ビールメーカーCOEDOブルワリーと、チョコレート専門店「ダンデライオン・チョコレート」のコラボビール第6弾「MELTING POD-カカオがチョコになる前に-」が2023年8月に発売になりました!
「ダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ蔵前」で開催されたトークイベント「カカオの夕べ」では、お互いにコラボ商品を生み出している「ダンデライオン・チョコレート」とCOEDOブルワリー、クラフトサケ醸造所・haccoba -Craft Sake Brewery-の3社・4名が登壇。イベントで語られた、コラボビール、コラボ日本酒の開発の裏話をレポートします!
COEDO×ダンデライオン・チョコレート、コラボビール第6弾発売!
「ダンデライオン・チョコレート」はサンフランシスコ発のBean to Bar(ビーントゥバー) チョコレート専門店です。Bean to Barとは、カカオ豆からチョコレートバーになるまで、チョコレートを製造する全ての工程を1つの工房で一貫して行うこと。
東京都台東区蔵前にある「ダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ蔵前」は「ダンデライオン・チョコレート」の日本1号店で、店内にあるファクトリーで原料のカカオ豆からチョコレートを製造。1階にショップとスタンド席、2階にカフェがあり、製造工程を間近に見ながらチョコレートを使ったスイーツやドリンクが楽しめます。まるでクラフトビール醸造所に併設するブリューパブのようなお店。
埼玉県川越市を拠点にするビールメーカー・COEDO(コエド)ブルワリーは、2019年から「ダンデライオン・チョコレート」とのコラボビールを毎年リリースしてきました。
2023年8月31日に発売された「MELTING POD-カカオがチョコになる前に-」は、COEDOと「ダンデライオン・チョコレート」のコラボ第6弾となるビール。カカオパルプ(カカオの果肉)とカカオニブ(カカオ豆をローストし、砕いたもの)を活用したフルーツサワーエールで、カカオ=チョコレートというイメージをくつがえし、フルーツとしてのカカオの風味が体験できる1本。サワーエールをベースに、カカオパルプ由来のライチのような甘酸っぱい風味と、インド・アナマライ産カカオニブのレモングラスのような香りがさわやかなビールです。
蔵前で開催されたトークイベント「カカオの夕べ」、コラボ商品誕生秘話
2023年9月9日、「ダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ蔵前」で「カカオの夕べ」と題したトークイベントが開催されました。
登壇したのは、「ダンデライオン・チョコレート」の物江徹さん、COEDOブルワリーのブルワー尾崎真さん・エンジニアの塩野智隆さん、そして2023年8月に「ダンデライオン・チョコレート」とコラボした日本酒「カカオの夏休み」をリリースした福島県のクラフトサケ醸造所・haccoba(はっこうば) -Craft Sake Brewery-代表の佐藤太亮さんの4名。
トークイベントでは物江さんがMCとなり、各氏の経歴やコラボ商品の開発秘話が語られました。
今回のコラボ商品でCOEDOとhaccobaのブルワーはカカオをどう活かしたのか。醸造のプロセスにフォーカスし、トークの内容の一部分をレポートします!
COEDO×ダンデライオン・チョコレート「MELTING POD」は、フルーツとしてのカカオを味わうビール
「MELTING POD」の醸造を担当したCOEDOのブルワー・尾崎真さんは、このビールのコンセプトや、醸造のどの段階でどうカカオを使ったか、詳しく解説してくれました。
カカオそのものを表現したビール「MELTING POD」
コエドブルワリー尾崎真さん(以下尾崎さん):「MELTING POD」を醸造したのは、今年で2回目です。「ダンデライオン・チョコレート」さんとのコラボビールはもともとチョコレートをイメージした色の濃いビールを造っていたんですが、カカオそのものの味わいを出せたらいいなということで去年から造っているのがこの「MELTING POD」です。
尾崎さん:カカオは、実の中の白い果肉の部分・種子・種の外皮などのパーツがあり、将来的にはそれを全部使ってビールを造りたいと思っていて。今回は白い果肉の部分を多く使いました。チョコレートを造るにはカカオの果肉と種を一緒に発酵させますが、「MELTING POD」はカカオがチョコレートになる前のストーリーを表現しています。
「ダンデライオン・チョコレート」物江徹さん(以下物江さん):COEDOさんとは2019年以来ずっとコラボさせてもらっていて、バレンタインの時期には、チョコレートのビールとしては王道な感じの「チョコレートデュンケル」をリリースしてきたんです。この「MELTING POD」は夏の時期にちょっと変わったことをしようってことで始まったんですよね。
尾崎さん:カカオっていうと、コクのある味わいをイメージすると思うんですけれど、今回造りたかったのはフルーツっぽい味わいのビールでした。試してみたかったのは、カカオには果肉があって、その香りはこういうものなんだと伝えること。カカオニブも使ったんですが、物江さんに相談して果肉から移ったレモングラスのような香りがあるニブを探してもらい、それをどう活かすかでまた悩みました。
どの温度帯でカカオを入れるか?
尾崎さん:素材のどういう部分を引き出すかというのは、もともとその原料が持っている味わいにもよりますし、抽出温度によっても変えられます。温度が高い麦汁の段階で入れると熱があるので風味が飛びやすい。発酵タンクに移した後の冷えた段階で入れると、繊細な香りは残るけれど抽出力は低い。
尾崎さん:カカオの果肉やカカオニブをどの温度帯で加えるか考えて、今回はどちらも、温度が高い段階で入れました。果肉の持つ糖分は麦汁の糖分と同じように酵母に食べてもらおうと。ニブはコーヒーを入れるようにお湯でドリップするような感じで香りを抽出しました。
物江さん:今回はカカオをまるごと全部使ったビールというのは実現しなかったのですが、この先も続きがありますよね。
尾崎さん:はい、楽しみにしていてください。
【「MELTING POD -カカオがチョコになる前に-」商品概要】
内容量:330ml × 6本入
販売価格:3,700円(税込)
※「ファクトリー&カフェ蔵前」では、ボトル1本770円(税込)
原材料:麦芽(外国製造)、カカオパルプピューレ、オーツ麦、ホップ、カカオニブ
オンラインストア先行発売日:2023年8月31日(木)
※「ファクトリー&カフェ蔵前」では、2023年9月7日(木)から販売
販売店舗:「ファクトリー&カフェ蔵前」、COEDOオンラインストア
(2023年10月上旬現在、「ダンデライオン・チョコレート」オンラインストアでは完売)
商品詳細:「ダンデライオン・チョコレート」オフィシャルサイト
haccoba×ダンデライオン・チョコレート、夏に飲みたくなるカカオのクラフトサケ「カカオの夏休み」
福島県南相馬市のクラフトサケ醸造所・haccoba -Craft Sake Brewery-と「ダンデライオン・チョコレート」のコラボ商品「カカオの夏休み」は、2023年8月17日発売(9月下旬現在、haccoba、「ダンデライオン・チョコレート」ともにオンラインストアでは完売)。イベントでは、同日発売になった「酒粕ガトーショコラ」のお話も!
カカオハスクを使ったお酒、さわやかな味わいの秘密
haccoba代表 佐藤太亮さん(以下佐藤さん):「ダンデライオン・チョコレート」さんとhaccobaのコラボレーションは3回目なんです。カカオはどうしても冬のイメージがあって、今まではいわゆる“チョコレート感”を出すような造り方をしてきたんですが、今回は夏に飲みたくなるカカオのお酒を造ることを僕たちのテーマにしました。
佐藤さん:僕たちは兵庫県養父市の飲食店「TANIGAKI」(タニガキ)さんとお付き合いがあります。「TANIGAKI」さんが製造販売している「朝倉山椒レモンシロップ」は、養父市の特産品・朝倉山椒を使ったシロップなんですが、そのシロップ製造時の“粕”(かす、絞ったあとに残った副産物)を、今回「カカオの夏休み」に使いました。なので、立ち上がってくる最初の香りはレモネードのようなさわやかさがあります。常温に近づくとカカオっぽさもあり、プラス、後味に山椒のキレみたいなものが広がるように造っています。
“粕”つながりの2商品
佐藤さん:ダンデライオンさんからはドミニカ共和国産カカオのカカオハスク(カカオ豆の外皮)を提供していただきました。食べてみるとコクがあり、ナッティーなニュアンスもあるんです。「カカオの夏休み」はお酒の余韻で、そのナッティーな部分も味わえると思います。
物江さん:haccobaさんには未利用食材であるカカオハスクを活用してお酒を造ってほしいとお願いして、「酒粕ガトーショコラ」は逆に、僕らがhaccobaさんから未利用食材を提供してもらって何かできないかと考えて、酒粕を使ったんですよね。お互いの未利用食材で循環ができたらいいねということで。「酒粕ガトーショコラ」は今後、定番商品にしていけたらと話しています。
佐藤さん:「酒粕ガトーショコラ」、すごい好きです。めちゃくちゃおいしい。常温で食べてもおいしいんですが、温めると酒粕に漬けたレーズンの旨みがひきたちます。僕個人的には、「カカオの夏休み」を冷やして、「酒粕ガトーショコラ」を温めて合わせるのがおすすめです。
物江さん:「酒粕ガトーショコラ」の酒粕も、「カカオの夏休み」のカカオハスクや「朝倉山椒レモンシロップ」の“粕”も未利用食材で、“粕”仲間。
佐藤さん:粕でつながっている関係性ですね。
【haccoba「カカオの夏休み」商品概要】
販売価格:2,750円(税込)
内容量:500ml/本
発売日:2023年8月17日(木)〜売切次第終了
【ダンデライオン・チョコレート「酒粕ガトーショコラ」商品概要】
販売価格:4,500円(税込)
原材料:チョコレート(国内製造:カカオ豆、きび砂糖)、卵、バター、きび砂糖、レーズン、酒粕、(一部に卵・乳成分を含む)※本商品にはアルコールが含まれます
内容量(本体):約280g
発売日:2023年8月17日(木)~通年販売
販売店舗:
「ファクトリー&カフェ蔵前」、「The Market 吉祥寺」
ダンデライオン・チョコレート オンラインストア
今後のコラボ、「ダンデライオン・チョコレート」発のクラフトビール続々リリース
haccobaは今後、ベルギー(!)に拠点を設け、ベルギービールの製法と日本酒を融合したクラフトサケの醸造を予定しているそう。COEDOとhaccobaのコラボも進行中とのことで、ジャンルを超えた新しい味わいのお酒が飲めるかも。トークの中で、新たに3社のコラボ商品を造りたいという話も出ました。
「ダンデライオン・チョコレート」はCOEDOに限らず、日本各地のクラフトビールブルワリーとコラボしています(3商品とも、「ダンデライオン・チョコレート」オンラインストアでは完売)。
三重県伊勢市のブルワリーISEKADO(伊勢角屋麦酒)とのコラボビール「Bean to Beer」は、カカオ豆から取り出した野生酵母で醸造したペールエール。
長野のブルワリー・AJBの横浜の醸造拠点、LIBUSHI Bashamichiとコラボした「Belize Bloom(COCOA HUSK HIBISCUS BEER)」は、カカオハスクをビールにつけ込んでカカオのフレーバーを引き出し、ハイビスカス由来のピンク色が鮮やかなビール。
「ダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ蔵前」では各コラボビールが1本から購入でき、店内でも飲めます(売切次第終了)。「ダンデライオン・チョコレート」とクラフトビールブルワリーのコラボビールやクラフトサケで、カカオの新たな味わいを楽しんでみては?
【関連サイト】
COEDOブルワリー オフィシャルサイト
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