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「銭湯 × クラフトビール」が叶う施設でお風呂上がりに至福の一杯を!

昭和の東京都内の銭湯の数は、2,000を超えていた。徐々にその数は減り、平成に入ると2,000を切り、1996年頃に約1,500件、2006年にはいよいよ3桁台に陥った。しかし、ここ近年、「銭湯を守りたい」という銭湯好きの人たちが立ち上がり、各所でイベントの開催や、後継のいない銭湯を営む方から譲り受けるなど、小さな明るい兆しがポツポツと見えはじめている。

今は昔ながらの銭湯から形を変えてスーパー銭湯という、内湯だけではなく露天風呂も備え、ジェットバスやサウナ、岩盤浴なども楽しめる一種の銭湯の進化系とも言うべき、大型銭湯娯楽施設が全国各地にできている。

日本の銭湯文化は、形を変えてはいるが、守られているとも言えるのだろうか。一方で、入口をくぐると番台があって、浴場に入ると内湯にカランのある、古くからある形を愛するのが“銭湯ツウ”とも言える。そして、銭湯のあとは、瓶に入った牛乳やコーヒー牛乳、フルーツ牛乳を飲むのが定番だ。

近年この銭湯で盛り上がりをみせているのが「クラフトビール」とのコラボだ。銭湯でひとっ風呂浴びたら、キンキンに冷えたクラフトビールをいただける施設が各所にちらほら。その場で呑めるところもあれば、併設しているところ、徒歩圏内にあるなど、それぞれのエリアで「銭湯×クラフトビール」を堪能できる。銭湯で汗をたっぷりかいて、疲れを飛ばし、身体をリフレッシュさせたところで、樽生から注がれるクラフトビールをいただく。まさに、至福のひとときを味わえるのだ。

コーヒー牛乳やフルーツ牛乳もいい。そこに銭湯の後のクラフトビールの選択肢もつけ加えてみてはいかがだろうか。今回は、「銭湯×クラフトビール」を楽しめる施設を紹介する。

番台がビアバーに!? 錦糸町の「黄金湯」

画像引用:黄金湯 | 墨田区太平オリナス錦糸町近くにある下町銭湯

戦前の1932年、墨田区太平の地にて創業した「黄金湯」。読み方は、コガネユ。東京スカイツリーがそびえ立ち、周辺には両国国技館や相撲部屋、江戸東京博物館など、日本文化の息づくエリアにある。2020年、銭湯らしさはそのままに、ビアバー併設の番台や、深さ90cmの水風呂を備える麦飯石サウナ、アーティストの描く銭湯絵など、多くの魅力を備えリニューアルした。姉妹店に、東京の下町エリアを代表する銭湯「大黒湯」がある。

お風呂は、43~44°Cのあつ湯、40°Cの薬湯、36°Cの炭酸泉の3種類と、水風呂を完備。水質にもこだわり、地下から汲み上げた軟水をさらに軟水機に通した“超軟水”を浴槽に使用している。湯船に浸かりながら、「きょうの猫村さん」で有名な漫画家ほしよりこさんの富士山などの絵に癒される。

また、昔スタイルの銭湯を重んじながらも、ロウリュウをあじわえるサウナ設備も見逃せない。ロウリュウとは、フィンランドに古くから伝わるサウナ入浴法のひとつで、サウナストーンに水をかけて水蒸気を発生させて発汗を促進させるもの。黄金湯では、オート式であじわえる。男湯には水深90cmの水風呂があるので、ぜひ交互浴を楽しみたい。

そして、番台のビアバーでは、風呂上がりにオリジナルの「黄金湯ビール」をいただける。なんとここにはDJブースが設置されており、音楽を聴きながら樽生を楽しめるのだ。長い年月を経て若い世代に受け継がれ、おしゃれなビアバーの機能も加わった番台は、黄金湯を象徴とも言うべき場所。そこでは、今日も新たな人々のつながりが生まれている。

住所 〒130-001
東京都墨田区太平4丁目14−6
電話番号 03-3622-5009
公式HP https://koganeyu.com/
営業時間 平日・日曜・祝日 10:00~24:30
土曜 15:00-24:30
定休日:第2・第4月曜日
※水曜のみ男女入れ替え日
アクセス JR錦糸町駅(北口)より徒歩約6分
※駐車場、バイク置き場はなし

オクトーバー銭湯フェストを開催した、高円寺の「小杉湯」

画像引用:小杉湯

小杉湯が生まれたのは、 1933年のこと。古着屋やカフェ、商店街、演劇にアート、阿波踊りなど、あらゆる文化が混ざり合い老若男女が集う街「高円寺」にある。創業当時の建物を守りつつ、時代に合わせて中身をリニューアル。現代の銭湯ではめずらしい神社仏閣を思わせる宮造りの木造建築は、今もなお健在している。2021年1月には、国の登録有形文化財(建造物)に登録された。

浴場も昔のスタイルがそのままに残されている。壁一面には、銭湯といえばお決まりの富士山の絵が堂々と描かれ、名物のミルク風呂や週替り・日替り風呂、水風呂を備える。温冷交互浴も叶うのが、小杉湯だ。

小杉湯ではたびたびイベントが開催されている。「小杉湯フェス」では数々のアーティストが演奏を披露し、銭湯でクラフトビールを飲める「オクトーバー銭湯フェスト」も開催された。イベントでは、大麦やホップを入れたビール風呂が登場し、「銭湯×クラフトビール」という新たな銭湯文化を築いたとして話題になった。

また、過去に高円寺ビール工房がイベント限定ビールを販売したことがあり、それをきっかけに、オクトーバー銭湯フェストでは、アンドビールと共同でオリジナルクラフトビール「小杉湯セゾン」を醸造した。現在は、クラフトビールをいただける銭湯として、小杉湯セゾンをはじめ湯上がりにクラフトビールの販売を行っている。

住所 〒166-0002
杉並区高円寺北3-32-2
電話番号 03-3337-6198
公式HP https://kosugiyu.co.jp/
営業時間 平日 15:30〜25:45(最終受付25:30)
土・日曜 8:00〜25:45(最終受付25:30)
定休日:木曜
アクセス 高円寺駅北口から純情商店街・庚申通り商店街を経由し徒歩約5分

国産にこだわったラインナップ! 大崎の「金春湯」

画像引用:金春湯 | 品川区大崎の銭湯

金春湯は、東京都品川区大崎にある銭湯。創業は1950年。大崎はビジネス街のイメージだが、駅から少し離れた住宅街に金春湯は佇む。昔ながらの良いところを残し、 新しいものを取り入れリニューアル。若い夫婦が営んでいる。

中に入ると、フロントとゆったりくつろげそうな畳の休憩室がある。浴場には、2種類のお風呂と水風呂、そして人気のサウナがある。銭湯のサウナというと、せいぜい2人くらいしか入れない小さなものが多いが、ここは収容人数6人。銭湯にしては大きめで温度も90度と比較的熱めのサウナを楽しめる。サ活をする人のなかでも人気なのだとか。

お風呂とサウナでいい汗をかいたら、休憩室でごろん。テレビを見たり、置いてある漫画や雑誌を読んだり。そして、お待ちかねのクラフトビールタイム。ビール好きの夫婦が、国産にこだわり厳選している。種類はその時々変わるが、珍しいビールが置いてあることも!どれを選んでいいか分からない場合は、奥さまによる手書きのビール解説書が置いてあるので、ぜひ参考にしてみて。他にも、瓶の牛乳や昔なつかしのラムネが販売されている。

ここの銭湯は、シャンプーとボディソープが備え付けであり、タオルの貸し出しもあるので、仕事帰りに気軽に立ち寄ることができる。女風呂には、頭がすっぽり隠れるあのドライヤーも現役で稼働中。また、おむつの取れていない乳幼児はお断りされる銭湯もあるものの、ここは大歓迎!夫婦のお子様も1歳から銭湯に入っていて、入った日は夜ぐっすり眠ってくれるのだとか。休憩室には絵本やおもちゃが置いてあり、お子様用の貸し出しお風呂グッズもある。小さな子供がいるファミリーこそ、癒しを求めに訪れてみてはいかがだろう。

住所 〒141-0032
東京都品川区大崎3-18-8
電話番号 03-3492-4150
公式HP https://kom-pal.com/
営業時間 平日、土曜、祝日 15:30〜24:00(最終受付 23:30)
日曜 10:00〜24:00(最終受付 23:30)
定休日:毎週火曜
アクセス JR大崎駅より徒歩約8分
都営地下鉄戸越駅、東急戸越銀座駅より徒歩約8分

5. 食堂でゆったりクラフトビールを! 鶯谷の「ひだまりの泉 萩の湯」

画像引用:ひだまりの泉萩の湯 | JR鶯谷駅北口徒歩3分の都内最大級公衆浴場

JR鶯谷駅北口より徒歩3分。銭湯料金でありながら、スーパー銭湯並みの設備が揃う、都内最大級の銭湯施設だ。1階から4階までが銭湯で、フロントと食堂が2階、男湯は3階、女湯は4階となる。

浴室に入ると、まず広い浴槽と壁に描かれた “ピンク富士” がお出迎え(女湯)。萩の湯の名物は、高濃度炭酸泉と露天の岩風呂。炭酸泉は長湯が基本だが、多くの人がゆったりと浸かれるように広めの浴槽となっている。露天には「光マイクロバブル湯」といわれる、世界初のマイクロバブル技術によって開発されたお湯が注がれている。高い保湿力やリラックス効果が期待できるのだとか。他にもジェットバスや寝湯、電気風呂、薬湯などがある。新年にはザボン湯、バレンタインにはチョコレート湯、他にも青森県産のりんごをどっさり露天風呂に浮かべるといった、ユニークなイベント湯も季節や期間限定で開催している。

そして、それだけではない。スーパー銭湯並みの広々としたドライサウナも完備している。女湯には塩サウナもあるというからすごい。サウナ後はもちろん水風呂で、しっかり肌を引き締めて。温冷交互浴はもちろん、種類豊富なお風呂でゆったり。お風呂タイムだけでも、数時間かかりそうだ。

しかし忘れてはならない、お風呂から上がったら食堂へ行こう。お待ちかねのクラフトビールと腹ごしらえタイムだ。2階にある食事処「こもれび」では、からあげや枝豆、もつ煮などの食事や、ヒューガルデンやよなよなエール、COEDOなど、その時々に変わるクラフトビールを販売している。昼はランチ、夜は居酒屋として利用でき、食堂だけの利用も可能だ。お風呂とサウナで数時間、食堂でも数時間。銭湯料金でこれだけ充実している設備はなかなかないだろう。ぜひ、1日ゆったり時間をとって、萩の湯を満喫してみてはいかがだろう。

住所 〒110-0003
東京都台東区根岸2-13-13
電話番号 03-3872-7669
公式HP https://haginoyu.jp/
営業時間 銭湯・サウナ:6:00~9:00、11:00~25:00
食事処:11:30〜21:00(ラストオーダー20:00)
定休日:第3火曜
アクセス JR鶯谷駅(北口)より徒歩約3分

ロビーでIPAを!荻窪の「第二宝湯」

画像引用:第二宝湯(杉並区) 公式Twitter

1949年に開業し、1979年に現在の建物に建て替えた「第二宝湯」。JR荻窪駅より徒歩12分、住宅街にポツンとある地元密着の銭湯だ。祖父が開業し、現在はその孫が継ぎ、古きを残しつつモダンな作りにリニューアルしている。

お風呂は、ジェットバス、バイブラ、薬湯、電気風呂、水風呂の4種類。水風呂は地下深度93mから汲み上げる地下水のかけ流しとなり、入れば分かる心地よさというものを感じられるだろう。薬湯には、店主のこだわりから、できるだけ天然のハーブを使用している。自家製のラベンダーをたっぷり入れた湯や、夏にはどくだみの湯、冬は天然の湯の花を使った薬湯などが登場する。また、別途料金になるが男湯にのみサウナも完備している。

浴場に入ると丸山銭湯絵師が描いた巨大富士山がお出迎え。そして、建て替えられてから40年ほど経ってるとは思えないほど、ピカピカのタイルやカランに驚く。湯の温度は、その日の天候や気温に合わせて調節されており、「いつでも気持ちのいい状態で湯船に浸かってもらいたい」という店主の銭湯愛が感じられる。

巨大富士山は、ロビーにも。湿度の高い浴室では絵も傷みやすいことから、富士山と桜を携えた絵が壁に描かれている。どこかあたたかみのあるロビーでは、常時IPAやペールエールなど国内外のクラフトビールを数種類取り揃えている。銭湯の風呂上がりといえば瓶の牛乳だが、銭湯とクラフトビールをコラボさせるというのも、店主の粋な計らいだ。

代々受け継がれた第二宝湯は、銭湯文化が衰退するなかも何とか守り続けた、家族の魂のようなものが感じられる。脱衣所に今も残る、開業当初から使われてきたとされる体重計がその歴史を物語る。これからもずっと残り続けてほしい銭湯のひとつだ。

住所 〒167-0031
東京都杉並区本天沼2-7-13
電話番号 03-3390-8623(お電話は午後以降にお願いします)
公式HP Twitter
営業時間 15:30〜24:00
定休日:金曜
アクセス JR荻窪駅より徒歩約12分(稲荷横丁すぐ)

【番外編】元銭湯をビール工場に。大阪の「上方ビール」

画像引用:上方ビール – Wix.com

上方ビールは、大阪市東淀川区にある廃業した銭湯に造られたブルワリーだ。かつて銭湯だったという面影はそのままに、元男湯には大容量のタンクを備え、クラフトビールを醸造している。麦芽の粉砕作業に使われているのは、元サウナ室。改修されていない元女湯では、週末になると場所を開放し、訪れたビール好きの人のために上方ビールのクラフトビールを提供している。

そんな一風変わったブルワリーでは、白・赤・青・黄・緑・紫・黒などラベルの色を分けて、自社ブランドのクラフトビールを醸造している。ある時は農家さんとコラボし季節の農作物を使用したり、希少価値の高いコーヒー豆を使用したり、様々なテイストにチャレンジしている。店主曰く、同じテイストのビールを作り続けることはないそう。

ビール名は「入湯エール」「湯気ヴァイツェン」「お風呂エール」「風呂ロマン」「かけ湯レモン」「湯上がりセゾン」など銭湯にちなんで付けられている。中でも毎年醸造している「​風呂ロマン」は、大阪高槻産のブルーベリーを100%使用したエールビール。麦の旨味とブルーベリーの酸味を感じられる人気シリーズだ。

ぜひ週末に足を運んで、元銭湯の跡地で腰に手を当てて牛乳を飲む代わりに、“牛乳瓶に入った新鮮なビール”を堪能してみては。OEM醸造も受け付けているので、記念日やイベント時など、上方ビールで自分の好きなテイストのオリジナルクラフトビールを造ってみるのもいいだろう。

住所 〒533-0031
大阪府大阪市東淀川区西淡路3-15−6
電話番号 06-6829-6550
公式HP https://kamigatabeer.co.jp/
営業時間 土曜・日曜 12:00〜17:00
アクセス 淡路駅より徒歩約9分

最後に

風呂上がりのビールは格別だ。そのビールがクラフトビールならば、なおのこと。平成に入って衰退していく銭湯文化をよそに、近年のクラフトビールやご当地ビールブームにより、ビール文化は成長を続けている。古きと現代のコラボ。「銭湯 × クラフトビール」は、衰退する銭湯文化に光を与えている。

どこで飲むか、誰と飲むか、どんなシチュエーションで飲むか。クラフトビールのうまさがさらに倍増する、銭湯での風呂上がりの一杯!さて、今日はどの銭湯に行こう?

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明田川蘭

出版社、外資IT会社を経て沖縄で2年弱を過ごし東京へ帰って来て、編集・ライターとして独立。大のお酒好き、旅好きで、旅に出かければ必ずやその土地の地ビールや日本酒などをいただく。好物は「温泉に入った後のビール」「仕事で嫌なことがあった後のビール」「フェスでいただくビール」。

よなよなの里