森下・清澄白河エリアのブルワリー兼ビアパブBEER VISTA BREWERYは、2023年8月に自家醸造ビールを初リリースしました! “A Pint of Imagination”をコンセプトに醸造されるクラフトビールは、スペックだけではなく、飲むシチュエーションやストーリーで選べる1杯。事業の立ち上げを一手に担ったブルワー・古里大輔さんに、BEER VISTA BREWERYのビールや店づくりについてお話を聞きました。
森下・清澄白河の中間地点にあるBEER VISTA BREWERY
BEER VISTA BREWERY(ビア ビスタ ブルワリー)は、都営新宿線・大江戸線の森下駅と、都営大江戸線・東京メトロ半蔵門線の清澄白河駅からそれぞれ徒歩5分ほど、江東区を横断する小名木川の近くに店舗を構えるブルワリー兼ビアパブ。
製本所だった建物をリノベーションした店の内装は“Japanese, Material, Craft”をテーマにデザインされ、シンプルでシックな空間です。カウンターは800年の歴史がある京都の手すき和紙・黒谷和紙で覆われ、調度類も国産の和風なマテリアルがメイン。一方、あえてオリジナルのまま残している壁には鮮やかな色遣いのアート作品が飾られ、カジュアルな印象も。
Backpackers’Japanの新規事業、ギークでなくても行きたくなるパブ
BEER VISTA BREWERYを運営するのは、ホテルやカフェ、キャンプ場などを展開する株式会社Backpackers’ Japan。コロナ禍で海外からの宿泊客が減り飲食店の営業が制限されていた時期、同社系列の宿泊施設内にあるラウンジでバーテンダーを務め各店のバーの立ち上げ等を担当してきた古里大輔さんが醸造所の開業を提案し、同社の新規事業としてスタートしました。
「バーテンダーをしていた当初からクラフトビールに興味を持っていたわけではないんです。10年ほど前、ホテルに泊まりに来ていた海外からのお客様が、静岡のBAIRD BEERのビールを持ってきてくれて。それを飲んだのがクラフトビールとの最初の出会いだったと思います。
2015年、京都でホステル『Len』を立ち上げた時にクラフトビールのサーバーをラウンジに導入し、2017年オープンの東京・東日本橋『CITAN』ではtapを増やしました。店で取扱っているブルワリーさんにお邪魔して仕込みを見せていただいたり、コラボビールをオーダーしたり、仕事で醸造所とかかわる機会が多くなる中で次第に醸造に興味が増していきました」(古里さん)
事業が動き出してからは物件探しに時間を要しました。「自分の作りたいブルワリーやお店のあり方として、まだクラフトビールに強い関心を持っていない人でも楽しめるような飲食スペースがあることがすごく重要でした」という古里さん。
「クラフトビールって、スペックを語りがちですよね。ホップの品種とか、ブルワリーやブルワーの名前とか。自分自身はそういう話をするのも好きなんですが、それが敷居を高くしている感じもします。
バーテンダーとしてサービスしているときに、ビールの味が苦手だけれど興味はあるという方に味の好みを聞いてこちらからクラフトビールをサジェストすると、“ビール好きかも!”と言ってくれる人が結構いらっしゃいました。クラフトビールは見た目や味わいのバリエーションが幅広くて、すごく可能性をもっていると思うんです。ですから、ビール好きだけが集まるタップルームではなく、食事がおいしくて、ちょっとおしゃれで。クラフトビールのことはよく知らなくても1回行ってみたいなと思える店にしたかったんです」(古里さん)
醸造設備にプラスして厨房や飲食スペースがしっかり確保できるよう、広い物件を探しましたがなかなか見つからず。現店舗は当初あった建物の壁の一部を抜いてガレージのエリアも活用しました。BEER VISTA BREWERYは2022年12月にまずビアパブとして開業。2023年7月に醸造を開始し、8月にファーストバッチのビールをリリースしました。
“A Pint of Imagination”想像から生まれる一杯を!
BEER VISTA BREWERYのビールのコンセプトは“A Pint of Imagination”、想像から生まれる一杯を。ビールのスタイルや原材料、製法等のスペック情報だけではなく、気分やストーリーで選べるように、ビールのタイトルや解説文にも工夫があります。
「お客様から『これはどんなビールですか』と聞かれたときに、原材料や製法について細かく説明しても、人によってはピンとこないということもあるのではないでしょうか。ビールを飲みたいシチュエーションってたくさんあると思うんですが、“こういう時に飲みたいビール・飲んでほしいビール”という切り口でレシピを考えて醸造して、それを伝えたいと考えています」(古里さん)
初醸造のラインナップはベーシックなスタイルに絞り「ペールエール」「アンバーエール」「IPA1」「IPA2」と、4種のビールをリリース。それ以降、自然の中で身体を動かした後に飲みたい「ステップバイステップ」(Sour Saison)、新しい友人と乾杯するビール「グルービン」(IPA)、盆暮れ正月に実家で飲む「ホームスイートホーム」(Kölschスタイル)など、飲むシチュエーションを具体的にイメージしたさまざまなビールを醸造しています。
現在(2023年12月)ボトルで販売している「TOKIWA HAZE」(Hazy IPA)は、BEER VISTA BREWERYが拠点を置く地名・江東区常盤から命名。ビアパブ開業当初に愛媛県のDD4D BREWINGに委託して醸造したコラボビールで、大量に使ったホップのアロマと愛媛特産の柑橘・河内晩柑のさわやかな風味があり、トロピカルでジューシーな味わい。現在はレシピを引き継いで自家醸造し、季節柄、河内晩柑の代わりに瀬戸田レモンを使って仕込んでいます。
この「TOKIWA HAZE」と、 “ビール界の麦茶”とブルワリーが紹介する「ITSUMONO」(Bitter)の2銘柄は今後、BEER VISTAの定番としてバッチを重ねていく予定だそう。
“BEER FRIENDS”ビールに合うフード!
BEER VISTA BREWERYのフードを担当するのは、Backpackers’ Japanの系列各店で古里さんと一緒に飲食スペースの立ち上げを支えてきたシェフ・藤村勇人さん。フードのコンセプトは“BEER FRIENDS”です。
「ワインとフードのマリアージュのような、ビールにがっちりハマるフードというのはあまりないのかなと。でも逆に、ビールに合わないフードというのもないですよね」(藤村さん)
“BEER FRIENDS”(ビールの友だち、ビールのお供)は、マリアージュ、ペアリングよりも、もっとゆるいつながり。料理のジャンルにとらわれず、ビールと一緒に楽しめるフードがメニューに並びます。
定番メニューの1つ「蒸し鶏とレバーパテのパニプリ」は、インドのストリートスナック・パニプリをアレンジした一品。揚げたボール状の生地は中が空洞でパリパリの食感。現地ではそこに野菜などを詰めますが、このメニューは鶏肉とレバーパテが入っていて、黒酢のソースをかけて食べます。BEER VISTA BREWERYのスペシャリテで、もちろんビールに合う!
ビールのおつまみとして当たり前にサーブされるミックスナッツも、ひと手間かけたメニューに。「ミックスナッツ スパイスキャラメル&花椒チョコ」は、キャラメリゼのカリッとした食感をベースにスパイスをまとわせたナッツと、ホワイトペッパーと花椒を利かせたアマンドショコラを合わせたもの。テイクアウト用のパッケージも販売されています。
ほかに、「自家製のスモークハム」や、「ラムと根セロリの麻婆豆腐」、「VISTAのモツ煮込み」など、おつまみからボリュームのある料理まで取りそろえ、日替わりのメニューやデザートも充実しています(メニューは随時変わります)。
1人客用のセットもあり!支払いはキャッシュレスのみ対応なので準備を!
BEER VISTA BREWERYに1人で入店することがあったら、ぜひおすすめしたいのが「Starters Set」。
「Starters Set」は1人で来店したお客様対象のセットで、選択肢の中から3種のおつまみが選べて、ハーフパイントのビール1杯と組み合わせて1500円。カウンターで軽く1杯飲むのに最高のセット。フードはどれを選んでもおいしく、手抜きなしの品々が並ぶので満足度◎です。
※「Starters Set」は1人で入店した客のみ対象で、1人1回に限ってオーダー可。価格やルールは2023年12月時点の情報です。
お店の利用にあたって注意したいのは、現金の支払いに対応していないこと。その代わり、クレジットカードはもちろんのこと、各種決済サービスや電子マネーに対応しています。
また、店頭に日替わりメニューの掲示はありますが紙のメニュー表はなく、ショップカードの裏にあるQRコードから自分のスマホやタブレットなどでメニューを表示して参照します。ただしオーダーはオンラインではなくスタッフに口頭で伝えるシステムなので、ビールの好みなどを相談してから注文することができます。
ビールもフードも◎気軽に立ち寄りたいブルワリー
BEER VISTA BREWERYはクラフトビールもフードもどちらも楽しみたい人におすすめしたいお店です。
2023年12月には店舗オープン1周年を迎え、周年イベントも開催。特別な周年ビールがタップにつながっています。ゴリゴリのビアギークもクラフトビールに強い興味を持っていない方も、清澄白河や森下エリアに行った際にはぜひ立ち寄ってみてください!
BEER VISTA BREWERY
住所:東京都江東区常盤2-13-17 トキワハイツ1F
営業時間:16:00〜22:00
定休日:不定休、SNSで要確認
※営業時間や定休日は2023年12月現在の情報。お出かけ前にSNS等で最新の情報をご確認ください
【関連リンク】
BEER VISTA BREWERY インスタグラム
Backpackers’Japan オフィシャルサイト
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