「ヴァイツェンの香りってカブトムシを捕るときに作る罠の匂いに似てます!」(20歳・男)/はじめてのビアフライト

まだクラフトビールに馴染みが薄い20代の若者に、ビアフライト(テイスティングセット)を飲んでもらいながらあれこれ聞く企画「はじめてのビアフライト」。記念すべき初回は、まさに20歳ちょうどの若者、ヒロ君を地元は大山のブルワリーレストラン「ビアホフ ガンバリウス」へと誘った。

家族みんなお酒好き。“とりあえずビール”って言葉は嫌い!

建設会社に勤めるヒロ君の趣味はバドミントンで、県を代表するほどの腕前の持ち主。この日も取材後にサークルの練習に行くとのことだった。お酒は大好きでほぼ毎日、週6ペースで飲んでいる。

「ビールは大好きで1杯目はだいたいビールです。僕は“とりあえずビール”って言葉が嫌いです。好きだから頼んでます。お店だと2杯目からはシャンディガフみたいなカクテル。その次はウォッカやジン系に流れて、その後に甘めのカシスオレンジみたいなお酒を飲みます」

20歳にしてかなりの酒好きである。やはり仕事後の一杯が最高なのだとか。

「仕事が終わって帰宅後、風呂に入ってから飲むビールが最高です!父と母の3人で飲むこともよくあります。仕事の話から恋愛トーク、昔の思い出話とか色々話します。家族が友達みたいなもんですからね。そういうときはだいたい缶ビールです。給料日は6缶セットを買って帰ります」

そんなお酒好きの一家なので、地元のブルワリーレストランに来たことは何度もあったのかと思いきや…「今日初めて入りました!テンション上がりますね!」と興奮を抑えられない様子だった。さて、ガンバリウスのビアフライト、「Gビールセット」を注文。さすがお酒好き、運ばれてきた段階でニヤニヤはマックスを迎えていた。

大山Gビールの定番4スタイルをいざ、実飲!

「Gビールセット」の内訳は、ヴァイツェン、ピルスナー、ペールエール、スタウトの4種。クラフトビールデビューにふさわしい、ベーシックなスタイルが楽しめる。さあ、最初はピルスナーから。

「うん、美味い!なんか思ったよりスッと入ってきますね。色も含めて一般的なビールに近いような気がします」。さすがはお酒好き。そう、ピルスナーは普段飲み慣れているビールと同じスタイル。続いては大山Gビールの看板スタイル、ヴァイツェンへ。

「ん?これ、ピルスナーより苦い感じがしますね。あと酸味も感じられます。さっき飲んだピルスナーより濃いような気がします。香りは…変なこと言っていいですか?カブトムシを捕るときに、バナナ入りのストッキングにお酒をかけて数日放置して罠を作るんですけど、その香りにすっごく似てます!」

出た!ビール好きには絶対に出てこない表現。「カブトムシ、近所で捕ってたんですよね…」以下カブトムシトークが続くが、断腸の思いで割愛して次のペールエールへ。

「甘っ!!!舌触りがよくて、なめらかに喉に入ってきます。香りも味も大好きです!この香りはなんだろう?家で妹が使ってるアロマの香りに似てますね(笑)。個人的に甘みを強く感じるので、クラッカーみたいな塩けがあるおつまみが欲しくなります。このビール、すごく女性受けしそうですね」

ヒロ君的にペールエールはかなりヒットのようだった。ただ、ビール好きからすると「甘い」という感想が意外。割と苦みもあるはずなのだけど。そういえば、同じIPAを飲んでも人によって「甘い」と「苦い」で両極端な感想が出てくることがあった。もちろん、どちらの味も共存しているのだけど、どちらを強く感じるかは人それぞれなのだろう。
さあ、最後はスタウト。これはどうやら苦手なようで…。

「これは苦いですね!そして、濃い!ここまで濃いとちょっと厳しいです。カカオ豆とか豆を燻す前みたいな香りがします。…ん?後味は甘いかもしれませんね。ずっと飲み続けていると、甘いチョコみたいなつまみが欲しくなってきます。ケーキを食べながら飲みたいです」

テイスティングを終えて。ビールにクセがあることがわかった!
ビール好きには「ペールエールは苦く、スタウトは甘い」という固定観念がある。が、ヒロ君は真逆。それが面白かった。テイスティングを終えて、4種を好きな順にランキングしてもらった。

「やっぱり一番はペールエールです。2番目はヴァイツェン、次がピルスナーで、最後はスタウトですかね。でも、どれも個性的で面白かったです!今回、僕のビール観が変わりました。これまでビールって定番のお酒というイメージがありましたけど、個性が強いんだ、もっと言うとクセがあるんだと思いました。もちろん、いい意味です(笑)。今度はビール好きの父ちゃんを連れて来たいです!」

「ビール観が変わった」「ビールにはクセがある」。ああ、こういう言葉を聞きたいと思っていた。初回から耳にしてしまったが、この「はじめてのビアフライト」はこれからもゆるく続けさせてもらう予定である。

「練習前に何か食べていいですか?」とこの後、パスタを食べたヒロ君。協力ありがとう!

取材地:ビアホフ ガンバリウス
〒689-4108 鳥取県西伯郡伯耆町丸山1740-30
http://g-beer.jp/

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矢野 竜広
フリーライター、ビアエッセイスト。1980年生まれ。東京文京区出身。大学卒業後、広告制作会社勤務のコピーライター、事務所所属の構成作家を経て2013年、妻の故郷である鳥取県に移住。ビール好きが高じてブログ『ビアエッセイ・ドットコム』を主宰するだけでなく、自宅にビールサーバー&ビアバー風秘密基地を設置、地ビール会社にも勤務。ノンフィクションの本と一人旅を偏愛する2男児の父。子育てが落ち着いたら、年10回ペースで海外へ取材旅行に出かける生活を熱望している。