東京駅八重洲口に広がる「八重洲地下街」は、ビール専門店や品ぞろえのいい酒販店が集中するクラフトビール激戦区。国内のマイクロブルワリーから海外の定番ビールまで品ぞろえが豊富な「リカーズハセガワ北口店」、アミューズメント性にこだわった「お酒ドンキ」、アメリカのクラフトビールに特化した「アンテナアメリカ 東京店」と、キャラ立ちした3つのショップを巡ってレポートします!
クラフトビール激戦区!東京駅「八重洲地下街」
新幹線をはじめ、鉄道各線や長距離バスなどの巨大ターミナル駅となっている東京駅。駅ナカや構内には飲食店やお土産店がひしめくショッピングモールが複数あり、買い物の拠点としてもにぎわっています。
そんな東京駅の八重洲口にある「八重洲地下街」はビール好きなら絶対訪れたい注目のショップが集中する、いわばクラフトビール激戦区! “激戦”とはいっても各店は全くキャラが被らず、それぞれが我が道を行く店舗展開。利用客からすれば目的や趣向に応じて買い回りするのに絶好の場です。
今回は「八重洲地下街」でクラフトビールが買えるショップ3店を巡ってきました!
3店のロケーションは「八重洲地下街」フロアマップでご確認ください。各店とも東京駅の八重洲方面出口(八重洲北口、八重洲中央口、八重洲南口)に近く、マップの下部に表示されています。
八重洲地下街の重鎮的存在!定番から最新アイテムまで豊富な品ぞろえ「リカーズハセガワ北口店」
まず訪れたのは外堀地下2番通りと北口通りに面した「リカーズハセガワ北口店」。
同じ地下街の八重洲地下1番通りに店舗を構える「リカーズハセガワ本店」は1960年代に八重洲で営業を開始し、「八重洲地下街」の創業時から入店している歴史あるお店で、ハードリカー中心の品ぞろえ(クラフトビールも多数扱っています)。「北口店」は本店に続いて1980年に開業しました。
「リカーズハセガワ北口店」店長井手貴光さんは、1995年に入社。クラフトビールは井手さんが入社した当初から扱っていましたが、売り場面積を増やして大々的に展開し出したのは2009年頃から。
「うちの店がはじめに扱った国産クラフトビールはベアードブルーイングさんや新潟麦酒さん、ナギサビールさん。自分たちが売りたいものを仕入れるようになったらビールの売り場が広がっていってしまいました。そうするとビールのお客さんも増えて“あれないんですか?” “これは仕入れないんですか?” と聞かれるようになって。さらに広がっていきました」(井手さん)
現在は、国内マイクロブルワリーのクラフトビールに力を入れて品ぞろえしているそう。
店主の推しは和歌山県VOYAGER BREWING、アップサイクルの取り組みも
取材時(2022年4月下旬)にラインナップしていたビールの中から、井手さんの推しをお聞きしました。
激推しなのは、和歌山県田辺市のVOYAGER BREWING(ボイジャーブルーイング)。ビール醸造に長年携わってきたブルワーが自分の理想のビールを造りたい、と2015年に立ち上げたブルワリーです。近年では自社ビールの醸造で出る麦芽粕(モルト粕)アップサイクルにも取り組み、オリジナルの「GRANOLA BAR」(グラノーラバー)を開発。「リカーズハセガワ北口店」では、この「GRANOLA BAR」をちょっとお買い得な価格で販売しています。
井手さんによれば、「GRANOLA BAR」に合うのは濃い色系のビールかコーヒー。特にVOYAGER BREWING「COPPER」とのペアリングがおすすめだそう。「COPPER」はカラメルモルトを使用し、トースティな香ばしい香りと程よい甘味。ホップの柑橘系の香りと苦味が、モルトの風味を引き立てます。「GRANOLA BAR」のメープルシロップの風味とカラメルモルトの味わいがベストマッチ。セットで試してみては?
そのほかにも、“クラシック”と呼んでもらえるようなクラフトビール造りを目指し2021年に開業したブルワリー・石川県金沢市のBREW CLASSIC(ブルークラシック)や、業界内で商品の争奪戦が繰り広げられ、店頭に並んだ直後に完売必至のブルワリー・静岡市のWest Coast Brewingなどのクラフトビールが店の推しです。
国内のマイクロブルワリーのクラフトビールを買うなら、「リカーズハセガワ北口店」一択! 北口店と本店は商品のラインナップが異なるそうなので、本店も合わせて覗いてみるのがおすすめです。北口店の入荷情報は「リカーズハセガワ北口店」公式Twitterをチェックしてください。
モノ消費よりコト消費、アミューズメント性にこだわり抜いた「お酒ドンキ」
次に向かったのは、外堀地下2番通り沿いにある「お酒ドンキ」。おなじみ「ドン・キホーテ」の新業態で、お酒に特化した品ぞろえ。「お酒ドンキ」は2022年4月現在、全国でここ1店舗のみです。
「お酒ドンキ」の隣りには、通路を挟んで、お菓子に特化した「お菓子ドンキ」があります。「ドン・キホーテ」等を運営する株式会社PPIH 広報室の池葉正樹さんによれば、「八重洲地下街」に出店すると決まってから、立地や売り場面積等を考慮し、通常の「ドン・キホーテ」ではなく何かのカテゴリーに絞った店にしようと検討。さまざまな可能性を探った結果、お酒とお菓子専門の店舗としてスタートしたとのこと。
お店の一番の特徴は“アミューズメント性”。一般的な酒販店とは一味違う、「ドン・キホーテ」ならではの店づくりをしています。「お酒のガチャも人気です」と、店長の坂井哲也さん。
「ウイスキーガチャ」は3500円(税込み3850円)で1回ガチャを回して、当たったウイスキーが手に入ります。当たるウイスキーの最低価格は3500円で損することはなく、超高額なウイスキーを引き当てるかもしれないドキドキ感がたまらない……。ほかに「焼酎ガチャ」「ワインガチャ」もありますが、残念ながらクラフトビールのガチャは今のところ無しです。
クラフトビールの棚はかなり広く、常温の棚にはアメリカやヨーロッパ、国内の定番ビールがそろいます。冷蔵ケースにはその時々のスポット商品もあり、国内外のちょっとレアな銘柄も。取材時には、栃木県奥日光THE NIKKO MONKEYS(ザ ニッコーモンキーズ)のビールや、ニュージーランドのブルワリーFunk Estate(ファンクエステイト)の定番IPA「Sophisticuffs」、人気のサワーエール「Jungle Boogie Blood Orange Sour」などが目にとまりました。
売れ筋は500mlペットボトルのクラフトビール、お酒にまつわるパーティーグッズも!
「お酒ドンキ」の売れ筋は、ヨーロッパのビールメーカーのクラシカルなビールが新鮮な状態でペットボトルに充填されたビール。埼玉県上尾市のビアレストラン「MAVERICKS BEER STATION」(マーベリックス ビアステーション)がリリースしている商品です。
「試しに1本買っていかれて、その後5、6本まとめ買いされるリピーターのお客様が結構いらっしゃるんです」(坂井さん)
「MAVERICKS BEER STATION」のビールは、酸素の透過を防ぐ特殊なコーディングを施した生ビール専用ペットボトルに、鮮度をキープする専用充填機でビールを注入し、フレッシュさを保ったままテイクアウトできます。軽くて持ち運びしやすく、新幹線乗車時や旅の手土産にも◎。
「お酒ドンキ」ならではのおすすめパーティグッズも紹介。お酒など飲み物を入れるとLEDが点灯し飲み物を照らす「センサーネオンジョッキ」・「センサーネオングラス」は、ちょっと盛り上がりそう。このほかにも、お酒にまつわるパーティーグッズは品数豊富。ビール専用グラスやおつまみも取りそろえています。
楽しいグッズを買うなら「お酒ドンキ」! スポット的に希少なお酒やクラフトビールが並んでいる時があるので要注目。定期的にパトロールしたくなるお店です。
アメリカのクラフトビールに特化、気軽に1杯!ドラフトビールが楽しめる「アンテナアメリカ」
最後にご紹介するのは、2022年4月にオープンしたアメリカンクラフトビールのショップ「アンテナアメリカ 東京店」。店舗は八重洲地下中央口に近い、外堀地下1番通り沿いにあります。
「アンテナアメリカ 東京店」は、クラフトビールインポーター・株式会社ナガノトレーディングが運営するクラフトビールショップ「アンテナアメリカ」の新たな旗艦店。店内にはアメリカのみに焦点を当てたクラフトビールのパッケージ商品が300種類近くラインナップされています。
気軽に1杯!チャージなしでドラフトビールが楽しめる
これまでに紹介してきた2店と全く違うのは、イートインできること。ドラフトはアメリカのクラフトビールが10TAPつながり、ふらっと立ち寄って1杯楽しむことができます。テーブルチャージ(席料)がないので気軽に利用可。パッケージ商品も抜栓料なしで店内で飲めるのがうれしいところ。
フードも充実していて、アメリカ人シェフが監修したボリューミーなハンバーガー「Super“Oishii”Burger」(スーパーおいしいバーガー)やチキンウィング、タコスといったアメリカンなメニューをアメリカから直輸入した機材で調理。ビールを飲みながらガッツリお食事することもできます。
2022年4月下旬のラインナップで注目したのは、アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴを拠点としたDUCK FOOT BREWING(ダックフットブリューイング)のビール。DUCK FOOTはリリースするビールが全て「グルテンフリー」(含まれるグルテンが20ppmを下回る)という、「グルテンフリー」専門のクラフトビールブルワリーで、4月に日本初上陸となりました。
グラウラー、グラス、ショッピングバッグなどの「アンテナアメリカ」オリジナルグッズやブルワリーのグッズも充実。アメリカのクラフトビールを飲みたいなら、「アンテナアメリカ 東京店」へ! スタッフもフレンドリーでビール選びの相談をしやすく、アドバイスも受けられます。ビアスタイルやブルワリーの情報をよく知らないという方もこのお店ならリラックスして楽しめそう。
「アンテナアメリカ 東京店」については、当メディアの別記事でもレポートしています。
【東京・八重洲】アンテナアメリカの新店に行ってみた!超定番~限定ビール、グッズまでアメリカのクラフトビールを満喫
クラフトビールを買うなら東京駅「八重洲地下街」へ!
「八重洲地下街」でクラフトビールが買えるお店が増えたことで、集客への影響や客層の変化はあったんでしょうか。「八重洲地下街」の広報を担当されている常野さんにお聞きしました。
「『八重洲地下街』では、だいぶ昔から『リカーズハセガワ』さんがあって、昨年『お酒ドンキ』さんが出店されて、つい先日『アンテナアメリカ』さんがオープンしたんですね。『アンテナアメリカ』さんの側を通ると、店内で外国籍のお客様がビールを飲む様子をよく見かけます」(常野さん)
新しいお店ができて、今まで地下街を利用していなかった新たなお客様も来店している印象だそう。「リカーズハセガワ北口店」、「お酒ドンキ」、「アンテナアメリカ 東京店」。それぞれに強みのあるお店が近接していることで、競い合うというよりも逆にクラフトビールが好きな人を呼び込んで相乗効果が生まれているようです。
駅構内は再開発が進み、地下街以外のモールでもクラフトビールが飲める飲食店やショップが続々出店予定。東京駅周辺はビール好きにとって今後ますます注目のエリアになっていきそうです。今度ビールを買いに行くときには、東京駅にお出掛けしてみては?
※ビールやグッズの品ぞろえ・価格等は、取材当時(2022年4月下旬)の情報です
【関連サイト】
八重洲地下街
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