東京都世田谷区二子玉川エリアにあるブルワリー・ふたこビールは、2021年、同じ世田谷の瀬田に新たな醸造拠点をオープンさせました。建物は元鰻屋さんの一軒家で、醸造所に併設するタップルームの名は「Unagiya Taproom」(ウナギヤタップルーム)! 2022年11月で1周年を迎えたお店を訪れ、定番ビールや周年ビールを味わいながらスタッフにお話を聞きました。
ふたこビールの新拠点・瀬田醸造所!タップルームはUnagiya…?
ふたこビールの新拠点・瀬田醸造所は、東急田園都市線用賀駅から徒歩10分ほどのロケーション。環八をまたぐ歩道橋のたもとにあります。もとは鰻屋さんだったという一軒家を改装し、1階に醸造設備とタップルームのカウンター席、2階はゆったり座れるテーブル席が設けられています。
この物件、実はもともとふたこビールの倉庫として使っていた建物なんです。
ふたこビールを手掛ける株式会社ふたこ麦麦公社は2015年に設立され、2018年に二子玉川駅近くの柳小路に「ふたこビール醸造所」(醸造所とタップルーム)をオープン。鰻屋さんの一軒家はそれに先立って借り、イベント用の資材やビールの保管場所として利用してきました。
代表の市原さんはかねてから、一部OEMで製造していた定番ビールを自社醸造に切り替え、もっとビールの醸造量を増やしたいと模索。大きなサイズの機材が設置できる物件を別途探していましたが、一転、この場を活用することに。
瀬田醸造所・「Unagiya Taproom」オープンの経緯を、店長の栗本さんにお聞きしました。
「最初は、(導入したいサイズの)醸造タンクが収まる建物、という観点で物件を探していましたが、条件に見合うところがなかなか見つかりませんでした。それで、一度発想を転換したんです。どういう場所にお店を作りたいか、どこに醸造所があったら地域を活性化できるか、と考え直しました」(栗本さん)
そこで急浮上したのが瀬田の倉庫。用賀からも二子玉川からもアクセス可能でありながら繁華街からは離れていて、周辺にお酒を飲めるような店は少ない環境。ここを醸造所にすれば地域の人と人をつなぐ場所が作れるのではないか、という結論になりました。
「そこからは、“ここでやるにはどうしたらいいか”と考えるようになりました。設備は、この建物に入るサイズの機材をオーダーして製作しました」(栗本さん)
スタッフ間で目指す味を共有、若手醸造家が手掛けるビール!
ふたこビール瀬田醸造所の醸造設備は、タップルームのカウンター席のすぐそばにあります。ビールを飲みながら間近で醸造の様子が見える仕様。
醸造スタッフの木村さんは、居酒屋で働いてあらゆるお酒を扱うなかでクラフトビールが好きになり、都内のブリューパブやビールをメインにした店で店舗スタッフとしてクラフトビールを提供してきました。2年ほど前、沖縄を旅行し現地でビールを飲んでいると、醸造所のスタッフを募集していることを偶然に知らされ、移住・就業を決断。約1年半の沖縄生活で醸造の経験を積み、2022年から瀬田醸造所で働きはじめました。
ビールは、「FUTAKO ALE」(Pale Ale)、「ハナミズキホワイト」(White Ale)、「FUTAKO LAGER」(Lager)、「FUTAKO BLACK」(Coffee Stout)、「FUTAKO IPA」(IPA)といった定番のラインナップと、シーズナルビールをリリースしています。
飲み比べセットで定番ビールとシーズナルビールをオーダー!
では、「Unagiya Taproom」でビールをオーダーしましょう!
この日つながっていたのは5tap。「ふたこオリジナルビール3種飲み比べ」を注文し、栗本さんの推し「FILM RED」と、定番の「FUTAKO LAGER」、「FUTAKO BLACK」を選びました。
「FILM RED」は「ふたこビール醸造所」4周年、「Unagiya Taproom」1周年の記念ビール。栗本さんをはじめスタッフ同士でアイデアを出し合い、秋から冬の季節感をイメージして赤い色味でどっしり重めの味わいのビールにしたい、と方向性を決めました。木村さんはそれを受けて、モルトの一部にレッドライ麦を使用。ホップはSimcoe(シムコー)と Loral(ローラル)を使い、Galaxy(ギャラクシー)でドライホップ。「麦の味わいもしっかりしていて、後からホップのフルーティーさがふわっと感じられると思います」(栗本さん)。
定番の「FUTAKO LAGER」は、メインにMosaic(モザイク)ホップを使った前回のバッチからレシピを変え、日本がルーツのホップSorachi Ace(ソラチエース)を使用。「ウッディーな、ヒノキのような香りが楽しめます」(栗本さん)。
「FUTAKO BLACK」は、用賀に本店があるスペシャルティコーヒー店「WOODBERRY COFFEE ROASTERS」のコーヒーを使ったスタウト。今回のバッチでは「多摩川の河川敷に持っていって飲むコーヒー」(「WOODBERRY COFFEE」ホームページより)をテーマにしたオリジナルブレンド、「ニコタマブレンド」を使っています。
おつまみもオーダーしました!
注文したのは、ビールの入ったピクルス液で仕込んだ「ビールピクルス」。ビールのスタイルによってピクルス液の味や色合いが変わりますが、今回はスタウトが入っていてコク深い味わい。食感の残ったカリフラワー、大根、ニンジンと、ちょっと珍しいうずらの玉子も漬け込まれていました。
ビールを楽しむための選択肢が盛りだくさん!
「Unagiiya taproom」には、クラフトビールを楽しむためのオプションがさまざまに用意されています。店に通えば通うほどお得に。テイクアウトや家飲みに最適なプランも!
店で飲むなら、グラスキープがお得!スタンプカードも
店舗1階の壁に多数ぶら下がっている巾着袋……。中身は常連客がキープしているグラスです。Unagiyaオリジナルグラス(2200円)を購入すると、初回はパイントサイズのビールが1杯無料。その後はグラスを持参、または店舗でキープして、オリジナルグラスでビールをオーダーすればビール代が毎回50円引きになります。キープ代は初回6カ月で800円、6カ月更新600円。
グラスキープした方にはスタンプカードも発行されます。ビールを1杯飲むごとにもらえるスタンプを10個集めると、パイントサイズのビールが1杯無料に!
公園での外飲みにも◎、レンタルグラウラー
「Unagiya taproom」ではビールの量り売りにも対応。グラウラー(ビールなどの炭酸飲料を持ち運べる水筒)を持っていない方にはレンタルグラウラーも準備されています。レンタル料(300円)とデポジット(1000円)を支払って借り、返却時にデポジットを返金してもらうというシステム。ご近所の砧公園での外飲み等に利用する方が多いのだとか。
サーバーレンタルのサブスクも!
ビアサーバーのレンタルとビールがセットになった月額定額サブスクプラン“ふたこクラフトマイタップ”も受け付け中。月3リットルコースや月6リットルコース、ビールの宅配・店頭受け取りなどが選べます。
店舗の裏手にはクラフトビールの自販機!
「Unagiya taproom」の裏手に回ると、クラフトビールの自販機が! ふたこビールの定番ビールのほか、取材当日はSierra Nevada、Revision、Stoneなどアメリカの人気ブルワリーのクラフトビールが並んでいました。
※購入には運転免許証が必要です。
缶ビールは店内でも販売しています。ギフトボックスも準備されていたので、贈り物にも◎。
定期的なイベントや間借り営業のお店も
月曜日の夜は「スナックあい」が間借り営業。また、第3日曜日の朝には世田谷の畑で大豆や麦などを育てる「ななとに」の“季節のごはんとお味噌汁の朝定食”を提供するイベントが開かれます。瀬田で採れた大豆で味噌を造り、味噌汁に。朝ビールとともに味わえる朝定食は地元のお客様に人気です。
※間借り店舗の営業やイベントの日程は変更になることがあります。「スナックあい」インスタグラム、ふたこビール瀬田醸造所「Unagiya taproom」インスタグラム等でご確認ください。
モルトのアップサイクルもスタート、地域を盛り上げる拠点に
「Unagiya taproom」では新しい試みとして、ビール醸造で出るモルト粕を使ったベーグルの製造・販売をはじめました。
ベーグルは瀬田醸造所併設のパン製造室で造られます。モルト粕と麦汁を生地に練り込み、麦汁で生地を茹でて焼き上げるというこだわりのレシピ。「Unagiya taproom」では、ベーグルサンドが楽します。
「Unagiya taproom」は、ご近所さんならグラスキープして通いたくなるお店。二子玉川・用賀でのお買い物や、砧公園、世田谷美術館の行き帰りに立ち寄るのもいいですね。地元に根差し、地域を盛り上げることを目指すふたこビールの新たな拠点に、ぜひ足を運んでみてください!
※文中で紹介している価格や、サービス等の情報は2022年12月現在のものです。
ふたこビール瀬田醸造所、「Unagiya Taproom」
住所:〒158-0095 東京都世田谷区瀬田5-2-1
ふたこビール瀬田醸造所「Unagiya taproom」インスタグラム
【関連サイト】
ふたこビール ホームページ
「スナックあい」 インスタグラムアカウント
@snack.ai_beer
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