ヤッホーブルーイングが4月1日、かつお節を原料に使ったクラフトビール「SORRY UMAMI IPA」を発売した。同商品は2016年に米国輸出向けに開発してリリース。同年6月にコロラド州で開催した大型ビアフェスで好評を得る。さらに同年秋に日本国内で数量限定の販売を行った後、アメリカでの知見から、レシピに工夫を重ねて日本に凱旋した。この「SORRY UMAMI IPA」を含む「5種12缶 飲み比べセット」をアマゾンで4月3日に発注したところ4月22日に到着した。19日もかかったということは、人気が高い所以(ゆえん)なのだろう。
インパクトあるパッケージ
パッケージには傾奇者のイラストが描かれている。炎のデザインが施された浴衣を着た傾奇者が波に乗る。サイドには縦に「ヤッホー」という文字をインパクトのあるフォントで、見る者の目を惹く。中央と下部にやっと「キイテナイSORRY」「UMAMI SPA」と商品名が浮かんでくる。大胆な配置だ。とにかく「日本のインパクトのあるビールをアメリカで売りまくるぞ」という意図が伝わってくる。
甘みと苦みが舌の上で柔らかく交錯していく
まずは一口飲んでみよう。コップへと注ぐとフルーツのような華やかな香りが鼻孔を通っていく。飲み口は思ったよりクリーン。「かつおぶし」の風味が多少、苦みに感じることがあっても、喉を超していくと旨みへと変身する。
「SORRY UMAMI IPA」は甘みと苦みが舌の上で戦うことがなく、柔らかく交錯していく。どこか恋に似ているような気がしたのは私だけだろうか。初対面のときよりも、彼(彼女)のことを知れば知るほど、どんどん好きになっていく。苦みと甘みが交差する度に、一度火のついた恋は天高く燃え上がっていく。
とりあえず、原材料欄には「オレンジピール(オレンジの果皮)」と「コリアンダーシード(パクチーの種)」という2つの表示がある。クセがあっても飲みやすいのは2つの材料が苦みを緩和しているからなのかもしれない。
どんなつまみが合うのだろうか
ビールが目の前にあるのなら、必要なのはつまみである。独断と偏見ではあるが「SORRY UMAMI IPA」がどんなつまみと合うのか。探ってみた。
鮭とば
非常に合う。鮭とばを先に口に入れてから「SORRY UMAMI IPA」を口の中へと流し込むと、甘みが表に出てくる。鮭とばの塩分で苦みが飛んでいくような印象をおぼえる。
チェダーチーズ入りちくわ
合う。別にチーズを入れなくてもいいと思うのだが、チーズを入れた開発者に敬意を表したい。なんてジャンクな食べ物なのだろうか。かつおとチーズとちくわ。さまざまな味わいが舌の上で踊り始める。
あたりめ
合う。歯ごたえのあるあたりめは噛めば噛むほど味わいが舌に染み渡る。「SORRY UMAMI IPA」から感じられるクセはあたりめでこそ必要な咀嚼によって、うまみが演出されていく。
くんさき
そこそこ合う。しっかりとした肉厚のあるいかのくんさきは最高の酒のつまみである。かつおといかが口の中で出会ってすれちがっていく。そんなイメージがふくらんでいく。
チーズ
そこそこ合う。「SORRY UMAMI IPA」のクセによって、チーズのよりなめらかな味わいが表に出てくる。チーズはどんなビールに合う。
サラミ
合わなくはない。鮭とばと同じように塩分で苦みが飛んでいく。ただ、サラミに関してはほかのビールの方が合うような気がする。
柿ピー
合わなくはない。柿ピーはどのビールと合うか合わないかを論じるべき存在ではない。どんなビールであろうと止まらなくなるのが柿ピーなのである。
「SORRY UMAMI IPA」はかつお節を原料に使ったビールだけあって、基本的に和風のつまみが合う。このビールをアメリカで売り出すのなら、一緒に日本のつまみもプロモーションしてほしいと思った。