じわじわと増えつつある小さなクラフトビール醸造所を巡ってみませんか。電車の途中駅で下車しながら街を散策して、沿線のブルワリーやブリューパブ、タップルームでビールを飲む、ローカルなビール旅をレポートします!
京王線・京王井の頭線沿線のビール醸造所を訪ねる旅!【笹塚駅~西調布駅編】
今回取り上げる路線は、東京都新宿区の新宿駅を起点に多摩地域へ延びる京王線と、東京都渋谷区の渋谷駅から武蔵野市・吉祥寺駅を結ぶ京王井の頭線。
京王線・京王井の頭線沿線には、長く営業して地元に根付いたお店もあれば醸造を開始したばかりの新しいブルワリーもあります。途中ちょっと寄り道もしながら、5つのブルワリーと関連店2店を巡ってきました!
ラインナップは……
《笹塚駅》OUR DAYs Brewery(「OUR DAYs Brewery & Club house」)
《久我山駅》Mountain River Brewery
ちょっと寄り道、西荻窪「BREWBOOKS」
《高井戸駅》Novel Craft Brewing(「reverb」)
《千歳烏山駅》「Novel Craft」
《調布駅》調布ビアワークス(「ジャクソンホール」)
《西調布駅》TEGAMISHA BREWERY
では、京王線・京王井の頭線沿線ブルワリー巡りに出発!
小さな街の、小さなブルワリー《笹塚駅》OUR DAYs Brewery
まずは新宿駅から京王線各駅停車に乗って1駅目(京王新線新宿駅からは3駅)、笹塚駅で下車。
駅の北側に延びる「十号通り商店街」を抜け、さらにその先の「十号坂商店街」を進んで富士見丘高校裏の交差点を右折、中幡ヶ谷道をしばらく行くと閑静な住宅街の中に現れるのがOUR DAYs Brewery。店舗名は「OUR DAYs Brewery & Club house」です。駅からの所要時間は徒歩約10分。
OUR DAYs Breweryは、映画プロデューサーの西口典子さんが2022年に開業。コロナ禍を経て人と人とのつながりが断ち切れてしまいそうな空気を変えたいと一念発起して、長く住んできた笹塚に店を出しました。店舗の1階は醸造所とタップルーム。西口さん自身がブルワーとして仕込んだ自社醸造ビールを7~8種類提供しています。2階はレンタルスペース「Club house」で、週末を中心に不定期で飲食店が出店。キッチンはもちろん、映像上映の設備もあってイベントに活用できるそう。
ビールは基本「何杯飲んでも胃にもたれない、爽やかでモルトの味わいを感じる」仕上がりを目指しています。バッチを重ねている定番銘柄は、ワイン醸造に使われる白ブドウの品種ソーヴィニヨン・ブランのような香りのホップ、Nelson Sauvinを使った「泡日々 IPA」(ボトルも販売)。比較的新しい品種のホップも積極的に採用しバラエティに富んだビールをリリースしていて、この日飲んだのはドイツ発のホップ・Huell Melonを使った「SWEET MELON ALE」。果物のメロンっぽいフレーバーが感じられる1杯。
タップルームではナッツやポテトなどのおつまみ系フードがオーダーできますが、しっかり食べたい時は「OUR DAYs Brewery & Club house」の斜め前くらいの場所に2024年1月にオープンしたレンタルキッチン「ハナレ_HANARE」へ。おばんざいやスパイスカレー、ラーメンなど、その時々の出店者の料理を楽しみながらOUR DAYsのビールが飲めます。不定期の営業なので、インスタグラムに投稿されるスケジュールを確認してお出かけください。
「OUR DAYs Brewery & club house」
〒151-0073 東京都渋谷区笹塚3-40-1
タップルーム営業時間:水曜~金曜18:00~23:00、土曜15:00~24:00、日曜15:00~23:00
定休日:月曜・火曜
※「club house」と「ハナレ_HANARE」は不定期営業なので、SNSで営業日や営業時間を要確認。
「OUR DAYs Brewery & club house」オフィシャルサイト
OUR DAYs Breweryインスタグラム
醸造現場のすぐそばで飲む1杯!《久我山駅》Mountain River Brewery
京王線沿線ブルワリーの旅2軒目! 笹塚駅から京王線で明大前駅に出て、いったん京王井の頭線に乗り替えます。吉祥寺方面行きの急行か各駅停車に乗って、久我山駅で下車。
南口を出て人見街道を南西に5分ほど行くと“マウンテンリバー ブリュワリー”とカタカナで書かれた看板が見えてきます。木材店の一画に醸造所があるので、見逃し注意です。
Mountain River Breweryは2018年に醸造をスタートしたブルワリー。ブルワリー名は拠点となる久我山の「山」と、すぐ近くを流れる神田川の「川」に由来。このロケーションで醸造することを大切に考えているのだそう。
フラッグシップビールは地元久我山で行われるお祭りのお神輿の色をイメージして造った「Kugayama Blonde」(Blonde Ale)。苦味は控えめでスパイシーなフレーバー。「River Saisons」(Saison)はレモンやライムのようなさわやかな香りがあり、すっきりした飲み口です。
季節の果物を使ったビールも多くラインナップしていて、この日カップで有料試飲したのは高知県産の温州ミカンを大量に使ったみかんエール「Sun and breeze」。
Mountain River Breweryはあくまでも醸造所でタップルームはないので、この場所ではボトルビールを購入するか、ドラフトビールの量り売り・カップでの試飲のみが可能。支払いは現金オンリーです。
醸造現場のすぐそばで1杯飲める、Mountain River Breweryの営業スタイルはビール好きにはたまらなく楽しいですが、座ってゆっくり飲みたいという方のために最適な寄り道コースを紹介。京王線沿線から外れて、久我山駅から杉並区のコミュニティバス「すぎ丸」(かえで路線)に乗ってJR西荻窪駅へ。
JR西荻窪駅南口から徒歩約4分の「BREWBOOKS」は、2階の書斎でMountain River Breweryのボトルビールを飲みながら本が読める書店。短歌部、漫画部などの超文科系な集まりも、ビールを飲みながら参加できます。足を延ばしてみては?(2階書斎の営業状況など、事前に「BREWBOOKS」のSNSでご確認ください)
Mountain River Brewery
〒168-0082 東京都杉並区久我山3-17-18
※ボトルビールの販売は、月曜から金曜10:00~18:00、土曜13:00~18:00(日曜定休)。
Mountain River Brewery インスタグラム
「BREWBOOKS」
〒167-0053 東京都杉並区西荻南3−4−5
営業時間:平日、土曜・日曜・祝日12:00~19:00
定休日:月曜、第2・第4火曜
※イベント開催日はイベント終了時刻に合わせた営業。
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ビールが飲める書店!西荻窪「BREWBOOKS」店主がクラフトビール好きにおすすめする本3冊
2024年3月に初醸造ビールをリリース!《高井戸駅》Novel Craft Brewing(「reverb」)
京王井の頭線沿線でもう1軒。久我山駅から渋谷方面の各駅停車に乗って、高井戸駅へ。環八通りに沿って南に3~4分歩くと、ブルワリー・Novel Craft Brewingと、併設のブリューパブ「reverb」があります。
パブ「reverb」は2023年2月にグランドオープンし、Novel Craft Brewingは2024年3月に自家醸造ビールを初リリースしました。2023年4月現在「reverb」で提供しているドラフトビール8種類のうち自社醸造ビールは4tapで、今後オリジナルビールのtapが増える予定。
この日飲んだのは、Novel Craft Brewing自社醸造ビール第2弾の「filter」。Nelson Sauvinホップの白ブドウのような香りとAmarilloの柑橘系の香り。アルコール度数は4%と低めのSession Aleですが、飲み応えしっかり。
フードは、ナッツやポップコーンといったおつまみから、皮ごとフライドポテト、モツ煮込み、日替わり・季節替わりのメニューも。提携工場で造っているオリジナルソーセージはフレーバーが数種類あって、2種盛りもオーダーできます。
「reverb」には“本店”があります。店舗は京王線沿線にあるので寄ってみましょう!
高井戸駅から京王井の頭線に乗車し、明大前駅で京王線に乗り替えて千歳烏山駅で下車。「reverb」の本店「Novel Craft」は北口から徒歩約3分、烏山交番横通り沿いのビルの2階です。
本店「Novel Craft」でもNovel Craft Brewingのオリジナルビールが飲めます。この日はオリジナルビール第3弾「fuzz」をオーダー。フルーツ感の出る酵母とモルトの組み合わせの工夫で、フルーツとチョコレート、深煎りのコーヒーの味わいを表現した1杯。しっかりしたコクとロースト感、苦味はありながら後に引きずらず、軽めな口当たりのポーター。
本店「Novel Craft」でNovel Craft Brewingのビールを楽しむのも◎。フードも「reverb」と違うメニューがあり、2店で定休日も異なります。
Novel Craft Brewing(「reverb」)
〒168-0072 東京都杉並区高井戸東2-25-11 1F
営業時間:火曜〜金曜17:00~24:30、土曜・日曜・祝日15:00~24:30
定休日:月曜
「Novel Craft」
〒157-0062 東京都世田谷区南烏山4-13-9 2F
営業時間:月曜・水曜~金曜17:00~24:00、土曜・日曜・祝日15:00~24:00
定休日:火曜
まるで西部劇の世界!調布ビアワークスのビールが飲める唯一の店《調布駅》「ジャクソンホール」
京王線ブルワリー巡り、次は急行も快速も特急も停車する調布駅で下車。
『ゲゲゲの鬼太郎』のキャラクターが道のあちこちに配された「鬼太郎ロード」(天神通り商店街)を北に進み、甲州街道と交差した角にあるのがビアバー「ジャクソンホール」。
「ジャクソンホール」は、系列のブルワリー・調布ビアワークスのオリジナルビール「セントロビンソン」が飲めるビアバー。調布ビアワークスの醸造拠点は東京都調布市国領にあり、元は醸造所併設のタップルームでもビールが飲めましたが、ビールの生産量を増やすために醸造スペースを拡張しビールの提供はストップ。現在、「セントロビンソン」が飲めるお店は「ジャクソンホール」のみです。
「ジャクソンホール」の店内は、西部劇に出てきそうな風景が広がる米国ワイオミング州ジャクソンホールのカルチャーを再現しています。漫画『NANA』の舞台になったことでもお馴染み(ただし漫画に出てくるのは移転前の店舗)。
「ジャクソンホール」は飲食店としてスタートし、2015年にブルワリー・調布ビアワークスを立ち上げました。店内で飲めるドラフトビールは8種類。そのうち6tapほどが調布ビアワークスのオリジナルビールです。
調布ビアワークスのビールは多様で、フラッグシップを造り続けるのではなく常に新しい味わいを目指して醸造されています。コンセプトは“Hand Work BEER”。素材の良さを最大限に発揮できるよう繊細に手作業で仕上げています。
フードは、カウンター席の客のみがオーダーできる300円からの日替わり黒板メニューも人気ですが、看板料理は「ジャクソンバーガー」。牛肉100%のパティは肉々しくてジューシー。手造りのミートソースもバンズも美味で、ランチでもディナーのメインでも満足できるボリュームです。クラフトビールとの相性は最高。
調布ビアワークスのパッケージ商品(ボトルビール)がリリースされると、発売後すぐにSOLD OUTになってしまうことがほとんど。店内も盛況で、特にカウンター席は人気。タップリストも回転が速く、地元の常連客に熱狂的に愛されているお店です。
調布ビアワークス(「ジャクソンホール」)
〒182-0024 東京都調布市布田1-3-1
営業時間:バー営業16:00〜22:00(金曜・土曜~23:00)、土曜・日曜・祝日のみランチ営業11:30~15:00
定休日:月曜(祝日を除く)
あの手紙社が手掛けるブルワリー!《西調布駅》TEGAMISHA BREWERY
京王線沿線ブルワリー巡り、今回の旅で最後に下車するのは、調布駅のお隣り・西調布駅。
駅南口から徒歩約5分、品川通りに沿った建物の1階に入居しているのが、TEGAMISHA BREWERYです。
TEGAMISHA BREWERYは、カフェ・雑貨店・「東京蚤の市」「紙博」などのイベントの運営など、多岐にわたる事業を展開する手紙社が手掛けるブルワリー。2020年にビアパブとして開業した後、2023年に初のオリジナルビールをリリースしました。
パブでは自社醸造のオリジナルビールとゲストビール、合わせて13種類のビールを提供しています。そのうちの4tapはオリジナルビールで(2024年4月現在の情報。今後さらに1~2tap増える予定)、ゲストビールは国内の人気ブルワリーやTEGAMISHA BREWERYのご近所・多摩エリアのマイクロブルワリーの銘柄がつながっています。
今回飲んだビールは、東京都狛江市にある和泉ブルワリーの定番ビールをリスペクトして醸造したという「ペールエール」。ブルワリー開業以来バッチを重ねていて、ファーストバッチよりも味わいを濃厚に、アルコール度数を高めに仕上げた1杯。柑橘系のフレーバーで苦味はおだやか、スッキリとした飲み口。
TEGAMISHA BREWERYのパブのフードメニューは、カフェを展開している手紙社ならではの充実ぶり。おすすめなのは、オランダ風のクリームコロッケ「ビターバレン」や、チキンのクリーム煮にバターライスが添えられた「チキンフリカッセ」。「黒ビールで煮込んだミートソースラザニア」は、アツアツの焼きたてが提供されます。
TEGAMISHA BREWERY の2階は「TEGAMISHA BOOKSTORE」。ビアパブの営業に合わせて、遅めの時間帯まで営業している本屋さんで、手紙社の雑貨も扱っています。店内にカウンター席があり、本を読みながらビールを飲むことも可。読書しながら1人で静かに飲みたい時にふらっと立ち寄りたいお店です。
TEGAMISHA BREWERY
〒182-0034 東京都調布市下石原2-6-14
営業時間:月曜16:00~21:00、水曜~金曜16:00~22:00、土曜・日曜・祝日12:00~22:00
定休日:火曜
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京王線沿線ブルワリー巡りはまだまだ続く!
京王線・京王井の頭線に乗って、途中駅で下車しながら沿線のクラフトビールブルワリーを巡る旅。今回は笹塚から西調布まで、寄り道もしながら5つの醸造所と2つのお店を訪れました。地元の常連客が通う醸造所もあれば、注目の新店もあって、ハシゴが楽しい!
京王線沿線にはまだまだブルワリーがたくさんあり、ニューオープンの情報も続々入っています。次回、京王線多摩エリアのブルワリーを巡った記事も企画していますのでぜひ合わせてチェックしてください!
急な営業時間の変更などありますので、くれぐれも、お出かけ前にはSNS等でお店の最新情報を確認しましょう!
※営業時間、定休日は2024年4月時点の情報を掲載しています。
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