ハロウィンのころはガイコツでいっぱい!強烈な名前とは裏腹にポップでカラフルな祝祭「死者の日」をまもなく迎えるメキシコに、ゆるく思いを馳せつつ今注目のメキシカンラガーをご紹介します。

死者の日とは、故人の魂が帰ってくるというメキシコ発祥の祝日。11月1日と2日に魂が戻ると言い伝えられ、毎年10月末から様々なセレモニーが行われます。あちこちにカラフルな祭壇やディスプレイが飾られ、骸骨のモチーフや、ろうそく、マリーゴールドが街に溢れます。人々は独特なフェイスペイントをして仮装に身を包みます。
目を奪われるのは、日本では見られないビビッドな色使い。多用されるオレンジ色は、マリーゴールドの花の色。ちなみにマリーゴールドは、死者が迷わないように導く役割を持っているそうです。
てっきり、かぼちゃに由来するハロウィンカラーを取り入れているのかと思っていましたが、そうではないのですね。実際、雰囲気はハロウィンに似ていても概念は日本のお盆に近いと言われています。とはいえ、ハロウィンと融合したような盛り上がりもやはり見受けられ、この時期現地ツアーが人気のようです。
みんなでにぎやかな時間を過ごしながら、亡くなった人へ祈りを捧げる。祭りに込められた精神文化の深遠さを感じます。

そんな祝祭を目前に控えたメキシコですが、メキシコといえば実は今年、ちょっと勢いがあります。言うなれば、アメリカ発メキシコ旋風。日本にメキシカンなムード溢れる風が吹いているのです。
たとえば、日本初上陸のものを挙げてみると、カリフォルニアよりファストカジュアルレストラン「クロニックタコス」が日本1号店を銀座にオープン。また、オレゴンの老舗「フルセイルブルーイング」が日本での正式販売を開始。カラフルな缶でメキシカンラガーがお目見えしました。
フードはもちろんのこと、気になるのがメキシカンラガー。魅力はなんといっても、手に取る人を選ばない飲みやすさだと思います。
現在のところ、メキシカンラガーの明確な定義は存在しないようです。ブルワリーがメキシカンラガー(メキシカンスタイルラガー)と名を冠してリリースしているビールには、伝統を模倣するのではなくメキシコのビールに新たな解釈を加えて醸造したものが多く見受けられます。

クリアな液色。アルコール度数低め。苦味は少ない。キレが良い。ゴクゴクとスムーズに飲める。一般的には、メキシカンラガーに対してこのようなイメージが抱かれているようです。
日本で親しまれているビールの特徴に類似する点もあり、幅広い層に受け入れられるかもしれません。ただし、ライムを添えて飲むあのビールそのもの!というものばかりではないのが面白いところ。一度、ご賞味ください。それでは、アメリカ発メキシカンラガーを2つご紹介します。
Heyzeus Mexican Style Lager(Melvin Brewing)

ライトで爽快な飲み口。ぐびっといけます。渇いた喉に一気に流し込みたいような、普段の食事と一緒に楽しみたいような。ビールはすっきりしたものに限る、という方に是非。メルビンおなじみのアメコミ風キャラクターの背景には、メキシコ国旗のカラーリングと伝統織物に似た幾何学模様。より洗練されたメキシカンムードを感じさせる、缶のデザインも秀逸です。
【関連ページ】Heyzeus Mexican Style Lager(Melvin Brewing)
BEERITO(Oskar Blues Brewery)

美しいアンバーカラーとモルトの甘みが特徴的。いわゆるヴィエナスタイルに分類されるのでしょうか、バランスの取れたまろやかな味わいです。敢えて時間を置いて少し温度を上げ、甘味を引き出す楽しみ方もあり。このネーミング(ビール+ブリトーの造語)ですから、ペアリングするフードには、ブリトーをはじめテックスメックスを。香辛料強めが、きっと好相性です。
【関連ページ】BEERITO(Oskar Blues Brewery)
メキシカンの代表格タコスが、今や世界中で愛されるフードになった理由のひとつには「具材に何を使ってもいい」という自由度の高さが関係しているのかもしれません。メキシカンラガーも同じように、造り手に創造の余地を与えるおおらかさ、肩肘張らず飲みなよと語りかけるような特有の気軽さから、今後ますます人気が高まっていく気配を感じます。

ところで、最初の画像のガイコツ、食べられます。
死者の日名物・ガイコツの砂糖菓子をヒントに、チーズでガイコツを作ってみました。6個入りチーズの扇型を活かしてカットしガイコツの輪郭を作ったら、箸やフォークで顔を描き、目の部分はストローでくり抜きます。ガイコツチーズの下に海苔を敷けば、死者の日風おつまみの完成です。
食べるときは海苔でチーズをくるんでどうぞ。

日本のお盆は過ぎてしまいましたが、お盆的感情が年間に何度高ぶっても悪いことはありません。死者の日にちなみ、誰かを想う秋の夜長も良いものです。また、ハロウィンシーズンのビールといえばパンプキンエールも定番ですが、今年は敢えてメキシカンラガーを選んでみてはいかがでしょうか。きっと一味違う秋が、あなたを待っています。

【参照ページ】死者の日 (メキシコ) -Wikipedia
【参照ページ】花とお墓と骸骨と。メキシコの死者の日は楽しく”死”を想う祭り-VIVA! MEXICO

Mariko

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