樽」を使い捨てするのがもったいないような気がするんですが……。使用するプラスチックの種類の選択やプラスチック使用量の削減など、環境負荷への取り組みをしていますか。
【A.】使用しているプラスチックは、樽がポリエチレン、ビールが入った内袋はPET樹脂です。お客様やブルワリーの安全を最優先に考えてこの素材を使っており、(ビールに含まれる炭酸ガス等の影響で)海外では運搬中に樽が破損する例もあったので、そういったことがないようにしっかりした造りになっています。新型コロナウイルスの感染防止という観点からも、今のところは容器を使い切りして廃棄していただく運用にしていますが、より環境に配慮した容器やサービスに改良できないか、検討を続けています。
地方創生に取り組む!「ふるさと納税」返礼品としても注目
プロジェクトチームの中でSDGsを推進している土居さんは、容器について環境への配慮を検討していく一方、「『ビールの縁側』では、地方創生の面でサステナビリティに取り組んでいます」と、クラフトビールを通じて各地方の魅力を発信していくビジョンを語ってくれました。
その一環として積極的に運用しているのがふるさと納税。新型コロナウイルスの影響を受けている地方の経済・観光業を再活性化できるよう、複数のブルワリーと連携しています。
2021年度は岩手県遠野市(遠野麦酒)、岩手県一関市(いわて蔵ビール)、福島県田村市(ホップジャパン)、茨城県境町(さかい河岸ブルワリー)、大阪府泉佐野市(泉佐野ブルーイング)の5つの自治体が、「ビールの縁側」をふるさと納税の返礼品として出品しています。
2021年のふるさと納税申し込み期限(2021年12月31日)も目前ですが、「ビールの縁側」にご興味のある方は「ふるさとチョイス」、「楽天ふるさと納税」など、ふるさと納税のポータルサイトで検索してみてください。
樽ビールでクラフトビールの楽しみ方が広がりそう?
ブルワリーから産地直送で、しかも樽で、3リットル、5リットルのクラフトビールをオーダーできる「ビールの縁側」は、クラフトビールの楽しみ方を広げてくれそう。年末年始に人が集まる機会や、記念日のギフトなどにも喜ばれるかもしれません。旅先でも利用してみたいですね。
「飲ん樽」や空気圧のポンプ自体がこれまでにないアイテムで、まだ未知の方が多いと思いますが、今回のQ&Aや、体験レポートも参考にしてください。気になった方は、まずは「ビールの縁側」公式サイトを覗いて、どんなブルワリーが参加しているか、どんなビールが買えるか、チェックしてくださいね!
【関連サイト】
ビールの縁側
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