【高円寺・勝沼】アンドビールがバレルエイジドビールをリリース!ワイン樽で15か月熟成させたビールの味は?

アンドビールのバレルエイジドビール

高円寺(東京都)と勝沼(山梨県)に醸造所を構えるブルワリー・アンドビールは、ワイン醸造で使用した木樽で熟成させた“バレルエイジドビール”「Bailey-A Trip」を初リリースしました。

15か月間にわたって熟成させたというビールの味は? コロナ禍の真っただ中、東京と山梨を行き来して取り組んだ「Bailey-A Trip」リリースまでのストーリーを、アンドビールの安藤耕史さんに聞きました。

アンドビールが手掛けたバレルエイジドビール、初リリース!

クラフトビールブルワリー・アンドビールはバレルエイジドビールのブランド“ROUND TRIP”を立ち上げ、2023年6月1日、シリーズ第1弾となるビール「Bailey-A Trip」を発売しました。

「Bailey-A Trip」は、赤ワイン醸造用品種のブドウ“マスカット・ベーリーA”を使用したビールで、ビアスタイルはセゾン。見た目はロゼワインような透き通った赤色。ワイン樽で熟成させ、 “マスカット・ベーリーA”の特徴とされるイチゴのような甘い香りや味わいが引き出されています。

Bailey-A Trip
アンドビールROUND TRIPシリーズ#001
「Bailey-A Trip」(Barrel Aged Fruit Saison)

冷やした状態でグラスに注ぎ、常温に戻しながらゆっくり飲むと、じわじわとブドウの香りが広がります。アンドビールの安藤耕史さんによれば、「もっと寝かせると、もっと香りが開いてくるかもしれません」とのこと。瓶内2次発酵で微発泡。香りはワインのようで、果汁感にあふれ苦味はあまり感じませんがビールの麦の味わいはある、じっくりと飲みたくなる1本です。

高円寺→勝沼、アンドビールの新拠点、勝沼醸造所

バレルエイジドビールとは、木樽(=バレル、Barrel)で熟成させたビールのこと。アンドビールの創業者で、運営会社である合同会社カンパイ日和 代表の安藤祐理子さん(おもに醸造担当)と安藤耕史さん(おもに調理等担当)のご夫婦は2019年、アメリカ旅行中にバレルエイジドビールに出会いました。

バレルエイジド
アンドビールの勝沼醸造所にあるワイン樽
写真提供/アンドビール

バレルエイジドに魅力を感じた2人は、コロナ禍で思うように醸造やタップルームの営業ができなくなっていた2020年、知り合いを通じて縁ができた日本屈指のワイン産地・山梨県甲州市の勝沼に通うように。当初の目的はワイン醸造後の樽を譲ってもらうことでしたが、地元の人々と交流するなかで夫婦ともに勝沼の地が好きになり、ちょうど空き物件を紹介してくれた人がいたこともあって、高円寺に次ぐ拠点を設けることになりました。

アンドビール
アンドビールの安藤耕史さん

まずは2021年5月、高円寺で醸造したビールを保存し熟成させるための“蔵置所”を開設してワイン樽を使ったバレルエイジドをスタート。さらに“醸造所”としても稼働させようと醸造免許を申請し、2022年10月にアンドビール勝沼醸造所が始動しました。

「Bailey-A Trip」のストーリー、“醸し”で引き出すブドウの香り

今回リリースされた「Bailey-A Trip」は、“バレルエイジド”であることと並んで、ブドウをたっぶり使ったビールであることも大きな特徴。ブドウの香りや味わい、個性をどう引き出すか、という点で製造工程にかなり紆余曲折があったのだとか。

アンドビール
写真提供/アンドビール

3年ほど前、高円寺の醸造所でブドウを使ったビールをはじめて仕込んだ時にはビールにブドウ果汁をそのまま入れ、天然酵母が大爆発して泡泡に……。少し慣れてきてからも、ブドウ本来の味が思うように出ない、と逡巡……。

その悩みを、江戸時代から続く勝沼のブドウ農園であり「マルサン葡萄酒」のワイナリーでもある「若尾果樹園」さんに相談すると、ワイン醸造の工程の1つ“醸し”(かもし)をすすめられました。

“醸し”はブドウを果汁と皮・種にいったん分けてから、皮・種を果汁に漬け込む手法。そうすることで皮・種に含まれるタンニンと色素が引き出され、風味が濃厚になり、ほどよい渋味とえぐみが抽出できます。“マスカット・ベーリーA”のイチゴのような香りは、その“醸し”を経ることで個性が際立つのだそう。

アンドビールのバレルエイジドビール
「Bailey-A Trip」のボトルラベルには、勝沼工場の近くから高円寺方面(東側)に広がる山々が描かれる

「Bailey-A Trip」は、高円寺で醸造したビールを勝沼に運び、“醸し”を施したブドウ果汁とブレタノマイセス酵母(野生酵母の1つ)とともに赤ワイン樽に入れて熟成。シャンパン酵母を加えて瓶詰めし、瓶内2次発酵させて、トータル15か月の熟成期間を経てリリースしました。

アンドビール
アンドビールが発行する新聞「旅するアンドビール」。耕史さんは学生時代から世界を旅してきた。バレルエイジドもアメリカの旅から始まった取り組み。創刊号は勝沼の醸造所を紹介

「ビールはフレッシュな方がおいしい、というイメージがありますが、ブドウを使ったビールは寝かせれば寝かせるほど香りが開いてきます。時間がたつにつれてカドがとれて風味が立ち、ビールとブドウの一体感が出てくるんです」(耕史さん)

阿佐ヶ谷の新店「olla」でタコス×バレルエイジドビール!

「Bailey-A Trip」は、2023年5月に阿佐ヶ谷にオープンした新店「olla」(オジャ)で飲めます!(数量限定)

阿佐ヶ谷olla
JR阿佐ヶ谷駅から徒歩約3分の「olla」。高円寺のタップルーム「アンドビール」からも至近
阿佐ヶ谷olla
「olla」では、タコスをはじめお酒に合うようアレンジされたメキシコ料理が味わえる

「olla」は、自家製の具沢山タコスやお酒に合う一品料理が楽しめるお店。スパイシーなカレーが提供される高円寺のタップルーム「アンドビール」とはちょっと趣向が違い、じっくりお酒を味わいたい時にぴったり。おもに勝沼で醸造したアンドビールのクラフトビールやゲストビール合わせて4タップと、今回紹介したバレルエイジドビール(ボトルのみ)、「マルサン葡萄酒」や「キザンワイン」、「ドメーヌ・オヤマダ」などなど山梨のワインをグラスで提供、メキシコのお酒・メスカルもあります。

アンドビールのバレルエイジドビール
写真提供/アンドビール

「Bailey-A Trip」はアンドビールのオンラインストアでも購入可。アンドビールの新たな「旅」に、同行してみては?

アンドビール「Bailey-A Trip」概要
品目:発泡酒(麦芽比率50%以上)
原材料:
麦芽(ドイツ産)、ホップ、ブドウ、炭酸ガス
スタイル:Barrel Aged Fruit Saison
アルコール度数:8%
IBU:20
希望小売価格:オープン価格
販売開始時期・販売店:2023年6月1日より「olla」(阿佐ヶ谷)にて店内提供開始(テイクアウト用のボトル販売はなし)。他、山梨県の取扱い酒店、アンドビールオンライン販売サイト、アンドビール業務店舗様向けECサイトで販売。数量限定。

【関連サイト】
アンドビールオフィシャルサイト
アンドビール(ブルワリー) インスタグラム
アンドビール(タップルーム) インスタグラム
ollaインスタグラム

【販売サイト】
アンドビール オンラインストア

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のび子

日本文化にまつわる分冊百科の編集担当を経て、料理専門誌編集部へ。食のサステナビリティ、クラフトビールが生み出す地域のコミュニティ・資源循環を取材。超少食だが酒はわりと強い。

よなよなの里