ビール好きの方にはスタンダードなアイテムになりつつある、ビールを持ち運べる水筒・グラウラー(グロウラー)。「My CRAFT BEER」編集部は、グラウラーを携えてクラフトビールの量り売りに対応しているお店やブルワリーを巡っています。
今回は東京23区の“北の方”、板橋にあるブルワリー・CRANC BREWING(クランクブルーイング)にうかがいました。訪れるたびに新たなフレーバーに出会えるこの醸造所。ユニークなラインナップのタップリストから、食事に合わせやすそうなビールをグラウラーでお持ち帰りして、地元板橋の商店街で買ったおつまみとペアリングしました!
「WE DA NORTH」地域に根付くブルワリー、板橋CRANC BREWING
東京23区の北部に位置する板橋区は、五街道の1つである中山道が通り、江戸時代に宿場町として栄えたエリア。CRANC BREWINGは地下鉄都営三田線・板橋区役所前駅から徒歩約5分、かつての宿場のにぎわいを今に伝える仲宿商店街から少し離れた、王子新道沿いにあります。
CRANC BREWING代表兼醸造長の平賀久勝さんは、板橋という土地や個人商店が立ち並ぶ仲宿商店街の雰囲気が好きで、ビール造りを通じてこの街を盛り上げようと2018年にブルワリーを創業。ローカルに根付いた醸造所として、ブルワリーに併設するタップルーム「クランクビール さかみちタップルーム」でフレッシュなビールを提供してきました。
定番ビールは無し!訪れるたびに新たなフレーバーに出会える
編集部がお店にうかがった当日(2021年9月)は緊急事態宣言まっただ中で、残念ながらタップルームはクローズ。テイクアウトのみの営業で、客席エリアにはシャッターが下りていました。通常営業時、タップルームからはビールを飲みながらガラス越しに醸造設備がのぞけるようになっています。
CRANC BREWINGには基本的に“定番”は無く、マイクロブルワリーであることの強みを活かして、毎回新たなレシピに挑戦してビールを醸造。同じスタイルのビールも仕込むたびに素材や製法を微調整するため、常に違うフレーバーのビールが楽しめます。
地球環境を考えて「ペットボトルやめました」持ち帰り容器にも配慮
ビールは、缶、プラスチックカップ、グラウラーでのテイクアウトが可能。以前はペットボトルも提供していましたが、地球環境への影響を考えてプラスチックの使用を削減しようと、取り扱いをやめたそう。
持ち帰り用プラスチックカップは、植物由来のでんぷんを原料にした生分解性プラスチック・PLA(ポリ乳酸)のカップを使用。大量生産した一般的なプラスチックカップに比べてかなりコストはかかりますが、環境に配慮して導入しています。
オリジナルのイラストがデザインされたグラウラーも販売。オリジナルグラウラーでビールを買うとうれしい割引きサービスがあります。DRINK TANKS社の32オンスと64オンスをラインナップ。ほかに500mlのお手頃価格のグラウラーも用意。
さらにブルワリーのオリジナルグッズとして、缶のパッケージにもあしらわれているカセットテープのイラストがデザインされたTシャツやキャップが販売されていました。キャップはイラストが刺繍されていてキュート!
ビールをお持ち帰り!オーダーに迷う……
では早速、持ち込みのグラウラーでビールをお持ち帰りしましょう。通常は6タップですが、この日はオリジナルビールとコラボビールの4タップが準備されていました。
リストでまず気になったのは「WACKWACK」(ワックワク)。スタイルはサワーポーターです。ケトルサワリングで乳酸発酵させ、カカオ、バニラビーンズ、ラズベリーを投入。ポーターの味わいをベースにやわらかな酸味とベリーのフルーティー感、濃厚なチョコレートのような風味が絶妙に調和。ユニークですが、後を引くおいしさです。
結局、迷った末にオーダーしたのは食事に合わせやすそうな「Amber Lager」(アンバーラガー)。スタイルはカリフォルニアコモン。ラガー酵母を高温で発酵させ、深いコクが楽しめるビールです。CRANC BREWINGではいつも人気のスタイルですが、今回のバッチはこれまでのどっしりした味わいに比べると軽めの仕上がりだそう。5種類のモルト、ホップはアメリカのセンテニアルとニュージーランドのモツエカを使用。
モルティーで苦味しっかり。柑橘のような香りも豊かで、飲み応えあり!
ローカルなフードとペアリング!
「Amber Lager」に合いそうなフードをブルワリーの地元板橋で探してみました。CRANC BREWING周辺には仲宿商店街の他にもにぎわう商店街が点在し、個人商店がひしめいています。ビールのおつまみは選びがいがありそう。事前にリサーチすると、餃子のおいしいお店が何軒か見つかりました。餃子と「Amber Lager」の相性をお聞きすると、「いいと思います!」と江口さん。
ご時世もあって休業中のお店も多い中、板橋区役所前駅から東武東上線大山駅方面に延びる遊座大山商店街で、40年以上の歴史があるテイクアウト専門の餃子店「富珍餃子」がオープンしていました。ちょっとレトロな店構えの名店には自転車で駆けつけるお客様が多数。少し並んで生の餃子を購入。
「富珍餃子」の餃子は野菜たっぷりでニンニクの香りが強烈に利いています。焼く手間はありますが、生で買って自宅で焼きたてを食べるのがおすすめ。深いコクと苦味があって、柑橘のような香りも豊かな「Amber Lager」にぴったり!
訪れるたびに新しいビールとの出会いがあるCRANC BREWING。ビールのおいしさはもちろん、環境に配慮した持ち帰り容器を準備してくれている点もリスペクトできて、通いたくなるブルワリーです。板橋ローカルな個人商店で、ビールにベストマッチなフードを発掘するのも楽しい!
お店で自由にビールが飲めるようになる日も近づいているかもしれませんが、グラウラーでクラフトビールをテイクアウトする習慣は定着しつつありますね。未体験の方はぜひ、ご近所でビールの量り売りをしているブルワリーや酒販店をチェックしてみてください。クラフトビールで家飲みを盛り上げましょう!
【関連サイト】
クランクブルーイング WE DA NORTH CRANC BEER