お出かけ日和が続くこの季節、ビールを飲みつつ旅の楽しさも味わえるクラフトビールブルワリー巡りをしてみませんか。
“マイクロブルワリー”と呼ばれる小規模なビール醸造所は意外に身近な場所にあったりしますが、醸造所巡りは車での移動が困難(ビールを飲まずにはいられないですよね!)。公共交通機関をフル活用することになります。そこで「My CRAFT BEER」では、電車の沿線にあるブルワリーをセレクト。1路線で下車しながらビールを飲む旅をシリーズで紹介します!
※2024年8月に情報の一部を更新しました。
小田急線沿線【経堂駅~生田駅】ブルワリー巡り!
今回選んだ路線は、東京の都心と多摩、神奈川県を結ぶ小田急線です。
新宿を起点に唐木田、小田原、江の島に至る小田急線沿線にはたくさんのクラフトビール醸造所があります。この記事では、東京都世田谷区・経堂駅~神奈川県川崎市・生田駅間で下車しながら、7つのブルワリー・ブリューパブを巡ります!
ラインナップは……
《経堂駅》後藤醸造
《経堂駅》暁ブルワリー 東京ラボ
《祖師ヶ谷大蔵駅》RIOT BEER
《喜多見駅》SAKE-YA KITAMI
《喜多見駅~狛江駅》和泉ブルワリー
《和泉多摩川駅》籠屋ブルワリー
《生田駅》クラフトビアムーンライト
では、ビールを求めて小田急線沿線ブルワリー巡りに出発!
《経堂駅》地元客でにぎわう醸造所!東京農大生も御用達、後藤醸造
まず降り立ったのは、新宿から急行で11分の経堂駅。
駅から徒歩3分ほどの細い路地沿いに、後藤醸造が見えてきました。正面向かって右が醸造所、左がビアバー。店舗はガラス張りで、通りから店内の様子が見えるので入店しやすい!
経堂には東京農業大学の世田谷キャンパスがあります。後藤醸造創業者の後藤健朗さん・後藤由紀子さん夫妻は2人とも東京農大出身。 2016年に飲食店としてお店をオープンし、2017年7月からビールの醸造をスタートしました。創業時から造り続けているフラッグシップの「経堂エール」をはじめ、限定醸造ビールや地元の農産物を使ったシーズナルビール等、常時4種類のビールを提供しています。
「経堂エール」はモルトの甘味とコクが感じられ、程よく苦味もある“1杯目におすすめ”のAmerican Pale Ale。夏は少し苦味を強調したり、冬はアルコール度数や旨みを出したり、提供する季節や気温によってレシピを微調整しながらバッチを重ねています。
フードもおもに健朗さんが考案。おつまみ系から小腹を満たせる一品までメニューが豊富で、分量も価格も手ごろ。平日は地元の常連客の利用が多く、お買い物帰りやジム帰りの方がふらっと立ち寄って1杯飲んだり、休日にはファミリーの利用も。経堂の街で暮らす人たちの生活に馴染んだブルワリーです。
後藤醸造
〒156-0052 東京都世田谷区経堂2-14-3 経堂OKコート1F
営業時間:
水~土15:00~22:30(22:00ラストオーダー)
日13:00~21:30(21:00ラストオーダー)
定休日:月・火
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モルトのコクを大切に!東京農大生御用達【経堂】に行ったら必ず寄りたいビール醸造所・後藤醸造
《経堂駅》週末限定・不定期で営業!暁ブルワリー 東京ラボ
後藤醸造のほど近く、経堂駅から徒歩約3分の住宅街にも小さな醸造所を見つけました! 「ドラゴンアイ」の銘柄でおなじみ、暁(あかつき)ブルワリーの「東京ラボ」です。
暁ブルワリーは2016年、世田谷区初のビール醸造所として経堂で開業。経堂で造ったビールを都心の直営レストランやビアパブで提供してきました。現在は岩手県八幡平市のファクトリーがメインの醸造拠点ですが、ここ経堂の醸造所も「東京ラボ」として稼働中。2022年8月からは週末に限って「東京ラボ」でもビールが飲めるようになりました(不定期の営業)。
この日サーブされていたビールは、八幡平ファクトリーで仕込んだ1杯。岩手県発の清酒酵母“ジョバンニの調べ”を使ったピルスナー「さくら」。酵母由来の、リンゴのようなさわやかでフルーティーなフレーバーを堪能しました。
暁ブルワリーは、ミネラル豊かな天然水と有機JAS認証を得たドイツ産有機無農薬麦芽を使ったオーガニックビールの生産に取り組んでいます。暁ブルワリーの定番「ドラゴンアイ」シリーズ4種や、この日飲んだ「さくら」もオーガニックビール。「東京ラボ」店内では、「ドラゴンアイ」のパッケージ商品も販売中。時期によっては「東京ラボ」内で醸造したビールが提供されることもあります。スケジュールはインスタグラムで確認を。
暁ブルワリー 東京ラボ
〒156-0052 東京都世田谷区経堂2-13-14 1F
※2023年5月現在、バー営業は週末のみ・不定期(祝日営業の場合あり)。
営業日・営業時間はインスタグラムで要確認
暁ブルワリー 東京ラボ インスタグラム
暁ブルワリー ホームページ
《祖師ヶ谷大蔵駅》パンクなアートワーク!クラシカル~最新のビアスタイル!RIOT BEER
次は、経堂から各駅停車(または準急)に乗って祖師ヶ谷大蔵駅へ。南口から徒歩6、7分、荒玉水道道路沿いの五差路の一画にRIOT BEERの醸造所とタップルームがあります。
オーナー・上地風吾さんはパンクロックが好きで、スタッフにも無類のパンク好きがいるため、RIOT BEERのビール名やパッケージなどのアートワークはどれもパンキッシュ! タップルームでは10種類のビールを提供し、欧州由来のクラシカルなスタイルのビールや、アメリカのウェストコーストIPA、ヘイジーIPA、最新スタイルまで多様なラインナップです。
定番ビールと銘打っているものはありませんが、バッチを重ねて提供しているおなじみのビールは多数。その1つ「Andrew」は、キャラメルのような香りとモルト感あふれるトラディショナルなスコッチエールで、ネーミングはサッカーのスコットランド代表キャプテン、アンドリュー・ロバートソンの名に由来。ほかに柑橘系の香りが利いた「Salvation」(IPA)や「Stray Cats」(Porter)も人気。
おつまみは日によって担当スタッフが変わり、ビールに合うミートパイや、やさしい味付けのおばんざい、醸造過程で出た麦芽粕やタップから注ぐ際に出るビールのロス等を使って調理したピザ、クラッカーなどを提供。フードのポップアップもあり、木曜は「3×7」(さんしち)さんがミートパイやスイーツ系のパイを、土曜は「土曜日のビアパン」として、麦芽粕や麦汁を使ったパンが店頭で販売されます。
イングリッシュ、スコッチ、アイリッシュなど、欧州のトラディショナルなビアスタイルが好きな方はマストで足を運んでみて!
RIOT BEER
東京都世田谷区砧5-11-10
営業時間:
月〜金15:00~21:00ラストオーダー
土・日・祝12:00〜21:00ラストオーダー
定休日:なし
RIOT BEERホームページ
RIOT BEERインスタグラム
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ビールもデザインもパンキッシュ!【祖師ヶ谷大蔵】RIOT BEER、クラフトビールで“場づくり”を
《喜多見駅》酒屋×レストラン×ビール醸造所!SAKE-YA KITAMI
小田急線沿線ブルワリー巡り4軒目は祖師ヶ谷大蔵から2駅先、東京都狛江市の喜多見駅に来ました。線路に沿って狛江方向に4~5分歩くと、高架下に「発酵ビストロSAKE-YA KITAMI」の店舗が見えてきます。
SAKE-YA KITAMI(さかや きたみ)は1935年創業の老舗酒店「柴田屋酒店」が運営するお店。リカーショップとレストラン、醸造所を合わせた“ハイブリッド酒屋”です。
店内にある醸造設備で造ったSAKE-YA KITAMIのオリジナルビールを含め、常時10種のビールを提供。オリジナルビールの一番人気は「Hazy IPA」で、しっかり苦くて飲みごたえのある「サブロIPA」や小麦を使ったセゾン「ホワイトセゾン」等も定番。
SAKE-YA KITAMIは“ハイブリッド”なのでレストランとしても利用でき、食事メニューが充実しています。平日のランチの時間帯には定食も提供していて、ビールを飲みつつガッツリ食べたい時にぴったり。この日オーダーしたのは「ビール屋秘伝のフィッシュ&チップス」。ビール入りの衣を使ったサクサクフワフワ食感の白身魚のフライ。いぶりがっこの入った和風タルタルソース付きです。定番のモルトビネガーをかけても◎
「発酵ビストロSAKE-YA KITAMI」
〒201-0004 東京都狛江市岩戸北2丁目20−10 喜多見4 小田急マルシェ
営業時間:
月~金11:00~22:30(ランチラストオーダー14:30、ディナードリンクラストオーダー22:00)
土11:00~22:30(ディナードリンクラストオーダー22:00)
日・祝11:00〜22:00(ラストオーダー21:30)
定休日:なし
「発酵ビストロSAKE-YA KITAMI」インスタグラム
SAKE-YA KITAMIホームページ
《喜多見~狛江駅》ポートランド発の味わいを受け継ぐ、和泉ブルワリー
喜多見駅と狛江駅のちょうど中間くらいの位置にあるのが、東京都狛江市の和泉ブルワリー。どちらの駅からも歩いて10分ほど。醸造所はボトルショップ兼タップルーム「Beer Cellar Tokyo」の中にあります。
和泉ブルワリーは、アメリカ・オレゴン州ポートランドで醸造を学んだ和泉俊介さんが2018年に開業(ショップのオープンは2017年)。「Beer Cellar Tokyo」は和泉さんゆかりのオレゴン州産クラフトビールとサイダーのボトル、缶製品を扱い、タップルームでは常時10種のドラフトビールとサイダーをグラウラーで販売しています(有料試飲可)。
フラッグシップは「3A FARMHOUSE ALE」。和泉さんが修業したポートランドのブルワリー・Commons Breweryのレシピを受け継いだセゾンです。このビールを造るためにオリジナルのビールとまったく同じタイプの酵母を入手し、元来の味わいにこだわって醸造。酵母由来のアロマやかすかな酸味、甘さ、スパイシー感もある繊細な味わいのビール。
バッチを重ねている「Comeback」はCommons Breweryのサワーエールをリスペクトしたビールで、乳酸菌由来の強い酸味が口いっぱいに広がります。フルーツは不使用なのに不思議なほどにフルーティーな味わい。ちなみに、和泉ブルワリーのビールは野球用語から命名されているものが多く、「3A」(トリプルエー)は、メジャーリーグの1つ下のグループのこと。「Comeback」は逆転の意味だそう。
このお店は基本的にフードの提供がありません(持ち込みは自由)。クラフトビールやサイダーに全集中して楽しみましょう!
和泉ブルワリー(「Beer Cellar Tokyo」)
〒201-0003東京都狛江市和泉本町1-12-1 101
営業時間:
火~金16:00~21:00
土・日・祝11:00~20:00
定休日:月
「Beer Cellar Tokyo」インスタグラム
「Beer Cellar Tokyo」ホームページ
《和泉多摩川駅》籠屋ブルワリーで、木桶仕込みの“和食に合うビール”を堪能
続いて、狛江の隣駅・和泉多摩川駅で下車。駅から20分ほど歩いて(バスも利用可)籠屋ブルワリーへ。
籠屋はなんと1902年(明治35年)創業のお店で、当初は竹籠を扱う商店としてスタート。現在は地酒専門店の「籠屋 秋元商店」とレストラン「籠屋たすく」、そしてビール醸造所・籠屋ブルワリーを展開しています。
籠屋ブルワリーは「和食に合わせる日本のビール」をテーマに、2017年から醸造を開始。日本酒の醸造技術にインスピレーションを得て、木桶を使ったビール造りに取り組んでいます。隣接する「籠屋たすく」では籠屋ブルワリーで醸造したビール約10種類がドラフトで飲めます。
この日飲んだのは、「籠屋ペールエール<木桶仕込み>」。モルトの甘さとグレープフルーツのような柑橘のフレーバー。そこに木桶由来の杉の木の香りが寄り添います。ほかに、木桶仕込みのシリーズ「和轍」(わだち)から、日本酒の生酛造りを応用したほんの少し酸味のある”和轍・白”「WDS prototypeⅠ」(限定醸造)も堪能。
「籠屋たすく」はお酒と相性のいい創作料理を取り揃えています。その日の冷菜から選べる3種盛りは一品一品ボリュームがあって◎。スパイシーなカレーなどのご飯ものや、土日のランチタイムには定食も。店内はテーブル席もあり、グループでの利用もOKです。
籠屋ブルワリー(「籠屋たすく」)
〒201-0016東京都狛江市駒井町3-34-4
営業時間:
火・水・木 17:00~22:00
金 17:00~23:00
土11:30~23:00
日11:30~22:00
定休日:月
籠屋ブルワリーインスタグラム
「籠屋たすく」インスタグラム
籠屋 ホームページ
2024年4月には、和泉多摩川駅から徒歩2、3分の駅チカに籠屋ブルワリー直営店「籠屋ビールスタンド」がオープン。自社醸造ビールを4Tapを提供し、缶・瓶商品のテイクアウトも可。週末のみの営業ですが(2024年8月現在)、地元のお客様を中心に盛況! “人と人、人と自然をつなぐ”をコンセプトに、ビールや、食と農、自然といったテーマで体験型ワークショップも開催しています。
さらに2024年6月、狛江駅直結の高架下商業施設「小田急マルシェ狛江」内に角打ちスペースのある酒販店「籠屋 マルシェ狛江店」も開業し、小田急線沿線で籠屋ブルワリーのビールが飲める拠点が増えました!
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《生田駅》リーズナブルだけどこだわり満載、クラフトビアムーンライト
小田急線沿線ブルワリー巡り、旅の最後に訪れたのは神奈川県川崎市の生田駅です。北口から徒歩約3分、津久井道に面したセブンイレブン脇の細い道沿いにある「ブルーパブムーンライト」へ。
「ブルーパブムーンライト」は2009年、川崎市内初のブルワリーとして登戸で開業。2022年7月に生田の現住所に移転しました。「ブルーパブムーンライト」は店名で、ブルワリー名はクラフトビアムーンライト。3坪の醸造スペースでユニケグ(小型のタンク)を使ってビールを仕込み、定番ビールや、地元産の果物・野菜を使ったシーズナルビールをリリースしています。
多摩川源流の泉をイメージしたという「多摩の泉」(Pale Lager)、ちょっとスパイシーなフレーバーの「枡形城」(Bitter)、濃厚な味わいの「登戸の渡し」(Porter)など多数ある定番銘柄と、生姜や山椒・金柑・桃など地元産の農産物を使ったシーズナルビールを組み合わせ、店内で10tapほどのビールを提供。価格はSサイズ300円からという設定で超リーズナブル!
この日飲んだのは「多摩の生姜 夏用」。生姜の風味とピリッとした辛さを存分に楽しめる1杯。ちなみに、歴史的人物や地元の地名・史跡名などを冠した定番ビールのユニークな名称は、公募で決まったものなのだとか。
ビール同様フードもリーズナブルで、メニューは豊富。フライドポテトやソーセージの盛り合わせ等おつまみの定番はもちろん、「自家製小籠包」や「自家製餃子」、「特製ビールカレー」も。この日は「ビール酵母ピッツァ きのこ&ベーコン」をオーダー。手造りのおいしさでチーズたっぷり、ボリュームも◎。パブと居酒屋をミックスしたような大衆的なムードの中でクラフトビールを満喫しました。
クラフトビアムーンライト(「ブルーパブムーンライト」)
〒214-0038 神奈川県川崎市多摩区生田7-11-8
営業時間:
月・水・金16:30~22:30(ラストオーダー22:00)
土・日12:00~21:00(ラストオーダー20:30)
定休日:火・木
クラフトビアムーンライト・ブルーパブムーンライト ホームページ
沿線ブルワリー巡りは続く!
小田急線に乗って、経堂駅~生田駅間で下車しながら沿線のクラフトビールブルワリーを巡る旅。今回は7つの醸造所を訪れた充実のビール旅でした。7か所を一気に巡るのはなかなか大変なので、地域の名所などを散策しながら1日で2、3のブルワリーをゆったりハシゴするのがちょうどいいかもしれません。急な営業時間の変更などもありますので、お出かけ前にはSNS等でお店の最新情報を確認しましょう!
※営業時間、定休日は2023年5月時点の情報を掲載しています。
小田急線沿線にはまだまだブルワリーがたくさんあります。海老名駅から小田原・藤沢駅まで、神奈川エリアのブルワリーを巡った記事もぜひ合わせてチェックしてください!
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