環境保護がスローガン!patagoniaのロング・ルート・エールが美味い!

近年さまざまなブランドがクラフトビール業界に足を踏み入れて来ています。その中でも世界的に有名なアパレルブランドpatagoniaが「パタゴニア・プロビジョンズ」という食品事業を立ち上げクラフトビールを企画販売しているのをご存知でしょうか?

パタゴニア・プロビジョンズは、パタゴニアが新たに始めた食品事業で、サーモン、スープ、フルーツアーモンドバーから販売を開始しました。いずれも素材の良さに加え、生産と将来の環境再生までを考慮した商品となっており、パタゴニアらしさをうかがわせます。

今回は、そんなpatagoniaが販売するクラフトビール「ロング・ルート・エール」に注目して掘り下げていきたいと思います!

まずはpatagoniaについて

patagoniaは、当初自分や仲間たちのクライミングギアを作る小さな会社としてスタートし、やがて米国最大のクライミングギアのサプライヤーとなりました。

しかし、それと同時に自分たちが作るクライミングギアは、自然の岩を傷つけ環境を壊すと言うことを知ります。これは現在patagoniaが社を挙げて環境保護に努めている最初の一歩となります。

アウトドアウェア製造・販売で有名なpatagoniaは現在、その最初の環境保護の一歩を大切にし、コットンを使う全ての商品にオーガニックコットンを使い、自然保護に努めています。

今回紹介するビールは、今日の飽食の時代において加速する「食物の生産における環境への影響」を危惧して企画された商品です。

まさにpatagoniaの理念を具現化し、飲料業界に殴り込みをかけてきたような商品です!

そのpatagoniaの「パタゴニア・プロビジョンズ」が、2015年からビール事業に手を出しているというから驚きです!

しかも色よし、香りよし、味よし、環境にもよしとくれば、飲んでみないことには始まりません!

開発にあたって

ロング・ルート・エールの開発にあたっては、パタゴニア・プロビジョンズとホップワークス・アーバン・ブルワリーが共同で開発しました。

ホップワークス・アーバン・ブルワリー(HUB)は、10年ほど前に起業したオーガニックビールを作るアメリカ・オレゴン州にある醸造所です。

環境や社会に配慮した事業活動を行っている企業として、Bコーポレーションに認証されパッケージにもそのロゴがあらわされています。ロング・ルート・エールは、原料に小麦を使うことなく「カーンザ」という多年生小麦を使うことで、農地の表土を守っていこうという試みがなされています。

なお、Bコーポレーションは、社会や公益のための事業を行っている企業に発行される民間認証制度です。Bコーポレーションを考案したのは、アメリカのペンシルヴァニア州にあるNPO団体「B-Lab」という組織です。

原材料を見直すことで、環境の再生を狙う!

ビールを造るとなると、大麦や小麦、ホップが必要です。そして、麦は一年草の食物のため、毎年表土を耕さなければなりません。そうなると、表土は毎年削られ、いずれ作物を栽培できなくなってしまいます。

その麦の栽培を見直すことで、貴重な表土を守り、子孫にまで地球の環境を素晴らしいものとして残していくという壮大な計画です。

そこで、非営利組織ランド・インスティチュートが開発した、小麦と多年草を掛け合わせた「カーンザ®」という多年生小麦をこれまでの小麦の代わりに、原料として使うことにします。

カーンザは、地中深くまで根を張るため、従来の小麦より与える水の量は少なく、より多くの空気中の二酸化炭素を吸い込みます。すると、土壌には炭素を送り、土壌の再生が行われ、空気中の二酸化炭素は減っていきます。

また、多年草であるため、年に複数回収穫でき、表土を削る回数も減ります。

ロング・ルート・エールは名前の由来は、カーンザ®の特徴である3m近く伸びる長い根(=ロング・ルート)から取ったそうです。

根
※画像は根のイメージです。

さぁ、飲んでみましょう

商品の背景はこれくらいにして、実際に味わってみましょう!

patagonia ロング・ルート・エール

パッケージは青く、パタゴニアのロゴを思わせる作りになっていて、材料はリサイクル可能なアルミでできています。さすがパタゴニア!なお、今の缶はそのほとんどがアルミで作られているのでリサイクル可能なものが多いです。

patagonia ロング・ルート・エール Bラベル

缶にもBコーポレーション認証のロゴが入っていますね。

注いでみます。

patagonia ロング・ルート・エール

少し白く濁りが感じられます。

色はしっかりとしたペールエールといった感じで、パタゴニア・プロビジョンズでも「ペールエール」として醸造しているそうです。

IPAを感じさせるほどの強い香りではないものの、しっかりとした麦の香りとホップ香を楽しめます。

泡はピルスナーのようなふわりとした花が咲くような印象を受けましたが、泡持ちはさほど長くありませんね。

さぁ、飲んでみましょう!

「おぉ!苦い、うまい」

しっかりとしたホップの苦味に加え、大麦のしっかりとした麦の香りと、おそらくカーンザのスッキリとした香りのおかげでしょうか、フィニッシュは短めです。

どこのページにも書かれていますが、グレープフルーツを思わせるアロマが特徴的です。大地を感じさせる、と言ってもいいのでしょうか、力強くも優しさを感じます。

実のところ「アパレルブランドが造ったビールって」と、斜に構えていたものの驚かされました!しっかり「ビール」です(実際の製造は、ビール醸造所です!)。

それも高品質なクラフトビール!

香り立ちも良く、ペールエール感もしっかりですし、何より後味の引きの早さがもう一口もう一口と、進みます。

1缶=473mlという容量が少なく感じるほどのうまさ!ちなみに473mlはアメリカで使われる1パイントです。

醸造しているのは「ホップワークス・アーバン・ブルワリー」。

ポートランド初のエコブルワリーで、醸造所内の設備から醸造課程、容器に到るまで、リサイクル資材を使用する特殊なブルワリーです。世界初のサーモンセーフ醸造所を目指しているそうです。

まさにパタゴニアの考える環境保全というスローガンと同じ志を持っているブルワリーです。

なお、サーモンセーフとは、鮭の漁場であるアメリカ・オレゴン州において行われた河川から海に至るまでの鮭および在来魚の生息流域を保護し産卵と成長を支援する活動で、現在は全米屈指の地域エコラベルとなっています。

商品情報

商品名:パタゴニア・プロビジョンズ ロング・ルート・エール
分類:発泡酒(麦芽使用率25%未満の為)
ABV:5.5%
生産地:アメリカ
製造:ホップワークス・アーバン・ブルワリー
ビアスタイル:アメリカンペールエール
正規輸入代理店:えぞ麦酒株式会社

手に入れるには!?

日本国内で手に入れるためには、パタゴニア直営のショップに訪問するか、パタゴニア・プロビジョンズ・オンラインストアでのお買い求めがおすすめです!なお、パタゴニア直営店でも取り扱いのない店舗もあるため、訪問する前に電話でのお問い合わせをおすすめします!また、パタゴニア・プロビジョンズ・オンラインストアでは、ロング・ルート・エール以外の商品もご覧いただけるとともに、パタゴニアのストーリーも一緒に読むことができます!そのほか、正規輸入代理店である「えぞ麦酒株式会社」では、ロング・ルート・エール以外のクラフトビールも多数取り扱いがあります!アメリカをはじめヨーロッパのブルワリーと、もちろん自社で製造するビールも!

環境保護がスローガン!patagoniaのロング・ルート・エールが美味い!

patagonia ロング・ルート・エール 缶とグラス

アパレルブランド・パタゴニアが手がける新事業「パタゴニア・プロビジョンズ」から、新境地のビール「ロング・ルート・エール」を紹介しました。

私も商売柄、将来の食品事業について思うところがありました。

年々漁獲量が減る魚市場、温暖化による野菜・果物の高騰…。

四季の境目が段々と感じにくくなるこの美しい日本を私たちはどれほどの間保っていられるのか。

日本でも環境を考えた食品事業が広まっていってくれることを願うばかりです!

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大澤 佑介

東京ディズニーランドが開園した年、同県に生まれる。 千葉県の勝田台という街でうまい飯とビールのお店Sausage&Bar 2byを営む。ゴルフとビールと日本舞踊が好き。 facebookページではお店やビールの情報を掲載(https://www.facebook.com/sausagebar2by/) 飲食店ならではの視点で執筆。好きなビールはヴァイツェン。

よなよなの里